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大阪の不動産屋から/スタバ/世界のSUUMOへ

スタバは狡猾だ。
カフェという表面以外にも、さまざまな横顔をもっている。
本日はスターバックスコーヒーの「柔顔の不動産屋」としての横顔を紹介しよう。

街の宣伝屋としてのスタバ

スタバにいくと長蛇の列が出迎えてくれる。
これを「人気の意図的誇示」だと見ると本質を見誤る。
実は長蛇の列こそ、スターバックスコーヒーが不動産屋というゆえんだ。

スターバックスコーヒーには他の店にはない特徴がある。
スタバの店員さんは、レジで絶対にお客さんの言葉を遮らない。
お客さんの話しをしっかりと聞く。
まずはしっかりと聞くことで、お客さんのニーズをじっくりと探って捉える。
その上で質問には的確に応え、それ以上の深層的ニーズにも一言添えて返す。

「この店舗の向こうには、少し歩けば遺跡がありますよ」

といった風情で、こちらの行きたい場所を限られた会話の中で捉え、具体的に教えてくれる。
あたかも「リアル版・あなたへのオススメ」である。

なんでわかったの?
と返したい時がままあるほど、スタバの店員さんはこちらの急所を的確に捉えてくる。

こうした「街案内」ないし「街宣伝」がスタバのレジでなされているため、長蛇の列がデフォルトになっているのだ。



スタバ忖度の正体

街の案内だったり街の宣伝だったりをやってスタバにどんな利得があるのだろうか?
親切な人たちだと思われることで、スタバは好意の溜飲をおさめているのだろうか。

いやスタバには明確な狙い筋がある。

スタバはその企業価値を、中長期的視点で高めて来たのだ。
スタバがその街を宣伝することで、その街の地価が中長期的に上がる。
だから、
「スタバが入る街は栄える」というスタバ神話がまことしやかに伝わるようになる。
すると、
街やテナント側に「スタバを誘致したい」「スタバならば賃料を少々お安くしてでも呼び込みたい」という誘因が生じる。
こうしてスタバは有利な条件でテナントに入ることが可能になっている。

いわゆる「スタバ忖度」といわれる現象だが、これは何も陰謀論の類ではない。
スタバが1996年に日本に上陸してからコツコツと積み重ねてきた「果実」、それが「スタバ忖度」なのだ。



日本=おもてなしの虚妄プロパガンダ


1996年からスタバが地道にコツコツと企業価値を高めてきた間、日本企業は何をやってきたのだろうか?

世に云うネオリベの判断基準に基づき、短期的利益・短期的戦術に拘泥し、スタバがやっている「心憎い演出」を怠ってきた。
確かに長蛇の列が出来る日本資本のカフェはある。
だがお客さんとの会話を遮らない日本系カフェの店員さんは寡聞にして存じ上げない。
長蛇の列は形式的にスタバを見習ってやっているだけに過ぎず、日本系のカフェはその本質を捉えられてはいない。
極論すれば、
そんな見掛け倒しの長蛇の列はやるだけ無駄である。

ところで、
「おもてなしの精神」というものが日本にはあると盛んに喧伝されてきた。
だがどうだろうか。
短期的利益に拘泥しお客さんとの会話もそこそこに、顧客ニーズを探ることなくただマニュアルに則って機械のように処理していくカフェにどれだけの魅力があろうか。
それは、
おもてなしでなく、おもてだけではなかろうか。
日本には、おもてなしの精神がある。
こんな虚妄プロパガンダにひっかかって、日本人と日本企業はぞんざいになり、スタバの一人勝ちを許したのだ。



スタバの町おこし

スタバ 高槻安満遺跡公園店 心憎いサービス

何が悲しくて、外資系企業に日本の「町おこし」を託さなければならないのか。
本来、町おこしとは日本人や日本企業がなしてきたこと、なさねばならないことだ。
町おこしの先には当然ながら国家の繁栄がある。
だから町おこしというものは極めて重要なのだ。

だが、
株式配当、短期的利益を至上命題とする新自由主義経済学ネオリベラリズムを盲信したあげく、日本人と日本企業からオモテナシは姿を消した。
ヒトデナシは増えたケドナ。

大和の女子ならよく知っているはずだ。

「俺は凄い」とうそぶいてばかりいる男が有史以来すごかった試しがないことを。
この論法からのアナロジーで、
「日本はおもてなしの精神がある凄い国だ」といった日本人はまずもってぜんぜん凄くない。

思えば、
日本人はおもてなし・・・云々がメディアで盛んに吹聴されていた頃が分水嶺だった。
情報戦で完全に後塵を拝してしまったのだ。
しかもごくごく基本的な「褒めて、褒めて、褒めちぎってその気にさせる」というバイトのペーペーホストでも出来る作戦にしてやられたのだ。



スタバの深謀遠慮

スタバが深謀遠慮をもって長蛇の列を作っていることはわかった。

出店した町の宣伝を積極的かつ的確に行い「スタバが入った街は繁栄する」という実績神話をつくる。
すると「スタバならば少々安くても入って貰いたい」という空気がテナントや自治体に熟成されてくる。
こうなればしめたもの。
テナントコストをおさえて入店できるため、スタバはより話術に秀でたアルバイトを雇って街宣伝とその先にある企業価値上昇を加速させていく。
こうして現下のスタバ一人勝ち状態が生じているのだ。

だがスターバックスの深謀遠慮はこんなところに止まってはくれない。
日本人のライフスタイルを変遷させて、個人情報が商品化される世の中を日本にいち早く輸出した。
これもスターバックスコーヒーの功績だ。
スターバックスが尖兵として乗り込み、日本人のライフスタイルを変遷させ、GAFAやらMATANAが個人情報商品をごっそり持っていった。

個人情報の商品化やMATANAという社会人ならば必須の知見については、これらの記事が詳しいのではないだろうか。

「軒先を貸して母屋を取られる」
というコトワザがあるが、
ここ30年来の日本人と日本企業はまさにこれをやられてしまったのだ。

やけに柔顔なスタバに軒先をどうぞどうぞと貸して、
掌中の珠である個人情報をマイクロソフト、アップル、テスラ、アマゾン、エヌビディア、アルファベット(google)MATANAにごっそりともって行かれてしまったのだから。

だがまだ間に合う。
負けない算段はワタシがしておいたから、まあまずもって大丈夫だ。


さあ、そろそろ反撃にうつろうではないか。
頼りにならなくても、とにかく愉快な仲間を待ってます。

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