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民主派閥政治のジレンマ/個人情報商品化からの分析

1995年のインターネット解禁とともに個人情報が商品化されて30年になろうとしている。
我々はオンラインで安価にサービスを受ける代償として、今日も個人情報商品をIT企業に明け渡している。


この個人情報商品化という21世紀ならではの現象はあらゆる分野に大きな影響を及ぼしている。

今日は民主政治体制に及ぼす影響を考察してみよう。

民主政治は最悪の政治体制である


世界一の皮肉屋宰相であるW.チャーチルが民主政治を評したのがこの言葉。
「民主政治は最悪の政治体制である…」と自分を宰相におしあげたスキームを一刀両断したのだ。

確かに20世紀までの情報伝達が拙い世界にあっては、有権者が選挙にまつわる膨大な情報を入手できないなどの理由で民主政治体制はうまく機能していなかった。

だが、21世紀に入ると民主政治は史上の政治体制に変遷を遂げる。



民主政治は最もマシな政治体制である


実は上記したチャーチルの言葉は、小見出しのように締めくくられる。

「民主政治は最悪の政治体制である……だが、最もマシな政治体制なんだよ」といった具合で〆。

このチャーチルの皮肉が的中し、
21世紀に入りると民主政治は最もマシな政治体制になっている。



選んでいるように思えて、選ばされている時代

個人情報が商品化される21世紀にあっては、人々をコントロールすることが容易になっている。

ターゲティング
パーソナライズ
おすすめ大攻勢…

などなど、あの手この手で我々の行動はマタ〜ナ(後述)によってコントロールされている。
我々は、選んでいるように思えて実のところ選ばされているのだ。

ネット空間で収集された膨大な人々の行動パターンから、ある人物がどんなインプットに対しどんなアウトプットを返すかが把握され、行動を制御されていく。

これは選挙においても同じことが言える。
選んでいるように思えて、選ばされている。
この「選ばされている濃度」が年々増してしているのだ。




一人を狙い撃てる専制政治

この個人情報が商品化され人々がコントロールされる21世紀にあっては、
専制政治ないしそれに類する政治体制は甚だ危うくなっている。

なぜならば、たった一人をコントロールしてしまえば、その国を間接的に支配できるからだ。

極論すれば、専制君主一人の個人情報を収集し、それを分析してどんなアウトプットに対しどんなインプットを返すのかを把握してしまえば、その専制君主とその先にある国家を乗っ取れる。
だから、たった一人に意思決定を委ねる専制国家は個人情報商品化の21世紀において甚だ危険なのだ。



情報支配しづらい民主政治

翻って、民主政治体制の国家はどうであろうか。

民主政治の要諦は多数決だ。
つまり過半数の意思をコントロールしなければ、民主政治国家をコントロールできない。
ここが民主政治の唯一といってよい強みなのだ。

確かに個人情報が商品化された21世紀にあっては、上述したように人々の意思をコントロールし易くなっている。
しかし1億人近い人口をほこる国々をコントロールするのは容易いことではない。
過半数に当たる5000万人の個人情報商品を収集し、分析し、それぞれどんな行動パターンを持っているかを吟味精査しなければならない。
それは不可能ではないが、時間がかかることは明白だ。

特に専制国家と比べた場合、専制国家はたった1人の個人情報収集だけで国家を支配できる。
それに対し、民主政治体制の場合、5000万人もの個人情報収集が必要になる。

単純計算で5000万倍の時間が、民主政治国家支配のために必要なのだ。



情報支配に強い日本の政治体制

昨年末に自民党の派閥が解体されたかどうだかというニュースがあった。
ここまで偉そうに能書きを垂れてきたが、筆者は世事にあまり詳しくないのだ🥴

閑話休題。
民主政治における派閥というものは、一体、個人情報商品化の時代にあってはどうなのだろうか?

例えば日本の自民党。
派閥があることで、自民党の中の最強派閥を支配してしまえば、日本という国家を支配できていた。
つまり、民主派閥政治においては、
過半数の過半数を制御してしまえば、日本を支配できていたのだ。

これは昨日の総裁選に関心のあった人はよ〜くわかるのではないだろうか。

だが、昨年末の派閥解体でこうした横着が許されなくなりつつある。
もし仮に自民党に派閥がなくなったとすれば、自民党の構成議員全員を制御しなければ、日本は支配できない。
つまり派閥解体でますます日本の民主政治は制御するのが難しくなっていくのだ。


ただし、150人を超えた組織ではどうしても派閥が必要になる。
「ダンバー数150人」との兼ね合いから派閥が生まれるのだ。
派閥をつくらなければ150人以上の組織はうまく機能しない。
かといって派閥をつくれば外国からの情報誘導に脆い組織となる。
ここはどうにも難しいところである。

おさらいしよう。

まず、日本は多数決を要諦に据える民主政治体制であるため、国民の1/2をコントロールせねばならない。
次に、派閥が解体されたとすれば、過半数の過半数では自民党をコントロールできず、与党自民党並びに国家支配のためには、過半数議員のコントロールが必要となる。
専制政治では1人だけをコントロールすればその国を支配できるのだから、民主政治体制の強度がわかるだろう。

このように、日本の現下の政治体制は、現下猛威をふるっている情報支配に対し、なかなかに強い耐性があるのだ。




民主政治 21世紀のもっともマシな政治体制


民主政治は20世紀までにおいてつねに最悪の政治体制であった。
だが、個人情報が商品化された21世紀にあっては現存する政治体制の中で最もマシな政治体制である。

ただし、民主政治の上であぐらをかいていてはならない。
我々は民主政治体制が時間稼ぎをしてくれている間に、よりマシな政治体制を模索しなければならないのだ。

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