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招かれざる客 1968年アメリカ

Guess Who's Coming to Dinner

監督 スタンリー・クレイマー
脚本 ウィリアム・ローズ

スペンサー・トレイシー
シドニー・ポワチエ
キャサリン・ヘプバーン

1968年の古き良きアメリカ映画で、セリフ劇。


映画の冒頭で驚かされ、困惑する。

黒人と白人のカップル。

2人は結婚すると言う。

もうこれだけでハッとしてしまうし、これから両親に会って結婚する事を伝える、

という事でこの時点で題名の意味が解るし、内容も推測できることになる。

(原題は Guess Who's Coming to Dinner 誰がディナーに来るのか当ててみて だ)

しかしこの映画は、映画というよりは「演劇」であって、

スペンサー・トレイシー シドニー・ポワチエ キャサリン・ヘプバーンという、

大物俳優が隙の無い演技を披露してくれるのを鑑賞する映画だ。

特にキャサリン・ヘプバーンの演技が印象に残った。



リベラル派であったはずの新聞社社主の父親は自分の娘の事となると困惑するし、反対をする。

それは、黒人と白人が結婚するとなれば世間の反発が強いからだ。

きっとあと50年もすれば、この映画の冒頭シーンを見て困惑する人も少なくなるのだろうか。

ただ、本人同士が愛し合っているのならそれで良い、

とばかりは言っていられない親の思慮や世間の風潮、

長い人生を見据えた判断というものも有ると思う。

若い二人の判断が甘いと思えば、親としてアドバイスするのは、

いつの時代になっても当然で、必要な事なのだろう。

ただ、夢中になっている二人には何を言っても効果は無い。


この映画はセリフ劇になっている。

殆どが新聞社社主のお屋敷の中のシーン。

とても完成度の高い映画だ。


こういう、「身分違いの恋」というのは、

「ロミオとジュリエット」などを始めとして、演劇でも良く取り上げられるテーマだ。

けれど、どの演劇であっても、結局は二人の熱意にはかなわず、

ハッピーエンドで2人は結ばれる事になるものが多い様だ。

三島由紀夫の歌舞伎「鰯売り恋の引き網」は、

お姫様と、しがない鰯売りの恋の物語だが、

この話でもお姫様が城を出て鰯売りをする事になるハッピーエンドだった。


微笑ましいのだけれど、実際にはそれだけでは済まない難しい問題でも有ると思う。

お父さん、お母さん、自分の子供の結婚話が出たら、

当人同士が望むなら、といかにもリベラルに考えずに、

長い人生経験を元に大いに悩むのも当然の事だと思います。


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