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愛犬を大切にするあまり確認強迫がエスカレート

私にはとても大切にしている愛犬がいます。
今は強迫性障害の症状がかなり改善できたので、愛犬の世話ももっと上手くできていますが、数年前に強迫性障害がひどかったころは、その症状のせいで世話がとても大変な時期がありました。
今回はそんな思い出話をいくつか書きます。

愛犬のトイレシートを捨てるのが不安

室内犬なので部屋の中に犬用のトイレシートを置いています。
そこにおしっこやウンチをした後はトイレシートをたたんでビニール袋に入れて捨てるのですが、そのときに何か「大切なもの」「愛犬の一部」をトイレシートと一緒にたたんで捨ててしまいそうな不安が生じ、一度たたんだトイレシートをまた引き伸ばして確認したい衝動にかられていました。

ひどいときはトイレシートをたたみビニール袋に入れて犬用のゴミ箱に捨てた後、しばらく経っても強迫観念を振り払うことができず、結局ゴミ箱の中から先ほど捨てたビニール袋を取り出して中を確認してしまうこともありました。

当然、何も捨ててはいけないものは入っていませんが、そのような強迫行為をすると今度はその強迫が拡大し、ビニール袋の中だけでなくゴミ箱の中全体を確認せずにはいられなくなってしまうという・・・

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そんな確認強迫に悩まされているうちに犬のトイレの世話をすることに対して苦手意識を持ち、可能な限り家族にやってもらうようになっていたのですが、このとき、家族がトイレシートをたたんでビニール袋に入れているのを見ていることもできません。
それを見ていると自分がやっているときと同じように強迫観念が浮かぶので、トイレの処理をしているときはそちらを見ないように目を背けていました。

その頃、強迫性障害を専門にしておられるカウンセラーの方にカウンセリングをお願いしたことがあったのですが、その際にこの強迫症状について話すと、赤ちゃんのおむつを取り替えるときに同じことを言う強迫性障害の母親がいると言っていました。
かよわき赤ちゃんという大切な存在。赤ちゃんを守りたいという気持ちやそのプレッシャー。なるほど、確かに似た境遇です。

犬の散歩中に突然湧き上がる強迫観念

犬と外を散歩することは、本来であれば強迫性障害に悩まされる日々の気分転換にもなるはずです。しかし私にとってはそれも強迫の元になってしまっていました。
愛犬の一部(自分でも意味不明の概念です)を散歩の途中でどこかに置き忘れてきてしまったような不安感が湧き上がることがあるのです。

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公園のベンチに座ったとき、小石や枯葉を踏んでカリっと音がしたとき、雨水の側溝の蓋を踏んでカーンと金属音が鳴ったとき。
そのようなふとしたタイミングで突然頭に雑念が浮かび、得体の知れない不安感に巻き込まれます。
そしてそれが愛犬の一部を道端に落っことしてしまったのではないかというまったく根拠のない強迫観念に発達してしまうのです。

強迫を無視してしばらく歩いたものの、結局はやはり強迫観念に耐え切れずにその場所まで戻ってあたりを確認することがありました。
これをやってしまうと自己嫌悪感がひどく、せっかく天気の良い日の散歩が台無し。気分転換どころか逆効果でした・・・

愛犬をちゃんと車に乗せたかどうか不安

旅行に行ったときのこと。日が暮れた頃に観光を終えて駐車場の車に戻り帰途につきました。
帰り道は長時間のドライブになるので車に乗る前に犬の足を拭き、車の中に設置した犬用ケージに入れて出発しました。

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しばらく車で進んだ頃に私の頭にふと強迫が。
さっき駐車場で車に乗り込んだとき、犬をちゃんと車に乗せただろうか?と。
あの暗い山の中の温泉街の駐車場に愛犬を置き去りにしてしまったという恐ろしい光景が頭に浮かびました。

車の後部座席に設置したケージを見ると愛犬は寝ています。つまり明らかに置き去りになどしていません。
しかし一度その強迫観念が浮かんでしまうと、駐車場まで戻ってまた車に乗り込むところから「やり直したい」衝動が襲ってきたのです。
本当に意味の無い行為であることは重々わかっているのですが、不快感がなかなか消えません。

家族は私が強迫性障害であることを理解しており、行動療法についての本も読んでいるため、家族に「駐車場に戻ってほしい」と言っても絶対に許可してもらえないことは目に見えていました。
そのため自分の中で暴れ回っている強迫観念のことを家族に言っても仕方ないと思い、このときは我慢しました。その後も数時間は苦しみましたが最終的には強迫行為をせずに済みました。

そんな旅行の思い出も、今では軽い笑い話として思い出せます。笑
ここにたくさん強迫性障害の記事を書いている通り、他にも色々な強迫観念に悩まされていた私ですが、ここまでよくなったと思うと嬉しいです。
書籍を読んで自分なりに行動療法をがんばったおかげだと思っています。
強迫性障害に悩んでいる方は、まずはちゃんとした書籍を読んで、ちゃんとした知識を身につけるところから始めることをお勧めします。

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