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京葉線快速縮小問題を考える㉖夕方下り快速の今後の復元可能性は

2024年9月ダイヤ変更で京葉線快速が一部復活することとなり、おおむね好意的に受け止められており、筆者も一定の評価をしている。ただ、好意的な報道が多いゆえにこれで決着した感が漂っていることを沿線民としては懸念している。そのような中、日経が我が意を得たりと言った趣旨の記事を掲載していたのでご紹介。

要旨として、夕方の上下快速が無い点とその説明不足への地元側の不満が大きく取り上げられている。この点は筆者も大きな懸念点と考えており、今回はここを深堀りしてみたい。

夕方下りの快速復元可能性を考える

2024年秋の快速復元ダイヤでは、朝上り2本・夜下り2本が快速として運行されることになった。夜下りに関しては20時台で帰宅時間帯としてはやや遅い。JR側も課題として認識はあるようで、千葉支社長コメントとして下記説明をしている。

「多くの課題はクリアできると思っていますが、例えば、夕夜間の速達性、今回は20時台で快速を増やしますが、本来はもうちょっと早い時間帯がピークです。どうしても、武蔵野線やりんかい線と接続する新木場駅で混雑が集中し、ともすると危険な状態が発生するということもあり、ピークの時間帯に快速の設定ができません。また、快速が通過する各駅には、若干ご不便をおかけすることにもなるので、その利便性などの課題があります」

引用:NHKウェブサイト

この説明には違和感があり、これを検証してみたい。

従来の説明では、夜の快速は混雑が集中するので平準化したい、との理由で各停化しており、新木場駅の混雑という説明は今回が初めてと思われる。実態として新木場駅が混雑しているのは承知しており、本noteでも検証記事を書いている。

もちろん安全第一であり理解は出来るが、「駅が混雑するので快速が設定できない」とする理屈は極めてわかりにくい。そもそも駅ホーム滞留の危険性が問題ならば、舞浜駅のようにホーム拡張(新木場駅も下り方に拡張余地はあるように見受ける)やホームドア設置で対処すべきと考えるが、費用も時間も掛かり短期的に実現可能な施策ではない。

また、駅ホーム滞留は相対的に本数が少ない武蔵野線で生じている問題であり、快速廃止前に現地を見た限りにおいては、快速滞留は武蔵野線より多いとは言い難い状況にあったと認識している。さらに、駅混雑が理由であれば、20時台より後の時間帯はより空くであろうし、休日ダイヤにおいても混雑は少なく、快速が設定できない説明になっていない。

まとめると「新木場駅混雑は一因ではあるが主要因ではない」ことが違和感の正体と考えている。

夕方に快速が設定できない真の理由は

一つには従前説明されていた「混雑平準化」が挙げられるが、より混雑する朝上りに快速が設定された以上、理由としては弱い。

もう一つは、他の時間帯は快速設定できても、夕方は快速設定できないなんらかの事情があったと考えられる。上記でも記している通り、新木場駅の混雑要因は武蔵野線の輸送力不足に起因している。近年のダイヤ改正動向では京葉線系統を減らし、武蔵野線(西船橋行含む)に振り替える傾向にあった。この点は本noteでも検証しているが、2024年3月ダイヤ改正で各停化を行った先には、京葉線各停の整理と武蔵野線方面の増強が視野にあったものと考えられる。

すなわち、今後のダイヤ改正(たとえば2025年3月ダイヤ改正)で夕方ダイヤになんらかの手を入れる方針は堅持しており、そのため快速復元ができなかったとするのが理由と推測している。

次期ダイヤ改正での方向性を予測する

上記仮定のもと、夕方ダイヤはどのようになるだろうか。様々な可能性は考えられるが、2024年9月のダイヤ変更は原則として京葉線内に完結しており、直通先となる武蔵野線(西船橋~府中本町)は変更していない。

2024年3月ダイヤにおいては東京18時台前半が京葉線各停と武蔵野線1:1になっており、これの時間帯拡大が考えられる。そこまで極端でなくとも、武蔵野線側の増強は不可避であろう。

当初のJR想定としては、京葉線は全列車各停としたのち本数を整理し、武蔵野線増強に振り替える目算だったと思われる。千葉支社長コメントにあるように、夕方のピーク帯での速達性に課題がある認識はあるようで、自治体側からも夕方下りの快速設定要望は依然残っている。このことから、京葉線削減・武蔵野線増強の方針は堅持しつつも、内・外房直通の快速復元(2本/h)は視野にあるものと期待したい。

夕方下り快速の停車駅見直しは考えられるか

夕方下りにおいては快速設定がなされなかったことから、今後快速復元の折には停車駅見直しを伴うことも考えられる。2024年9月のダイヤ変更で復活する快速も時間調整が多く、特に新浦安以西では各停と所要時間がほとんど変わらず追加停車の余地がある。

通勤快速については、18~19時台が各停存置とされたことから復活を期待する向きもあるが、自治体側からもJR側からも「下り通勤快速」に関する要望や見解は出ておらず、朝上りに「通勤快速並みの快速」が設定されたことにより決着した感すらある。

夕方下りの輸送形態にマッチした通勤快速に準じた新種別は出来なくはないだろうが、自治体アンケートにおいても、通勤快速は賛否拮抗する一方で、快速の復活要望が多かった。この点を踏まえても、下りにおいては既存の快速設定が無難と考えられる。

快速通過駅の利便性向上は出来るのか

また、JR千葉支社長は下記コメントもしている。

「快速が通過する各駅には、若干ご不便をおかけすることにもなるので、その利便性などの課題があります」

各駅停車が減ることになり習志野市長などは烈火のごとく怒りのコメントを出していたが、快速設定と通過駅の利便性確保は相反する問題になる。純増でもない限り解決しえない問題だが、課題認識を示した以上はなんらかの腹案があるものと推測している。

一点目は快速停車駅を増やすことが考えられる。
少なくとも平日ダイヤにおいては、朝上り・夜下りとも新浦安以西においては平行ダイヤであり、通過3駅を停車としても大幅な所要時間増にはならなさそうである。とはいえ、せっかく復活した快速の停車駅を増やすことは再度の反発を招きかねず、選びにくい選択肢と思われる。

二点目は快速と各駅停車の接続を図ることが考えられる。
京葉線でもかつては新浦安での緩急接続が頻繁にみられ、現在でも休日ダイヤでは数多く設定されているが、京葉線各駅停車が整理される傾向にある中、有効本数が減ることになる緩急接続は難しい。

そこで武蔵野線各駅停車との接続が考えられる。南船橋で快速の後追いとなる武蔵野線(西船橋→海浜幕張)直通列車があれば、快速通過となる新習志野・幕張豊砂駅の救済が出来る。東京から武蔵野線(西船橋方面)を増やすなら、二俣新町以東のスジには余裕があるはずで解決策としては有意と考えられる。

本件については第12回で検証している。

どのようなパターンが考えられるのか

ここでは「ダイヤ予想」ではなく、夕方に快速復元した場合のダイヤイメージを整理してみたい。前提条件は下記とした。

・これまでは京葉線内のみを修正する前提だったが、武蔵野線・内房線・外房線を含む見直しを許容
・快速停車駅は変更せず、内房・外房直通2本/Hを快速化
・通勤快速の復元はしない
・特急を除く本数は12本/H
・京葉線系統:武蔵野線系統=1:1で設定
・快速の先行追い越しはしない(混雑平準化)
・南船橋から快速の後続行で西船橋~海浜幕張列車を設定

ダイヤイメージ①

既に京葉線:武蔵野線の比率が1:1になっている18時台、夜下り快速復元する20時台を参考に快速復元イメージを作成した。実際にはこのように綺麗なパターンダイヤにはならないと思われる。東京方・蘇我方双方で運転間隔に配慮するため、どうしても快速の時間調整が入り上記では海浜幕張で3分停車のうえ、蘇我方では6~12分間隔とした。西船橋から海浜幕張行を快速続行させ、南船橋で片接続することで快速通過駅にも配慮する。これを蘇我まで延伸許容出来れば、蘇我方での運転間隔はもう少し均等化される。

ダイヤイメージ②

快速の時間調整があるならば、特急待避しても所要増にはならないと割り切り、快速に特急待避を挟むパターン。快速の所要時間は前記と変わらない一方、各停は特急待避が解消され運転間隔が改善される。

各停の特急待避解消、快速通過駅への配慮、(海浜幕張までは)速達性確保を並立する一方、快速の特急待避を伴うイメージダウン(実際の所要時間差はないが)、直通スジが変わることに伴い蘇我の接続関係も変わり、総武快速接続を維持するならば大幅な改編も必要になる。

ダイヤイメージ③

ダイヤイメージ②の快速による特急待避と、蘇我での接続関係維持を両立するため、特急の運転時刻を変えてみたのがイメージ③。列車配列自体は②と変えていないが、①との比較で快速の所要時間を伸ばすことなく運転間隔を整えている。

まとめ

現行快速停車駅を維持する限り、快速に時間調整は生じることは避けられず、それならば快速停車駅の見直しとなるのも一案ではあるが、それはそれで課題があり、現行停車駅が無難、となる。

2024年各停ダイヤをベースに、京葉線の一部を武蔵野線に振り替え、内房・外房線直通列車は快速とする流れが妥当なところと考えるが、いかがだろうか。

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