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『カササギ殺人事件』

 先日、コミック『バーナード嬢曰く』の5巻を読みまして、作中でなかなかの絶賛だったので、読んでみました。
 いやー、めちゃくちゃ面白かった。ミステリのこと全然詳しくないけど(いつもの)、だいぶよかったですね。干支が一周するくらい昔に『そして誰もいなくなった』を読んだときも感動したけど、それと同じ感じ。以下、その時の感想。

 たぶんまだネタバレにはならない範囲なのでここに書きます。なんていうか、『指輪物語』を評して「RPGだよねこれ」というねじれと同じなんでしょうけども、まさに金田一少年をリアルタイムで読んでいた僕とかは、「ああ、これがそうだったのか!」と思う内容で、どういうことかというと、各人が部屋でなぜか口元をにやりとだったり恐れだったりで歪ませてたりして、んでもってコマ内に「!?」とかつけてみたりして、そういう感じのあれは小説でこういう風にできたんだなあと感心しました。

 めっちゃこういう感じ。特に上巻の前半、節の終わりごとにいちいち不穏な雰囲気がかもされてて、「どうなっちゃうのよおお」って、やきもきして最高。謎解きもフェアな感じがしてそこも好きでしたね。

 まだ、ぎりネタバレじゃないというか、始まってすぐにわかることなのでオーケーにしますが、メタフィクションなのも好き好きポイント! 編集者が、とある作品を読むところから物語が始まり、そのすぐあとに改めて作中作のタイトルやレビュー(!)が続いていく、この作りが好きなのよねー。
 関係ないというかあるというか、なんなら『指輪物語』もメタフィクションなところが個人的チャームポイントなんだよなあ……。トールキン教授が翻訳した体なのとか、ビルボ、フロド、サムといった赤表紙本の著者らが物語内の登場人物として自覚的なところか、めっちゃ好きなのです。



 ここから、微妙にだけどネタバレもしていくから、よろしく!



 メタの話でいうと、現実舞台のほうの主人公であるスーザンが、「自分でも、どうしてそんなことをしたのかわからない」と疑問を持ちつつ、iPhoneで写真を撮って回ってしまうシーンも(作中の謎解き要素のためもあるんだろうけど)、自分がまるで探偵小説の主人公のようになってしまったかのような感覚を味わわせてくれて素敵だ。

 正直謎解きについてはほとんど解けなくて、作中作の第一の殺人が事故だったくらいしかわからなかったけど、下巻の最初に出てきた手紙が1枚だけちゃんと短くなってるのとか、細かいところもしっかり読めばヒントだらけだったことに感動して楽しかったなあ。

 それと、ミステリとしてはめずらしく自分が先に読み終わっていたので、お嫁が読み始めてから、どう読むのか楽しみにしてました。謎を解くのかなあ。
 あとね、作中作の探偵の名前でここには書けない感じの下品な言葉遊びをしましてね……ウッフフフ。驚くかなあ……なんでそんな単語チョイスをしたのかわかったら……ウッフフフフ。
 ※無事驚いてもらえました。謎解きはちゃんとどっちも犯人当てて、理由もしっかりしてたので感心しちゃった。

 だいぶ楽しめたので、同作者の別の作品も読みたいし、なんやら自分はクリスティが好きっぽいので何冊か読もうかなと決意して、あっさりと終わります。

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