見出し画像

若い人の為のゴジラ講座 これからゴジラマイナスワンを見る人に

1954年に第1作が作られてから70年、今回で30作目のゴジラが公開された。

ゴジラの事や戦争の事を良く知らない若い人の為の、

「ゴジラ マイナスワン」を見る前の基礎知識をメモっておきます。

多少のネタバレが有りますが、結末などには触れない様にして、

いくつかの基礎知識のみを書いておこうと思います。


ゴジラの何が凄いかというと、巨大怪獣が現れて暴れ回る、

という荒唐無稽な娯楽映画を、70年かけて育て続け、

とうとう一つの文化と言っても良いものにしてしまった事。

第1作の時に作られたゴジラのテーマ曲は、伊福部昭作曲の名曲で、

なんと今作にも堂々とメインで使われている。

ゴジラにはこの曲しかないのではないだろうかというくらいの名曲だ。

そして、ゴジラの鳴き声。

これも第1作で作られた音が、今作でも使われていた。

当時の東宝スタッフが工夫して作った伝統的なゴジラの鳴き声だ。

という事で、ゴジラは既に一つの文化になっているのだ。


これから「ゴジラ マイナスワン」を見る人の為に、

事前に知っておくと良い、ちょっとした知識を紹介しておきます。

まずゼロ戦。

ゼロ戦は戦争当時無敵の戦闘機だった。

空戦性能が飛びぬけて高く、単座戦闘機にしてはかなりの重武装、

20ミリ機関砲を2丁搭載していた。

20ミリで撃たれたら戦闘機など木っ端みじんになる。

しかし戦争後期、圧倒的なアメリカの工業力にはかなわず、

次第にジリピンになった日本軍は、神風特別攻撃、という自爆攻撃を行う様になる。

ゼロ戦に爆弾を積み、片道分だけの燃料を積んで、

米軍艦船に体当たり攻撃を行うというものだ。

出撃したら必ず死ぬ攻撃。


映画の冒頭、特攻隊のゼロ戦が、虚偽の故障を申告して不時着用の飛行場に着陸するシーンから始まる。

その飛行場が有る島が「大戸島」で、これはゴジラ第1作に出てきた架空の島なのだ。

この映画は1945年が舞台設定になっており、この年の8月に終戦を迎える。

東京は焼け野原になり、銀座周辺などのコンクリートのビルだけが残っていた。

日本政府や国会は有るものの、進駐軍の指示に従わなくてはならない時代だった。

世界5大国の一つだった日本は終戦時には世界最貧国になっており、

国民は飢えと戦っていた時代。

日本がゼロになったその時に、ゴジラが現れてマイナスに突き落とされてしまうのだ。

既に軍隊は武装解除され、廃止されており、また、アメリカ軍はソ連の動向を理由に動かず、

民間人がゴジラと戦うしかないことになってしまう。

生き残った戦闘機や海軍艦艇などは米軍によって破壊されたり、

大砲を取り外されたりしていた状態だった。


さて、ゴジラ第1作では、人間たちはどうやってゴジラを退治したのかと言うと、

オキシゲンデストロイヤーというものを作ったのだった。

それは、水中の酸素を破壊して窒息死させるというものだった。

今作ではどのようにゴジラを退治しようとしたかというと、

軍隊も兵器も無い状態で、アルキメデスの原理を応用した作戦がとられることになる。

この作戦を行う為に、元軍人が集まって、駆逐艦などを払い下げて貰って行う事になる。

ここに登場する戦闘艦は、巡洋艦 高雄、 駆逐艦 雪風 響 夕風 欅。

これらの艦艇は終戦まで沈む事が無かった幸運艦と呼ばれる有名な艦艇たちなのだ。

さらに、終戦直前に完成した新型戦闘機、震電 が1機だけ残っていた。

この戦闘機はB29を撃墜する為に開発された特殊な形状の戦闘機だ。

なんと、プロペラが機体の後部についている、ロケットの様な戦闘機なのだ。

死ぬのが怖くて虚偽の故障を理由に特攻攻撃から離脱した主人公は、

この戦闘機に乗ってゴジラと対峙する事になる。


さらに、今作でとても印象的なシーンとして、小さい木造船とゴジラが至近距離で対峙する場面だ。

このシーンを見ると、「ジョーズ」という映画を思い出す。

ジョーズは巨大なサメと人間が戦う恐ろしい映画だった。

ジョーズ 予告編
https://www.youtube.com/watch?v=2QaowAgpwq4


なぜ小型の木造船なのかと言うと、機雷除去の業務をする為だ。

機雷というのは、近くに船が通ると爆発する様に海の中に仕掛けられた爆弾だ。

鉄製の船だと反応して爆発してしまうので、機雷除去には木造船を使う。

現在の自衛隊の機雷除去も木造船を使っている。


怪獣映画を作る時に意外と難しいのが、怪獣が暴れるシーンと、人間ドラマ部分とのバランスだ。

しかし今作は、人間ドラマ部分がゴジラの退治方法と密接に関係していて、

さらに至近距離で民間人が戦う事になる、という、非常に素晴らしい設定になっている。

さて、ゴジラ映画の評価は様々だけれど、なぜかとても多いのが、1954年の第1作に対する評価ととても高い事だ。

自分も最近第1作を見直してみたけれど、本当に良くまとまっている名作だと思う。

山崎貴監督は、この第1作へのオマージュを随所に取り入れている。

鉄橋をくぐってくる電車、電車の運転席に二人載っていて驚くシーン、

ゴジラの真近でラジオの実況中継し、みなさん、さようなら、というシーンなどなど、

そして、伊福部昭さんのゴジラの曲。

もう本当に名曲で、ゴジラ映画にはこれしかない、という曲だ。

これを非常に効果的に、70年前の曲を堂々とメインで使っている。

とにかくゴジラファンにはたまらない最高傑作であると同時に、ゴジラファンでは無い人が見ても、

満足度最高潮のエンタメになっている。

ぜひ、ゴジラファンではない人も、大きなスクリーンで見て欲しい。

12月からアメリカでも公開が始まったが、映画批評サイトなどでは絶賛の嵐だ。

なんと、高評価98%という驚異的な数字を出しており、既に公開延長も決まった。

さらにアカデミー賞の候補にも加わるという大快挙だ。


山崎貴監督の映画は以前からとても好きだった。

それは、面白さと同時に、昔の松竹映画の様な味わいが有るからだ。

山崎監督はもしかして、松竹と東宝を融合した、小津安二郎と黒澤明を融合した、

歴史に残る大監督になるかもしれない。


本当に今作は歴代作品の中での最高傑作と言って良いと思う。

ぜひぜひ、大きなスクリーンの映画館で、出来れば、IMAXレーザー、とか、MX4Dなどで鑑賞する事をお勧めします。

IMAX
https://www.unitedcinemas.jp/imax/imax_laser.html

MX4D
https://www.tohotheater.jp/service/mx4d/



歴史的な名曲 伊福部昭のゴジラ



1954年のゴジラ 第1作 

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%A9-%E5%AE%9D%E7%94%B0-%E6%98%8E/dp/B00JM3DXL4


ゴジラ マイナスワン を見た直後のアメリカ人の反応、大興奮!




ゴジラ マイナスワン を観てきた(ネタバレ有り)

ゴジラ愛 日本の誇り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?