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旅はトローリーにランニングシューズを詰めて。

河瀬大作

 旅は断然、スーツケース派である。トローリーをごろごろ言わせて津々浦々旅している。ぼくは旅のかなり荷物が少ない。数週間の海外ロケでも機内持ち込みができるサイズのスーツケースで十分だ。荷物それだけですか?っていつも驚かれる。一方で一泊二日の出張でもやはり同じスーツケースででかける。荷物少ないのに、なぜかって?それは、どこにいくにもランニングシューズを持って行くからである。

 20代、30代の頃は、出張先でカメラマンや音声さんとゴリゴリ飲んで、次の日にはギリギリまで寝ていた。ロビーへと降りるのは、いつも集合時間ぎりぎり。朝ごはんは夜中に帰りがけにかっておいたコンビニのサンドイッチ、ロケ車のなかで食べたりしてた。
 しかし今では夜は早々に切り上げる。できればお風呂にはいって寝てしまう。旅先では、ランニングのためにとにかく早起きしたいからだ。

 朝6時には起床。水をゴクゴクと飲んでから、ランニングにでかける。

 だいたい1時間。無理はしない。
 1キロ7分とか8分とかのスローペース。

 ホテルはだいたい街の真ん中にあるので、市街地を走ることもあるし、足を伸ばして、大きな公園にでかけたりする。走ると、その街のスケールがすっと身体にはいってくる。地下鉄やタクシーで移動すると、点でしかその土地を覚えられないが、自分の身体を使って移動することで、面として街を理解することができるのだ。ネットで調べておすすめのコースを探すこともある。北海道大学のキャンパスをクラーク博士の銅像からずっと北へと走ったり(すごく奥深い)、名古屋では久屋大通公園をぐるっと一周したり(最近再開発されてて面白い店がいっぱいある)、大阪では中之島のホテルだったので、川沿いを走ったり。

 長期滞在であれば、ホテルを起点に、いろんな方角へとランででかける。ベルリンに数日間滞在した時には、1日10キロずつ走った。まだ動き出す前の街は、ふだんと別の顔を見せる。日中は観光客や物売りで賑わうあのブランデンブルク門も朝日をうけてひっそりとたたずんでいた。ベルリン天使の歌にでてくるあの戦勝記念塔に思いがけず出会したときには心が震えた。

ブランデンブルク門
ベルリンの動物園の近くにある天使の塔

 ランニングをする友人との旅ならなお楽しい。東京にいると互いに忙しくなかなか一緒に走ることができないが、旅先なら早起きすれば時間をつくることができる。日テレの土屋敏男さんとパノラマティクスの齋藤精一さんといったロンドンでは、齋藤さんがランニングデビューするというので、3人でケンジントンパーク、ハイドパークへと連日ランニングででかけた。このふたりとは今もランニング仲間で、NIKE+で毎月距離を競い合っている。

ケンジントンパークをランニングする土屋敏男さんと齋藤精一さん
ハイドパークではかもと白鳥が大量にいた

  ランを終えたら、シャワーでしっかり汗を流す。国内での宿泊先はできるだけ大きなお風呂があるホテルを探す。サウナがあるとなおうれしい。ランで疲れた身体をあたためて回復させる。
 そして朝ごはん。バイキングでも、定食でもよいのだけれど、お腹はしっかりと減っているので、しっかりと食べる。最近は日本のビジネスホテルでも朝食に力をいれていてご当地メニューなんかがあったりもする。札幌にいけば朝から海鮮丼食べ放題、福岡ならたっぷりのめんたいこ、名古屋ならひつまぶし。ランニングで相当なカロリーをしっかり消費しているので、心おきなくしっかり食べられる。 

 朝起きて、ランニングして、汗を流して、朝食を食べる。だいたい2時間でワンセット。朝6時からランして、朝8時にはもうすっきりした頭で、仕事モードにはいることができる。ぼくはズボラだから、これを家ですることはできない。でも旅先なら、早起きすることができる。見たことのない街を走り、ご当地の美味しいものをお腹いっぱいいただく。身体も心もすっきりする。こんな愉悦があるのなら、どんどん早起きできるよね。
 
 今度は、どんな街を走ることができるだろう。 

早朝、誰もいないラスベガスのショッピングモール


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河瀬大作

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