パリで行われた在学教育の意見交換会

こんにちは。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
西南学院大学の井上です!

今回は、このプロジェクトが西南学院大学門田研究室の「かわいいは最強!」プロジェクトを通して参画している、 OECD日本国際共創プロジェクト内の一つ、「在外教育施設ネットワーク」の対面ミーティング(@フランス・パリ)に参加した感想をメンバーの方からご報告いただいたのでご紹介します!

ミーティングはパリに本部を置くOECDのBoulogne Officeで行われました。内容の詳細については日本OECD研究ホームページ・壁のないあそび場-bA-(https://gakugei-asobiba.org/archives/1900)の記事をご参照ください。



今回、7月・8月の両方のミーティングに留学先のベルギーから参加しました。高校時代から日本の学校教育に疑問を抱き続けていましたが、これについて海外で意見を出し合える環境は初めてです。最初はOECDでのミーティングと聞いて、お堅い会議のようなものかと少し見構えていましたが、そのように堅苦しいものではなく、いい意味で期待を裏切るとても心地の良い雰囲気の中で行われました。これはおそらく、記事にも書かれているように、メンバーそれぞれが「日本の教育の中で育ちつつ、海外の教育文化を目の当たりにしている」からなのではないかと思います。教育システムや教師の役割などが日本とは大きく異なる海外で働く中で、日本の教育の良いところ、そして改善すべきところが見え、日々様々な思いや葛藤を感じているからこその共感がこの雰囲気をつくっているように感じられました。それぞれが在籍する日本人学校や現地校・補習校の実践例・経験談を交えながら、思っていることを率直にそして活発に出し合い、2日間はあっという間に過ぎました。議論の中で興味深かったのは、漢字学習のやり方(授業では覚えることに時間は割かず、自宅で行うなど)です。特に補習校は通常の学校があっていない土曜日などに授業が行われます。限られた時間の中でどのように日本語等の学習を行っていくのかは、学習方針について保護者の賛同も得なければならない中で教師側にもかなりの工夫が求められていると感じました。


この度の2回のミーティング全体を通して学んだことは、日本の教育のかたちを、子どもにとっても、教師にとっても良いものにしていくために、海外から真剣に取り組んでいる大人たちがいるということ、そしてその真摯な姿勢です。この姿を目の当たりにできたことは、社会全体に「あきらめ」が漂い、声を上げることすら億劫に感じてしまう今の日本にやるせなさを抱いていた大学生の私にとって、大きな衝撃でした。
何も変わらないとあきらめてなんかいられない。何か動くことでしか得られないものがあり、ただ上からシステムが降りて来るのを待っているだけでは本当に何も変わらない。
そして社会を動かし、つくっていくのは議員や官僚だけではなく、市民一人ひとりの意識なのだということ。今まで頭では分かっていても、実際にどう体現していけばいいのか分からないでいましたが、一緒にミーティングを進めてくださったOECDの職員の方々、在外教育使節の先生方が行動している姿を見て、このような熱い思いと行動が目指す方向性をつくっていくのだと、すっと腑に落ちました。
そして、在外教育という観点からは、日本という共通項は何も日本列島の中だけでなく、文字通り世界中に散らばっているということを肌身で感じたことも大きな収穫の一つでした。海外との交流、というとまず外国語で話すことを思い浮かべがちですが、日本語で海外の実情を知ることができる在外教育施設は今まであまり注目されてこなかったのが不思議なくらい、かなりの可能性を秘めています。それぞれが繋がることで子どもたち同士の新たなネットワークも形成され、これまで想像もできなかった取組みも可能になるだろうと思います。

今回は「在外教育施設ネットワーク」の対面ミーティングに参加した感想をお伝えしました。こうしたプロジェクト同士がそれぞれ互いに学び合いながら、OECD Education2030という一つの到達地点に向かって進んでいけるといいなと思っています。


お読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?