人生を変えた言葉 「素直が大事だぞ」
33歳の時、やけに「素直が大事だぞ」と言ってくる男の人に出会った。
会うたびに言ってくるので、なんなんだろう、変わった人だなあと思っていたけれど、ある日
「あ、そうだ、私って本当は素直な女だった!」
と思い出した。
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中学、高校、特に絵の専門学校時代は、好きなアーティストや漫画家に熱中したり、映画を見たり展覧会を見たり、感動しすぎなほど色々に感動しながら暑苦しく生きていた。物事を哲学的に考えることが好きだったり、不思議なこと(シンクロニシティとか)に興味があって、宇宙のこと地球のことをファンタジックに想像するのが好きだった。そしてそんな世界観の本を読んだり、ファンタジーな絵を描いたりしていた。自分が好きなことに正直に、素直でいた。
でも33歳の私は、小学生男子2人の母親業と仕事に忙しい日々で、さらに家には機嫌を悪くすると子供に当たる危険性のある人がいて、家計は全部私にかかっていたし、なんだかとにかく必死だったと思う。当時の私は、子供がいるから仕方がない、2人が成人するまではとその状況を変えることには目を背け、いろんなことをとにかく我慢していた。家にいる人の機嫌を取って穏やかにしていてもらわなきゃと思っていたし、ただただ時が過ぎるのを待っていた。楽しいことがあっても、うっかり話すと文句を言われたり嫌味を言われたりして楽しい気分が台無しになった。だから表面的なことしか話をしなくなった。
本も読まなかったし、シンクロも起きないし、そもそもそういう世界のことを全く忘れていた。
そんな毎日の中、のちに仕事となるチアダンスと出会い、週に一度夜にレッスンに通っていた。家から離れられて「お母さん」でもなんでもないただの「サトウユカ」としていられる大事な時間だった。
そのレッスンの帰りにチームメイトと立ち寄るお店で出会った人だった。今思えば、素の状態でいられる場所だったから出会えたような気がする。
この不思議な人が言ってくれた「素直が大事だぞ」は、忘れられない、私を変えてくれたきっかけの言葉となった。
「私は素直な女だった!」と思い出せたことで、徐々に私にとっての素直な状態を取り戻していった。好きだった世界の本をまた読むようになったり、好きだと思うことをどんどんやってみた。
不思議なその人とは会わなくなったけれど、面白い人とたくさん出会っていけて、33歳の時とは過ごす場所や人がくるくると変わっていった。シンクロも起こるようになって、自分がなんのために仕事をしているのかに気づけた、導かれるような不思議な出会いもあった。師と思える先生にも出会えた。そして数年後には「妻」という肩書きを外した。
33歳の頃は自分に自信があまりなかった。でもそうして素直を取り戻していくことで、自分を好きになって自信も持てるようになっていた。
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それから10年たった43歳の時に、思いがけずその不思議な人と再会した。
再会してから2年がたつけれど、一度も「素直が大事だぞ」と言われていない!
ああ私はちゃんと素直な私になれたのだ、と思った。
今は、素直に感動しすぎなほど感動し、暑苦しく生きていても、そんな私を面白がってくれる人がいる。真剣に話を聞いてもらえて、バカにされたり嫌味を言われるなんてことは絶対にない。私が楽しくて話をするともっと楽しいことになる。
そんな風に自分を肯定してくれる人がいるというのはとても幸せなことだし、ものすごく大きな力となっている。
でもさらに一番大切なのは、自分が本当の自分を肯定することだ、とも気づくことができた。
私にはその人が現れて素直を取り戻す道ができたけれど、きっとあの頃の私のように、本当の自分、本当の心をなくしてしまっている人はたくさんいると思う。
だからこの「素直が大事だぞ」を、今度は私もたくさんの人に届けられたらいいなと思う。
どうか、素直なあなたでいてほしい。どうか、素直なあなたに戻ってほしい。
人になんて言われようと自分が「好き」と思うこと、ものを大切に、自信を持ってそんな自分を好きでいてほしい。
素直なあなたが一番キラキラしているはず。素直を取り戻したらきっと、本当の自分で生きていける素敵な世界が待っている。
もし、自分の好きな世界を否定するような人と今いるのだとしたら、それが家族であったとしても離れていいと思う。
あなたの持つ世界を待っている人が必ずいる。そして誰よりも自分自身が待っているのだと思う。
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「素直が大事だぞ」から12年たった今、どんな自分でも大好きだと認めることができて、自分が好きだと思うことに自信を持っていられている。45歳にして、やっと!
この人と、この言葉とあの時出会っていなかったら、私はどうなっていたんだろうとよく思う。全く違う人生になっていただろうし、今頃とても卑屈な可愛くない女になっていたかもしれない!
きっかけをくれたその人と出会えたこと、そしてちゃんと「素直が大事だぞ」という言葉に隠れたサインにハッと気づけた33歳の自分にありがとうと思う。
こちらの記事がお役に立てたら幸いです!