見出し画像

荻窪の消えたゲーム会社

『ぷよぷよ』を開発したコンパイルが倒産したことは先日書いたとおりだ。考えてみると、そのほかにも倒産でなくなってしまったゲーム会社はあった。
 
『ぷよぷよ』のようなパズルゲーム『洗脳ゲーム TEKI・PAKI』を開発していたのが東亜プラン。このタイトルは東亜プラン最後の時期のゲームで、同社はシューティングゲームで有名な会社だった。
『飛翔鮫』『究極タイガー』『TATSUJIN』など東亜プランが開発したゲームは、ゲームセンターで楽しませてもらった。とくに『飛翔鮫』は、ゲーム終了後の音楽が気に入っていた。
 
東亜プランは荻窪にあった。駅の北口を出て杉並公会堂の方に歩いて行くと同社のビルがあった。その反対側、南口を出て環状八号線の方に行くとデータイーストがあった。
 
データイーストは、『チェルノブ』『ミッドナイトレジスタンス』『空牙』というアーケードゲームがコアゲーマーに人気だった。ファミコンやスーパーファミコンでは『ヘラクレスの栄光』シリーズ、『メタルマックス』シリーズを発売していて多くのファンがいた。
『ヘラクレスの栄光』はギリシャ神話をモチーフにしているところ、『メタルマックス』はキャラクターが乗った戦車がパーティーを組んで戦うところが斬新だった。
 
同社は、国内のゲーム会社としてはめずらしくピンボールを開発・販売していた。会社地下1階にピンボールの収蔵庫のようなところがあった。
日が暮れるまでピンボールの取材していたときのことだ。撮影が終わり、帰り際に広報担当者に挨拶した。ついでに何気なく「部屋が薄暗いと夜は怖いですね」と声をかけた。
 
すると担当者が答えた。
「夜遅くまで残業していたときなんですが。自分のデスクに電気スタンドがあって、小さなキャラクターの人形をぶら下げていたんです。ふと見ると、それがゆらゆら揺れているんですよ。じきに揺れが大きくなってぐるぐる回り始めたので、気持ちが悪くなってすぐ退社しました。そばが墓地なので、こういうこともあるのかな」
意外な話にびっくりして、あたふたとデータイーストを後にした。ほどなくその人は会社を辞めたので真意のほどはわからない。
 
いろいろと取りとめのない思い出を書いてみたが、荻窪には独創的なゲーム会社があったのである。しかし、残念なことに東亜プランは1994年、データイーストは2003年に倒産した。たまに荻窪に行くことがあるが、ゲーム会社がなくなった荻窪はちょっと寂しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?