惜しい春が過ぎていた
俺たちはいつも思う、
青春とか君はどこにいるんだろうって。
例えば手を繋いで階段を降りたり
エスカレーターで君が一個下に乗って
上目遣いが狡い君の頭を撫でたり。
薄着の君が暑いって言って袖をまくるように
それはいつもなら夏じゃなくて、
春から聞こえ始めるみんなの声なのに。
俺たちは、去年の春から何も進んでない。

一年生から始めたギターは
少し上手くなりながら
下手くそな音を披露してると
いつの間にか2本になってたり
カッコいいからって踏めば歪む知識を
習得すると、それと同時に
心も歪んだ気がした。
大人になったってことなのか、
知るってことが大人になることなのか。
大人になって、いいことって。
大人になった俺は、
君に何をしてあげられるだろうって、
考えているうちに弦が錆びていく
触ってないくせに。

涼しい2020の夏が過ぎて。
初めましてのルームメイトに挨拶して。
笑って勉強して、君と出会って。
いつの間にか2人って呼ばれるようになって。
くっついて。解けて。
好みの髪じゃなくなって2人じゃなくなる。
そしたら一つ歳を得て
そしたら君を一生失った 
一つの差が凄いことを知った。

このうちに季節は4つ過ぎていた。
一年、今から一年前は
今と変わらない、やっぱり1人
ほら、何も変わってない。

変わってるのは、

匂いが変わった君に貸した服と
片っぽのキーホルダーがあること

それだけ。

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