肩鎖関節の亜脱臼、ジム通いは続けてもいいですか?
はい!こんちわKATZです!
今日のテーマは「肩鎖関節の亜脱臼と診断された、ジム通いは続けてもいいですか?」
YouTubeチャンネルの方にコメントが寄せられました。
肩鎖関節の隙間を指で押すと明らかに痛みがズキッとあります。 腕を真上に上げる後半で同じ痛みが出ます。 整形外科曰く、痛みが出る行為は可能な限り無くし一般的に1ー2ヶ月安静と言われました。 診断結果は肩鎖関節の亜脱臼ぽいとのことでした。レントゲンでは右より左が確かにちょっと浮いてました。指一本分くらい。 この場合リハビリとはなんですか? ジムに通っていますがベンチや肩トレは避けて痛みが出ない範囲でトレーニングしようと思いますが良いですか? 足トレとかです。 過去最高に筋肉や重量が調子良かった矢先なのでとても辛いです。
これについて解説をしていきます。
目次
結論 安全に進めましょう
肩鎖関節脱臼について整理整頓
ピアノキーサインが意味するもの
この時期のリハビリはどうする?
まとめ:怪我の巧妙
結論 安全に進めましょう
まず今日の結論からお話します、安全を優先しつつ、順を追って進めていきましょうと言うことです。やはり医師の言う通り、安静の時期は必要で、その間は「患部外トレーニング」を実施して経過を待ちましょう。その上で復帰初期は関節に負担をかけないもの、そしてトレーナーやセラピストに相談した上で徐々に強度を上げていき、焦らずに復帰を目指していきましょう。最後の方で、病気や怪我などのライフイベントが意味することについても触れています。まず読んでみてください。
肩鎖関節脱臼について
まず肩鎖関節脱臼に関する情報を整理整頓しましょう。
### 肩鎖関節脱臼の病態
- 肩鎖関節脱臼は、鎖骨と肩をつなぐ靭帯の損傷によって分類される。
- 損傷の程度に応じて、Rockwood分類のI型(鳥口鎖骨靭帯の損傷なし)、II型(部分断裂)、III型(完全断裂)に分けられる。
- さらに重度の外力で三角筋や僧帽筋も損傷し、手術が必要なケースもある。
- この状態は、特にコンタクトスポーツ選手や肩を頻繁に使う職業の人々に多く見られる。
### 診断方法
- 臨床症状やX線検査により容易に診断可能。
### 治療
- 新鮮例のI型、II型は保存療法が選択される。
- Rockwood分類のIV、V、VI型は手術が不可欠。
- III型は保存療法と手術療法の両方が行われるが、治療方針は美容上の問題や機能障害の観点から決定される。
- 最近では、侵襲の少ない鏡視下手術法が開発されている。
- 陳旧例では、上肢挙上位や水平内転位での痛みが続く場合、関節鏡視下に関節円板と鎖骨遠位端の切除が行われることがある。
ざっくりですがこんな感じです。
ピアノキーサインが意味するもの
ところで「浮いた感じ」の説明がありましたね。おそらく「ピアノキーサイン」と思われます。
肩鎖関節脱臼とピアノキーサイン(piano key sign)は密接に関連しています。ピアノキーサインは、肩鎖関節脱臼の診断において重要な徒手的検査の一つです。
### ピアノキーサインとは
- ピアノキーサインは、肩鎖関節脱臼の診断に用いられる徒手検査です。
- 検査では、患者の鎖骨の遠位端(外側端)を下方から上方に押し上げます。
- 脱臼している場合、鎖骨の端が上に押し上げられるとピアノの鍵盤のように動き、手を離すと元の位置に戻ります。
- この動きは、肩鎖関節の不安定性や損傷の程度を示しています。
### 両者の関連性
- ピアノキーサインは、肩鎖関節が不安定であること、特に鎖骨が適切に位置を保てないことを示します。
- このサインの陽性反応は、肩鎖関節脱臼やその他の関連する肩の障害を示唆する強い指標となります。
- この検査は、肩鎖関節の損傷の程度を評価し、適切な治療計画を立てる上で役立ちます。
要するに、ピアノキーサインは肩鎖関節脱臼の存在を示す診断ツールであり、関節の安定性や損傷の程度を評価するのに有効です。
これらのことから、質問者さんの肩鎖関節がまだ不安定な時期であることが伺えます。
この時期のリハビリはどうする?
ジムに通っているとのことですので、仰る通り肩関節を使うようなトレーニングは医師の許可が出るまではしないのが無難です。通常であれば医師の言う通り1~2ヶ月は安静、しかしながらトレーニーにしたらジムに行かないとかえって調子が悪いとか気分がイマイチなど、そんな気持ちになるのではないかと思います。では今できることは何か、3つのフェイズに分けて、一緒に考えていきましょう。
安静時期は患部外トレーニング
リハビリ初期は可動域獲得とアイソメトリック
徐々に通常に戻していく
まず安静の時期に関しては肩関節以外のトレーニングであればOKかなとは思いますが、例えばスクワットでバーベルを使うとかになると肩関節周辺のホールドを使いますよね。できればレッグプレスマシンのようなものが良いと思います。ランニングなどで衝撃が気になる場合もあろうかと思いますので、持久力維持で考慮しするとバイクなどが良いとは思いますが、あまりにも上肢にメカニカルストレスが強く影響するようなことはできれば避けていきたいです。その上で時間が経過して復帰の初期であればアイソメトリックから始めることをおすすめします。前提として肩関節の屈曲や水平内転などの基本的な動作に制限がなければいいのですが、どうしても可動域制限が残る場合にはリハビリに通ってフルレンジもしくは以前と同等、左右でもさほど差のないほどの回復を目指していきましょう。その上で関節の負担が少ない、動きの少ないエクササイズを徐々に開始、できればセラピストやトレーナーと相談しつつ、徐々に通常のトレーニングに戻していくという感じです。ここで最も重要な点が一つだけあります、それは・・・
怪我をした動きなどの再確認と対処
です。今回、どのような受傷されたのかがよくわからなかったのですが、怪我をされたと言うことは誘因、原因があったはずです。過去の既往歴からも推測しながら、人生スパンでどのような経緯でこのような受傷に至ったのかを考えていくのです。
怪我や病気などのライフイベントはメッセージ性があると考えていて、そこから次のライフスタイルの変更やヒントが得られるはずです。ただ治った、良かったで片付けるのではなく、そこから何か得て治療に活かしていってください。
まとめ:怪我の巧妙
まとめますと、まず安静の時期は無理はなさらずに患部外トレーニング、そしてできればセラピストやトレーナーの意見を聞きながらリハビリを進めていくことが良いと思います。その上で、どのような受傷機転だったのかに立ち返り、今後どのような生活スタイルやライフプランにしていくのか、そこまで考えれるきっかけになれればベターかと思います。
「怪我の巧妙」とは、日本語の成句で、「怪我の功名」とも書かれることがあります。この表現は、元々は失敗やミスが意外な良い結果につながる場合を指す言葉です。直訳すると「傷の巧み」という意味になりますが、英語でいうと「a blessing in disguise」(隠された恵み)に近い意味合いを持ちます。
例えば、何か失敗や間違いがあったにもかかわらず、その結果として予期せぬ良いことが起こる場合、この「怪我の巧妙」という言葉が使われることがあります。それは、最初は不運や不幸に見えた出来事が、後になってみれば幸運や成功につながっていた、という状況を示す表現です。
なかなか実際に目で見て触っているわけではないので、推測でしかお答えすることができなく申し訳ありませんが、質問者さんの状態が回復し、大好きなトレーニングに復帰できることを願っております。今日もお読みくださってありがとうございました。
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