お呪い

1本、2本、3本、、、無数の線が私の両腕には刻まれている。私が私を愛して殺した分だけ刻まれていく線。少し湾曲したお呪い。痛くて、生ぬるくて、いちご色で、凸凹してて、気がついたら増えている線。安心感。

やりすぎてティッシュペーパーを腕に押し付ける時間、困っちゃったね。だからといって辞められない。カッターを握る手が震える。それでも、かちかち、しゅっ、ああまた1本増えたお呪い。心地よくて辞められない。

学生の頃、正真正銘おまじないをかけてくれた愛する人がいた。愛のかたまりをたった数本の線に貼り付けて、これでもう大丈夫だよって。運命の人だったの。今はもう1人だから、自分で自分にお呪いをかけるんだ、幾倍にもなった傷跡にね。

このお呪いを地獄扱いする人もいる。だから、隠す。ミルキーベージュを貼り付けて、まぎらわせて、にごして、ごまかして。こんなことしてごめんなさい。

彼らには呪いのように見えるんだろうね。
私は地獄になんか堕ちていないのに。

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