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京葉線快速縮小問題を考える⑩新木場駅のホーム滞留問題

最近の話題から

早いもので第10回になってしまった本問題。
事態は逐一動いており、最新のニュースから新情報を整理。

「JR京葉線ダイヤ改正めぐり 千葉市長 “改正後 早期に復元を”」

新しい情報としては、「JR側からは、今後の検討の中で、東京までの利便性について一定の配慮を行うとする発言があったことを明らかにし、『要望への対応について、今後、何らかの説明があると考えている』と述べました」の箇所。『東京までの利便性について一定の配慮』の意味するところは不明ながら、なんらかの形で快速系統が設定されることは間違いなさそう。

そして京葉線快速縮小問題ではないものの、千葉支社絡みでもう一件。

ダイヤ改正後、わかしお・さざなみはE257系5両(グリーン車なし)に統一のはずが、グリーン席設定が判明し騒然としているネット界隈。投稿日現在で詳細不明ながら数日中に明らかになると思われ、仮にこれが255系続投ならば、プレスリリースどころか特急新ダイヤの時刻表発売後の変更となり、また異例。当面の臨時代走と称して誤魔化すのか、2度目のダイヤ改正内容変更のプレスリリースになるのか、そもそもいつまで走るのか……興味は尽きない。

※本稿掲載後、労組資料により6月28日までの255系運用と、プレスリリース予定が無いことが確定

新木場駅のホーム滞留問題

さて本題。本件がSNS上で論点になっているのを拝見して、実際に平日夜下り18時前後の新木場駅を30分ほど観察してみた。その印象は下記の通り。

・駅ホーム下り側は「京葉線」と「武蔵野線」に分かれて待機列が形成される。
・武蔵野線は運転間隔が長く、15分程度でホーム反対側(駅ホーム上り側)まで延び、危険な状況
・京葉線は一部の各停追越列車(通勤快速・快速)があると後続列車待ちが生じ、京葉線列での混在が生じる

安全面への配慮からすると、早期にホームドアを設置の必要性を強く感じるが、それ自体はホーム滞留対策にはならず、特に列が長くなっている武蔵野線は増発が望ましいと感じた。これは新木場駅に立って初めて見えた課題であった(筆者は千葉市民であり、蘇我方と東京駅始発断面の流動は理解しているが、新木場から武蔵野線方面の流動については疎い)。
東京駅時点ではガラガラの武蔵野線西船橋行きが近年増発されている理由をいまいち理解できずにいたが、新木場駅のホーム滞留対策と捉えれば、その必要性をようやく理解できた。

これら上記の状況から、2024年ダイヤ改正における夜下りの狙いを再認識した。

・京葉線快速系統を各駅停車に格下げし、全列車先発先着にすることで、ホーム滞留を減らす
・快速系統がなくなることで、京葉線・武蔵野線の運転間隔を整理し、特に武蔵野線のホーム滞留解消を目指す
・次のステップとして京葉線・武蔵野線再構成(一層の武蔵野線へのシフト)を狙っている(?)

JRの公式説明ではこれら全てを「混雑平準化」の一言で片づけており、「夜下りは混雑平準化するほど混んでない」との反論を生む温床となってしまった(筆者含む)。夜下りにおいては、課題が各列車個別の混雑ではなく、新木場駅のホーム滞留問題にあるならば全列車各停化は課題解消に向けた選択肢として理解はできる(既にJRが認めているように、完全に運輸側の理屈であり利用者視点には全く欠けているが)。

新木場駅のホーム滞留を踏まえた快速停車駅は

これまでの検討で幾つかの快速停車パターンを検討してきたが、前提となる夜下りの課題が「新木場駅のホーム滞留」にあるのなら、これまでの検討は課題解決にならない。京葉線系統に絞っていえば、無料優等の追越しを無くして先発先着にするのが解とならざるを得ない。

過去の検討では新浦安以西の各停化や海浜幕張での緩急接続などを検討したがやや的外れであり、前者は夜下りにおいてはあまり意味がなく(端的に言えばどちらでもいい)、後者は当該列車狙いの待ち客が生じホーム滞留に繋がってしまう。この条件で無料優等を設定するとすれば、追越しを伴わず利用客の多い駅に停車する快速、結局のところ現行の京葉快速がベター、との結論に傾きつつある。

武蔵野線はどの程度必要なのか

上述の通り、武蔵野線はダイヤ改正のたびに朝夜とも増発されており(多くは純増ではなく京葉線からの振替)、西船橋駅発着は京葉線の10両編成を使用しており、特に朝は輸送力上の課題解消も図っていると理解できる。

平日夜の武蔵野線は毎時3~5本あり、18時台は10分未満の間隔も設定されるなど歪な運行体系ではあるが、これも京葉線各停を西船橋行に置き換えた経緯に由来する。従来本稿でも15分間隔ベースで検討してきたが、新木場駅での状況から15分間隔はホーム滞留からはギリギリで、全体的に本数不足との認識に傾いている。

現在の夜下りダイヤでは1時間あたり京葉線系統8本(快速系統含み特急除く)、武蔵野線系統4本が主流となっている。2024年ダイヤ改正では京葉線系統を各停に統一して輸送力の平準化を図ったうえで、武蔵野線系統との運転間隔均等化の狙いがあったことは想像に難くない。将来的には京葉線各停6本、武蔵野線各停6本(西船橋行含む)あたりを考えていたのではないかと想像する。

だが、今後快速系統が復元されると仮定すると、京葉線・武蔵野線各停各6本とはいかず、妥協ラインは京葉線快速系統2本・各停5本、武蔵野線各停5本あたりとなろうか。各停系統が各5本なら各12分間隔で、ここに特急と快速が入るダイヤとなりそうだが、特急や房総直通快速は30分間隔であり12分間隔の各停との間に歪が生じる。

新木場駅のホーム滞留を踏まえた理想の夜下りダイヤとは

19時台の想定パターンを示す。

京葉快速2本・各停5本、武蔵野線各停5本のパターン

どうやっても30分サイクルと12分サイクルは合わず、特急さざなみだけでも動かしたいところだが本稿では崩さずそのままとした。その歪みが快速に出ているが、蘇我駅断面で内房線方面と同時発車出来ない外房線直通系統の余裕時分と割り切って、3分前倒ししている。

各停系も特急待避の関係で等間隔にはならず、10〜15分間隔となる。やはり無くすべきは特急では……と思わずにはいられない。また、蘇我方で先行各停と快速が近接しているが、先行各停を海浜幕張止まりにすると、新木場駅で後続蘇我方面(快速)待ちのホーム滞留要因になるため許容している(深夜・休日ダイヤでは海浜幕張止まりでも良さそうであるが)。

その快速は、東京方では武蔵野各停の続行として混雑分散を図りつつ、蘇我方では先行各停の続行となり所要時間増、東京~蘇我間45分を見ている。無待避各停は51分なのでたかが6分だが、されど6分である。

歪なのは否めないが、実は2023年ダイヤにも近い印象で、京葉線ダイヤ設定の難しさが分かる。かつての快速4本/h時代と比較すると快速が半減し各停に振替、武蔵野線は微増、落としどころとしてはまずまず現実的な設定と考えるがいかがだろうか。








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