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大阪・淀川とブッシュ大統領

2005年11月、米国のブッシュ大統領が来日しました。外交のことはよく知らないですが、このときのことは忘れられません。

小泉首相との会談場所は京都でした。大統領は専用機で大阪の伊丹空港に到着。京都との間はヘリコプターで移動したそうです。

私は当時、大阪に住んでいたのですが、上空を物々しいヘリコプターの編隊が飛んでいったのでびっくりしました。

テレビをつけると地元の放送局が興奮状態で実況中継をしています。特別番組でしょうか。中継の担当者が「いま、大統領を乗せたとみられるヘリが淀川上空付近に差しかかりました!」と叫んでいたと記憶しています。ほかの出演者たちも「とうとう淀川に達したか」という雰囲気で聞いていました。完全に、視聴者も同じ思いを共有しているという前提です。

しかし「淀川」ってブッシュ大統領にとっては全く眼中にないだろう…っていうか東京の人ですらピンと来ないよな…と思いつつ、当時は私も梅田の勤務先まで電車で淀川を渡って通う日々でしたから、なんとなく胸が熱くなったのを思い出します。もしかしたら大統領もヘリの窓から淀川を見ているかもしれない、お付きの人が「ザッツ・ヨドガワ・リバー」とか説明するのを聞いてうなずいているかもしれない、なんて想像しました。

梅田から望む淀川。左手は大阪湾。向こうの山は六甲方面でしょう(何年か前に撮影)

私は大阪出身ではありませんが、やっぱり大阪の人にとっては淀川って地理的なイメージをつかみやすいし、なにより大阪を代表する川だという誇り(おおげさ)とか親近感みたいなものがあるのかなと感じました。少なくとも大阪北部の人にとっては、淀川の存在はかなり大きいと思います。

清流じゃないし京都の鴨川みたいな情緒もないけど。花火大会も人混みで疲れるんだけど。たまに大阪に行って電車で淀川を渡ると、じーっと眺めてブッシュ大統領のヘリコプターのことを思い出します。


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