東京で、父とうなぎを食べた。
父と母をつれて、うなぎを食べにいった。愛知に住む2人が、十数年ぶりに東京に出てきたからだ。かなり奮発した。目が飛び出るような値段だった。だんだん食が細くなっているという父だが、この日はぺろりと平らげた。ニコニコしながらうなぎを口に運ぶ父の姿を見ながら、あと何回、こうして一緒に食事をすることができるだろう、そんなことを考えていた。
ぼくは、ずっと父が苦手だった。頑固で、強い人だった。若い頃はよくぶつかった。疎遠になった時期もあった。だが数年前から耳が遠くなり、記憶も少し曖