ブリュレ仕立ての黒糖ミルクレープ/ドトールの睨撃
カフェのスイーツ戦争が苛烈を極めている。
もはやカフェがドリンクだけで食っていける時代は終焉した。
わけても廉売カフェの双璧であるドトールとカフェベローチェは、好敵手としてスイーツ部門でもがっぷりよつに組み合っている。
スイーツ戦争の号砲となったのはドトールの「ミルクレープ」だ。
ミルクレープは従前の「廉売カフェのスイーツなんておまけ程度」という固定観念を一撃で観念させた。
「安く、それでいて美味く」の二律背反をドトールは処女作ミルクレープでこともなく打破したのだ。
ここからスイーツ屋はもとよりカフェ各社も、ドトールのミルクレープを追いつけ追い越せを念頭にスイーツ分野につぎつぎと参入していった。
かくしてスイーツ戦争の幕が切って落とされたのだ。
とろうま贅沢プリンの衝撃
ドトールのミルクレープは400円という廉価でありながら、一流スイーツと遜色ない甘露を誇り難攻不落だと囁かれていた。
だがその牙城を脅かす一矢が同じカフェチェーンであるカフェベローチェから放たれる。
「とろうま贅沢プリン」である。
とろうま贅沢プリンはとろける甘さを前面に押し出して、ミルクレープの押さえ気味の甘さに挑戦状を叩きつけたのだ。
スイーツの雄ドトールの牙城が揺らいだところに、カフェベローチェはさらに二の矢をはなち追い討ちをかける。
二の矢とは言わずもがな「ベルギーワッフル練乳いちご」である。
とろうま贅沢プリンがとろける甘さだったのに対し、ベルギーワッフル練乳いちごは突き抜ける甘さであり、カフェベローチェは甘露の濃密さの両極でドトールの牙城に肉薄した。
王者ドトールの風格
ドトールはしたたかだ。
敵の手札を見極めてから、つねに余裕を持って次の一手を打ってくる。
今回もドトールはカフェベローチェの虎の子である「ベルギーワッフルシリーズ全3作」が出揃うもの待ってから反転攻勢に出た。
目には目を、歯には歯を、カエサルのものはカエサルに。
甘露には甘露をもって王者ドトールは反攻に出た。
ブリュレ仕立ての黒糖ミルクレープ〜沖縄県産黒糖使用〜
これがドトールのジョーカーだ。
見れば見るほど、なんの変哲もないミルクレープに見える。
これほどまでにインスタ映えしなくていいんですかと小一時間問いつめたいが、雨の日で混んでいることもありそろそろ食べないわけにはいかない。
それにしても今どきこんなにインスタ映え狙いがないスイーツは珍しい。
垢抜けないというか、地味子というか・・・
つ、つまり、それだけドトールは味そのものに自信があるということに違いない。
ブリュレ仕立ての黒糖ミルクレープ
ドトールのミルクレープはナイフを入れた瞬間からパッションがほとばしる。
確かでしなやかな手応えとともにナイフが筋に入り、ミルクレープに綺麗なラインが引かれる。
これは癖になる儀式であり、美味しさ以外にもドトールの心憎いこだわりが感じられる瞬間だ。
さてミルクレープを御開陳して、おっとり刀で黒生地もろとも白生地を口にほうばる。
・・・
甘さの中央突破
甘い。
本当に甘い。
ドトールの黒糖ミルクレープは極上の甘さ、妥協や手加減一切なしの甘さ、あまさ一切なしの甘さだ。
まるで体の中央を甘露が中央突破して絡みつくかのような甘さ。
ここまでの甘さは生まれてはじめてかもしれない。
流石は沖縄県産黒糖使用だけのことはある。
ここでカフェベローチェのスイーツ二大巨頭をお浚いしよう。
①体がトロける「とろうま贅沢プリン」
②体を突き抜ける「ベルギーワッフル練乳いちご」
対してドトールの黒糖ミルクレープは「体を中央突破して背面展開する」甘さだ。
これは3つの棲み分けが完全になされている。
とろうま贅沢プリン ⇨ トロける 🔙
黒糖ミルクレープ ⇨ 中央突破して背面展開🔁
練乳いちご ⇨ 突き抜ける 🔙
ドトールは私だけでなく、カフェベローチェの二大自信作をも中央突破して背面に展開したのだ。
ドトールの横綱相撲
黒糖ミルクレープ一つだけで、カフェベローチェの二大巨頭と私までをも手玉に取ったドトールは聡明叡智だ。
ドトールの中でも「抑制の効いた甘さのミルクレープ」と「剥き出しの甘さの黒糖クレープ」という棲み分けが出来ており、それでいて競合他社にもしっかりと睨みを効かせた。
こんな芸当をやってのけるドトールの開発部門はバケモノだ。
ますます苛烈になるカフェスイーツ戦争から目を離してはならない。
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