『雇われ社長』と『株主』が良いパートナーシップを築くためにやるべきこと
どの企業にも『2つの重要な役職』——『株主』と『社長』が必ず存在しています。
『株主』とはその企業の所有者——すなわち株式を保有し経営権を持っている人のことであり、『社長』とはその会社を代表して業務執行する立場の人ですね。
小規模な会社であれば『株主』と『社長』が同一人物であることが多いことでしょう。いわゆる『オーナー社長』ですね。
逆に、大企業であれば『株主』と『社長』は別な人物のケースが多いです。このような場合の社長は『雇われ社長』などと呼ばれますね。
私は『雇われ社長』を3年間務め、現在は『オーナー社長』を務めています。『株主』の立場も、『雇われ社長』と協力関係を築く立場も経験しました。
そのような経験の中から『株主と社長が良い関係』を築き『良い企業』であるために必要なものが見えてきましたので、お伝えしたいと思います。
『良い企業』であるためには、『株主』と『社長』が良い意味での緊張感を保ち健全な関係を築いている必要があります。
今現在 または これから『雇われ社長』や『株主』の立場になるあなたが、『良い企業』を創るためにやるべき『たったひとつのこと』があります。
それは『あらかじめ昇給・減給・解任などの基準を定め、用意しておく』ということです。
いかがでしょうか。かなりシンプルだと思いませんか?
株主と社長が良い関係を築き良い企業であるためには、このシンプルな『たったひとつのこと』を成せば良いのです。
この重要性をより的確にお伝えするために、私が体験した『過去の失敗』についてお話しさせてください。
今から約8年前。私はとある企業の『雇われ社長』に就任することになりました。
急なお話で現在のような経験値もない状況だったこともあり、株主(親会社の社長)と自身の昇給や減給、解任の条件について、一切の取り決めをせずに就任したのです。
『雇われ社長』として日々は、試行錯誤の連続でした。
さまざまな困難が立ち塞がり、それをひとつひとつ解決していく毎日。
地道な行動はやがて実を結び、その会社は誰が見ても急成長を遂げていると言えるレベルになりました。
それだけの成果を出したわけですから、減給や解任についてのお話が出ることはありませんでした。
問題となったのは、昇給についてです。
就任当初は言わば『お試し期間』ということもあって、役員報酬も高い金額ではありませんでした。
もともと親会社の社長とは『成果が出たら見直そう』と話をしていたので、『成果をしっかり出せた』このタイミングで昇給の交渉を持ちかけたのですが……。
親会社の社長からの回答は、
というものでした。
その翌年も、翌々年も、私は前年以上の成果を出し続け、親会社の社長と度重なる交渉をおこなったのですが……。
親会社の社長からの回答は変わりませんでした。
その状況が続くことで私自身はもちろん親会社の社長も徐々にフラストレーションが溜まっていき、やがて袂を分かつことになってしまいました。
この失敗事例において、『“どちらが正しい”というのは重要な話ではない』ということに注意してください。
このお話は私の主観的な話ですし、親会社の社長は親会社の社長で私と異なる言い分もあることでしょう。
この失敗事例で大切なのは『株主と社長が良い関係を気づけなかった』ということ。
そして、その結果『良い会社であることができなかった』という点です。
その原因を突き詰めていった結果、先の『たったひとつのこと』にたどり着いたのです。
この実体験は、エージェントグローを立ち上げてグループ会社の株主になろうとするときに活きることとなりました。
私は株主として、必ず事業継続などについての判断基準を取り決め、グループ会社の社長と双方の合意を形成するようにしています。
例えば下記のようなものです。
勘違いしないでいただきたいのですが、『ダメだったとき』だけを決めておけば良いのではありません。
『上手くいったとき』についてもしっかりと具体的に取り決めておく必要があります。
あらかじめ取り決めた基準に達したら、あらかじめ取り決めた対応をおこなう。そして、そうすることを全社的に周知させておく。
これをしっかりとやることで、その企業に集う従業員に対し悪影響を及ぼすサプライズやパニックが起こらないようにすることができます。
エージェントグローでは、現在もグループ会社の社長を募集しています。
……ということで、私が株主の立場でグループ会社の社長とどのような『取り決め』をしているのかもう少しだけ詳細をご説明しておきましょう。
最後にこの記事を読んでくださっている『株主』 そして 『雇われ社長』のあなたに、『良い関係を築き、良い会社を創る』ために大切なことをお伝えしたいと思います。