かわぐちようじ

元ゲーム雑誌の編集長をしていました。現在PC、スマートフォンゲーム関連した仕事に関わっ…

かわぐちようじ

元ゲーム雑誌の編集長をしていました。現在PC、スマートフォンゲーム関連した仕事に関わっています。ゲームビジネスのこれまで、いま、これからについて書いています。

最近の記事

荻窪の消えたゲーム会社

『ぷよぷよ』を開発したコンパイルが倒産したことは先日書いたとおりだ。考えてみると、そのほかにも倒産でなくなってしまったゲーム会社はあった。   『ぷよぷよ』のようなパズルゲーム『洗脳ゲーム TEKI・PAKI』を開発していたのが東亜プラン。このタイトルは東亜プラン最後の時期のゲームで、同社はシューティングゲームで有名な会社だった。 『飛翔鮫』『究極タイガー』『TATSUJIN』など東亜プランが開発したゲームは、ゲームセンターで楽しませてもらった。とくに『飛翔鮫』は、ゲーム終了

    • ゲームファンの嗜好は少しずつ変化している

      売れているコンソールゲームの大半は、2000年前に発売された人気ゲームのシリーズタイトルだ。1985年のゲームユーザーを中心とするユーザー層には馴染みのタイトルである。当分この傾向は変わらないだろう。と先日書いた。 だが、ゲームファンの嗜好が少しずつ変わりつつあるのではないか、と最近考えることがある。   この数年大学で話すことがあり、授業の前にアンケート調査を行っている。 アンケートの質問は毎年同じ。最初が「初めて遊んだゲームは何ですか?」というもの。 ゲームタイトルはばら

      • コンパイルはゲーム機のあだ花である

         ディスクシステムはファミコンの周辺機器として1986年に発売された。ゲームデータが記録されている専用ディスクをディスクドライブに挿入することでゲームがプレイできた。  ディスクシステム用に発売されたゲームでは、『スーパーマリオブラザーズ2』『ゼルダの伝説』などのヒットタイトルもあった。しかし、ゲームが発売されたのは1992年まで。  その前年1991年に徳間書店から『ぷよぷよ』が発売された。  ゲームを開発したのはコンパイル。1980年代前半からセガのゲームの開発受託をし

        • 減少する人口とゲーム市場の行方

          1985年9月『スーパーマリオブラザーズ』(以下、マリオ)が発売され大人気になり、ファミコンブームが到来した。 1984年秋ごろ新宿駅近くの家電量販店の前で、発売されたばかりのファミコンを買おうかどうか迷っていたが、『麻雀』や『ベースボール』ぐらいしか遊びたいゲームがなかったので購入を諦めた。ファミコン本体はいつも店舗の店頭に並んでいた。ところが『マリオ』が大ヒットすると、しばらくの間なかなか手に入らなくなってしまった。『マリオ』がゲーム業界を席巻していくのである。   当時

        荻窪の消えたゲーム会社

          スマートフォンゲーム市場の10年

          2012年国内の4G通信環境が整備されるが、それとともに携帯PCであるスマートフォンが普及した。同時期にスマートフォンのオンラインゲームが人気となり、新しいゲーム市場が誕生した。ガラケーで簡易にインターネットを介してプレイできるソーシャルゲーム市場は同年ピーク(約3,000億円)を迎え、翌年から縮小していく。   一方スマートフォンゲーム市場は急激に拡大し、2023年1兆数千億円の規模になっている。それに対してPCのオンラインゲーム市場は縮小傾向にある。約570億円の市場規模

          スマートフォンゲーム市場の10年

          オンラインゲームに続編はあるのか

          オンラインゲームはインターネットを介してプレイするゲームの総称である。1990年代後半PCでプレイするオンラインゲームがアメリカで誕生した。 遠隔地に住む複数の仲間同士がプレイする楽しさが受けユーザーは増えていった。とはいえ、当時アメリカもインターネット環境が劣悪だったため、友達同士がPCを持ち寄りプレイする形態がもっぱらで、これが大規模なLANパーティーに発展しeスポーツの誕生につながる。   1990年代末いち早くブロードバンド通信環境整備を進めていた韓国で、オンラインゲ

          オンラインゲームに続編はあるのか

          世界で各国のゲームIPが競合する時代は近い

          日本のゲームIPは、世界において認知度が高くブランド化しているものがt数多い。 その最大の要因は、1980年代から1990年代にかけて任天堂やセガ、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現SIE)のゲーム機が北米やヨーロッパに普及し、ゲームプラットフォームとして機能していたので、国産のゲームが容易に海外進出できたからだ。その中で人気となったマリオ、ゼルダ、ポケモン、ソニック、FF、ストリートファイターなど日本のタイトルがブランド化して現在に至っている。一方『クラッシュ・バン

          世界で各国のゲームIPが競合する時代は近い

          アジアでは韓国のIPが人気

          1990年代後半インターネットを介してPCでプレイするオンラインゲームがアメリカで登場し、2000年早々韓国で人気となり、オンラインゲームがプレイできるPCバン(ネットカフェ)が次々に誕生した。あのころ国内はブロードバンド時代の直前で、これからどういうビジネスが興隆するのかわからなかったので、IT関連の会社は一足先にブロードバンドビジネスが生まれていた韓国を調査していた。某通信会社の依頼を受け、私は何度か韓国を訪れPCバンやゲーム会社を取材していた。   1990年代『ストリ

          アジアでは韓国のIPが人気

          マリオというIPは当時も別格だった

          『スーパーマリオブラザーズ』が発売されたのは1985年9月。個人的な話になるが、その年の1月に創刊したビデオゲーム専門雑誌(以下、ゲーム雑誌)に関わっていた。もちろん、ゲーム雑誌が売れるかどうかわからないころだ。   『スーパーマリオブラザーズ』が大人気となる少し前の7月、初のファミコン専門誌『ファミリーコンピュータMagazine』(徳間書店インターメディア/以下、ファミマガ)が刊行された。 1986年になると角川書店やアスキーなどの出版社から続々とファミコン専門誌が刊行さ

          マリオというIPは当時も別格だった

          IPゲーム大半が2000年以前のタイトル

          どんなゲームも最初から人気があったわけではなく、IP化していくのは人気を得た前作の第2弾からである。とはいえ、続編が不人気の場合はその後のシリーズ化は難しい。最初にリリースされたタイトルとその次回作がある程度の人気を得ると、だいたいその後続いていくようだ。   『ファミ通ゲーム白書2023』掲載の売上ランキングトップ30で大半を占めるIPタイトルだが、それぞれの第1弾は以下のようになっている。   『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』は『ポケットモンスター 赤・

          IPゲーム大半が2000年以前のタイトル

          売れたゲームの83%はIPタイトル

          ゲーム白書2023』にある売上ランキングを詳しく見てみよう。 売上トップ30タイトルでは、前述の『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』や『スプラトゥーン3』のほかに『星のカービィ ディスカバリー』(4位)、『マリオカート8 デラックス』(6位)、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(9位)、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(19位)など任天堂のタイトルが目立つが、こうしたゲームはシリーズ化しているものだ。   任天堂以外にもシリーズのタイトル

          売れたゲームの83%はIPタイトル

          IPが席巻するゲームビジネス

          過去に発売されたビデオゲーム機(以下、ゲーム機)やゲームソフト(アプリ)は、発売された当時の先端技術を駆使してゲームの楽しさを提供してくれた。 ゲーム機が8ビットから16ビット、さらには32ビットに変わるたびにゲームのグラフィックやサウンドがグレイドアップしていく。すると、それまでのゲームが急に古臭いものに思われ、ゲームメディアがカートリッジからCD-ROMなど次々に変わると、素人ながらにテクノロジーの進化を感じた。 1980年代から1990年代にかけて実感したこのようなゲー

          IPが席巻するゲームビジネス