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ランニングなんて続けられない。

 継続は力なり、ってわかっているけれど、ずっと続けることって、ほんと難しい。いや不可能だと思う。走れない理由は山のようにある。暑すぎる。寒すぎる。眠すぎる。ダルすぎる。忙しすぎる。血と骨を書いたのは、ヤンソギル。

 年をとるごとに、走り始めがつらくなっている。40代後半ぐらいからだろうか、スピードもどんどん落ちていく。早く走れないから無理をする。つらいから走らなくなる。これの繰り返しだ。

 ぼくにとって、ここ数年のランは、敗北の歴史だった。

 今から2ヶ月前、ぼくの人生における体重のピークを迎えた。つまり人生でもっとも体重が重くなっていた。リモートワークが多くなり、またコロナで抑制されていた会食もふえた。忙しくて、ランも、バイクも、ほとんどできていなかった。

 こうなると、ランニングはますますつらくなる。

 ちょっと走っただけで息があがる。身体もしんどくなる。タイムをみて愕然とする。もっと早く走れるはず、とがんばればがんばるほど、つらくなる。これではランニングなんて続けるはずがない。

 そして先月、とんでもないしっぺ返しをくらった。

 新潟の山間部をロードバイクで、120キロ走るライドイベントに参加したのだが、これまでロードバイク人生で最も辛い経験だった。登りを積算すると2000メートルをこえるという超タフなコース、つまり自分の重さがネックになる。数万円の部品を買って、数百グラムの重さを削るというヒルクライムの世界、ベストの体重から10キロ近く”太っている”自分をサドルの上でなんど恨んだことか。

 本気で痩せようとおもった。

 数日後、ランニングを再開した。どうせ数日しか続かないだろう。でも走らずにはいられなかった。

 なにげない気持ちでNIKEのアプリで音声ガイドランを試してみた。思いがけず、それが功を奏した。もう10日以上も走れている。体重もサクサク落ちはじめ、6キロも落ちた。

 それにしても、なぜぼくは走り続けられることができるのだろう。

 トレーナーの女性が何度も語りかける、ある言葉のおかげだった。これまで何度も挫折してきたが、その言葉は心の重石を取り払ってくれた。それはランニングだけでなく、人生にも通じるとても大切な考え方だった。あれほど辛かったランが楽しくなってきた。

 その言葉とはなにか。

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