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撓やかに柔らかに【きまぐれエッセイ】

エネルギーが高く、生きているものは柔らかくてみずみずしい。
エネルギーが低くなるときが死ぬとき、そして干からびて固くなる。
しなやかなものこそ強大堅固なものをコントロールできる。
柳に風のごとく、長期的にみれば柔軟なものが真の生命力を発揮する。
堅くて硬直したものはかえってもろく折れやすい。

エネルギーが高く、生きているものは柔らかくてみずみずしい。そう、まるで若々しい朝の露に濡れた葉っぱみたいに。エネルギーが低くなるときが死ぬとき、そして干からびて固くなる。まるで昔の恋のように、輝きを失い、忘れ去られた記憶の中で静かに朽ちていく。

しなやかなものこそ強大堅固なものをコントロールできるって話、これはもう古今東西の真理と言っていいでしょう。例えば、柳に風のごとく、長期的にみれば柔軟なものが真の生命力を発揮する。

これは柳が風に揺れる様子からの教訓で、どんなに強い風が吹こうとも、しなやかに揺れる柳は折れないんです。逆に、堅くて硬直したものはかえってもろく折れやすい。まるで鋼のような心を持っていると自負している人が、実は小さなことで簡単に心を折られてしまうように。

エネルギーの高低を人生の光と影に例えるなら、柔らかくてみずみずしいものは喜びや希望、そして愛情で満ち溢れている時期。そして、干からびて固くなるのは、失望や悲しみ、絶望に打ちひしがれる時期。どんなに強く見える人でも、心の中に柔らかさを持っていなければ、風に揺れる柳のように、人生の嵐を乗り越えることはできないんです。

あたしも、何度か人生の風に吹かれてきたけれど、しなやかさを保つことができたのは、自分自身を見つめ直す時間を持てたからかもしれない。柔軟さを保つためには、時には立ち止まり、自分の心に耳を傾けることが大切なんだと、最近つくづく思うのです。風に揺れる柳のように、しなやかであり続けることが、真の強さなのかもしれませんね。


草木を例にとって、柔弱の貴ぶべきことを述べたものであるが、最後の二句はまた草木の例から強大なるものが低きにおるべきことを説いていて、共に柔弱もしくは謙下徳をたたえたものである。

[諸橋轍次]

人の生まるるや柔弱、其の死するや堅強なり。
万物草木の生ずるや柔脆、其の死するや枯槁す。
故に堅強なる者は死の徒、柔弱なる者は生の徒なり。
是を以て、兵強ければ則ち勝たず、木強ければ則ち共る。
強大は下に処り、柔弱は上に処る。
[老子:第七十六章戒強]


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