車の運転と強迫性障害
運転中の強迫観念は今では全く起きなくなりましたが、以前、他の強迫性障害が酷かった時期には運転中もOCDで苦労していました。
この記事ではその頃に起きた私の強迫観念を笑い話として書いてみます。
夜の道路の水たまりで起きた強迫観念
東北のほうへ旅行に行き、予約していた旅館へ向かって山道を走っていたときのこと。すっかり日が暮れてあたりは暗くなっていました。
山の中なので街灯はほとんどなく、車のヘッドライトが照らす範囲だけが浮かび上がっていました。
ある場所で道の真ん中に小さめの水たまりがあり、それが道路についた黒い染みのように見えました。
私が運転する車はそのまま普通に水たまりの上を通過して進みます。しかし私の頭の中ではその時発生したある強迫観念がうるさく騒いていました。
強迫さんが言うには「あの黒いシミは何だったのだろう?」「もしかして誰か事故にあった人が近くに倒れていて、あの道路のシミは血だったのではないか」とのこと。
もしひとりで運転していたなら引き返していたことと思います。しかしその時は同乗者がいたのでそのようなくだらないことを言い出して異常だと思われることのほうが嫌でなんとか我慢してそのまま進むことができました。
結局翌日に強迫観念とは関係なく同じ道を通ることになりましたが、道路には特に何の異常もありませんでした。
道路の出っ張りが気になって仕方ない
信州の山間部を走っていたときのこと。道路に何か出っ張ったもの(境界杭か何か?)があり、それをタイヤで踏んだような気がして気になりだしました。
踏んだという行為が気になったのか、あるいはその出っ張りが何なのかについて気になったのか、今では記憶があやふやでよく覚えていないのですが、もやもやした気分を抑えることができず、しばらく走った後に引き返してその場所へ戻りました。
アスファルトに埋め込まれているものなので車で踏んだとしても破損するわけでもなくタイヤがパンクするわけでもないのですが、なぜか突然湧いてきた正体不明の気持ち悪さを振り払うことが出来ません。
同乗者がいれば我慢していたのかもしれませんが、そのときは一人で車に乗っていました・・・。
そのため人目を気にせず強迫観念に支配されて現場に戻ってしまったのです。
戻ってその出っ張りを確認しても、何かの謎が解けたようなすっきり感があるわけでもなく、また走り始めると、今度はきちんとその出っ張りを確認し尽くせていないような気持ちが襲ってきて、その後何度も車で行ったり来たりするという意味不明な行動のドツボにハマってしまいました。
そんな時は車を運転しながら「一体自分は何をやっているんだろう」という焦りのような自己嫌悪のような気持ちに沈みます。
結局、スッキリするわけではなく、ただやりきれない気分と強迫観念を抱えたまま走り去るしかありませんでした。
コインパーキングの車止めが下がったかどうか
コインパーキングに駐車した車に乗り込む際、料金を払うと自動的に下がる車止めがちゃんと下がったことを目で見ないで(ウィーンという音だけ聞いて)車を発進させたことが後から気になりだし、もう一度そのコインパーキングまで確認しに戻ったことがあります。
車止めが下がっていなければそもそも車を発車できないのですが、実にくだらないこだわりです。
その時は交通量の多い道路でUターンできるようなところではなく、かなりの距離をぐるっと周って戻ることになってしまい膨大な時間を浪費してしまいました。
さらに、戻ったときにはもうその場所に別の車が駐車されていたので車止めは上がっており、自分が確認したかったことを確認すらできず、その意味のなさにやりきれない思いや自分に対する嫌悪感が残りました。
車のドアを開けると何か落としてしまった気がする
車のドアを開けた時に何か物が外に転げ落ちてしまったのではないかという強迫観念が起きるようになり、駐車場などに停めた車に乗り込む際には車の周辺をくまなくチェックしてから乗り込むのが習慣になっていました。
はたから見るとまるで教習所で教わったことを忠実に実行している模範生のようだったことでしょう。笑
車の周りを一周するだけでなく、しゃがんで車の下を覗き込んだりしていました。
今はこの症状もほぼ無いのですが、それでも車に乗る時にズボンのポケットに携帯電話などを入れたままにしていたり、車のドアについている収納ポケットに何か物を入れておくのは好きではありません。
高速道路は好きだった
そんな強迫観念に攻められていたあの頃の私でも、高速道路を走っているときは気分が楽です。
なぜなら高速道路は進むことしかできないから。もし引き返してまた同じ場所を走行しようとするなら大変な手間がかかりますしお金もかかります。そのため運転中に何かが気になったとしても「もう戻ることは出来ない」と諦めることができるのです。
確認強迫は車に関すること以外でもそうなのかもしれませんが、「簡単にすぐ戻って確認できてしまう」という状況が悪化を誘発するのかもしれません。
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