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京葉線快速縮小問題を考える⑫西船橋〜蘇我間列車の可能性

2024年新ダイヤの公表

ダイヤ改正後の時刻表が発売となり、遂に京葉線各停化ダイヤが公表された。筆者も興味津々ではあるが、本稿掲載時点で精査できておらず、その検証は次回以降としたい。

京葉線内における「武蔵野線」の位置づけ

「京葉線の運転区間は」と訊かれれば、多くの人は「東京〜蘇我」と答えると思う。半分正解で、正しくは「東京〜蘇我、市川塩浜〜西船橋、西船橋〜南船橋」となる(厳密には分岐点とかになるのだろうが)。

世間一般でも旅客案内でも「武蔵野線」とされている東京〜西船橋間や、西船橋〜海浜幕張間列車は正しくは「京葉線」である。これが今回の問題のややこしさにも一役買っており、「京葉線の混雑平準化」と言われたときに武蔵野線からの直通列車をなかなかイメージできないのだが、たとえば内房線からの直通列車を「内房線」とは呼ばないように、武蔵野線からの直通列車は「武蔵野線」ではなく、あくまで京葉線である。本noteでもその点があまり整理出来ていない点は反省せねばならない。

第9回の考察で、武蔵野線(からの直通列車)が不足している点を、第10回の考察においても将来的には京葉線系統を整理し武蔵野線(からの直通列車)の増強必要性を整理した。それでも絶対的利用者数が多いのはまだ京葉線(の本線)であり一定程度の本数は確保する必要がある。第9回の整理では、下記の指摘をした。

【全各停化後の次の段階でJRが想定したであろうダイヤ】
京葉線(本線)各駅停車 6本/H
武蔵野線(からの直通)各駅停車 6本/H

ただ、快速復元後は双方各停6本+快速2本は輸送力過多と思われ、下記を想定した。

【快速復元+武蔵野線(からの直通)想定ダイヤ】
京葉線快速 2本/H
京葉線各停 5本/H
武蔵野線各停 5本/H

現行ダイヤもこれに近いところがあるが、想定ダイヤでは京葉線快速と各停が接近する、運転間隔が(特急のせいで)バラバラ等、輸送力上の課題はともかく歪な感は否めない。そこで京葉線(本線)と武蔵野線(からの直通)1:1とするとどうか。

【京葉線:武蔵野線=1:1ダイヤ(東京断面)】
京葉線快速 2本/H
京葉線各停 4本/H
武蔵野線各停 6本/H

武蔵野線(からの直通)が多すぎる感もあり、武蔵野線内のバランスも考慮する必要はあるが、武蔵野線直通もあくまで京葉線であり、市川塩浜までは10本の各駅停車が走り、4本が二俣新町方面、6本が西船橋方面に分岐する。利用の多い海浜幕張以遠には2本の快速が加わり、武蔵野線直通が8両と短い点を踏まえれば輸送力のバランスとしては極端におかしいことはない。

ここからさらに一歩進めて、東京〜西船橋間列車を「京葉線」として捉える考えを蘇我方でも適用できないかとするのが本論、すなわち西船橋〜蘇我間列車の設定である。

2023年ダイヤでも夜間に上り1本だけ設定されており、その設定意図は不明ながら、将来的な西船橋〜蘇我間の頻発運転を試行したものと捉えることも出来る。この場合の想定は下記。

【京葉線:武蔵野線=1:1ダイヤ(南船橋断面)】
京葉線快速 2本/H
京葉線各停 4本/H
武蔵野線〜海浜幕張 2本/H
西船橋〜蘇我 2本/H

これにより、京葉線内では利用が少ない二俣新町を除いて現行同等の本数となる。特に18〜19時台においては千葉市内相互流動も多く、場合によっては10分以上間隔が開く6本/Hでは心許ない。西船橋〜蘇我間列車でその穴をフォローする事ができる。具体的な想定ダイヤを示すと以下の通り。

「西船」は東京~西船橋方面、西船橋方面~蘇我間の別列車

東京発時点で京葉快速の前に西船橋方面行を走らせ、快速の旅客集中を防ぐ役割をもたせつつ、南船橋では京葉快速の後追いで西船橋方面から蘇我行を走らせ、新習志野・幕張豊砂への片接続機能と蘇我方面の穴埋め列車として機能させる。別の見方をすれば西船橋を経由する各駅停車を西船橋迂回中に京葉快速が擬似的に追い抜く形になる。

朝上りについても、第10回で京葉線系統の整理と武蔵野線(西船橋から東京方面)の増強を提案したが、蘇我→西船橋間列車の設定により蘇我方の輸送力不足も軽減できる。

欠点としては2点考えられ、輸送力過多の懸念と二俣新町駅では本数減は避けられない点となる。前者は東京〜蘇我間各停を東京〜西船橋、西船橋〜蘇我間列車に置き換えたものと整理するとともに、利用が減少する時間帯(20時以降等)は快速先発の各停を海浜幕張折り返しで対処することが考えられる。後者は二俣新町駅は元来利用者が少ないこともありご容赦頂きたい。前者については本線ほどの輸送力は求められないことから武蔵野線車両の8両編成を使うことも考えられる。

最後に、前半でも記したように「武蔵野線からの直通列車」の表現がなんとも分かりにくい。かつて武蔵野線から休日の直通列車が「むさしのドリーム」を名乗っていたが、なにか愛称をつけるか、JR東が好きな「◯◯ライン」と名付けてはどうか。

西船東京ライン:東京〜西船橋、武蔵野線方面列車
西船南船ライン:蘇我・海浜幕張・新習志野・南船橋〜西船橋・武蔵野線方面列車

……筆者の命名センスの無さが露呈したところで、今回はこれまでとしたい。

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