軽め1.5の救済
食事1
軽め1.5
上下セット0.8
これが彼女の全てで、救いでした。
彼女は毎日が苦しくて、つらくて、しんどくて、満たされなくて、虚無で、この数字を手に入れるために己を削って削って削って削りカスをアルフォートの箱の中に積み重ねていました。
でも、それしか救いがなかったのです。他人の体温、言葉、行動から感じられるものからしか、得られない何かがあった。自分を傷つけることが好きな人なんて極小数だけれど、何度でも言いますがそれが救いになる場合だってこの世にはあります。この世というものはなんだってアリなので。
彼女には好きな人がいました。でも好きな人は彼女のことをよく分かっていたので、体を削ることを咎めませんでした。それも、彼女にとって本当は苦しかった。この関係性を望んだのは彼女の方だったはずなのに。
一番最初の夜に飲んだりんごジュースの味が忘れられないと彼女は言います。
彼女の好きな歌詞のひとつに''世間的負けでも、こっちは天使ですし''というものがあります。その歌詞通り、彼女は天使になりました。天使になると同時にアルフォートは捨てました。
アルフォートは捨てられたけど、心は満たされていません。長年の夢が叶っても、恋にうつつを抜かしても、お金がたくさんでも、信仰されても。満たされないそうです。彼女にはどうしてあげるのが正解だったのでしょうか。
天使になってもりんごジュースは好物だそうです。あの世界に戻らなくても、あの頃に帰って今の数ミリ程度の幸せを噛み締められるから。
でも、もう、彼女があの世界に戻ることがありませんように。
彼女が彼女自身を守れますように。
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