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映画「マークスマン」を見て

 1月9日にエーガル8シネマで鑑賞
 昨年から映画館で流れていた予告を見て気になっていたので見に行きました。

ストーリー

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 アメリカ南部のアリゾナ州で牧場を営む主人公のジム
 そんな彼は銀行への支払いが滞り、このままでは自分の牧場が競売にかけられてしまいそうになっていました。
 競売をさせない為にジムはお金を稼ごうとします。建築現場に飛び込みで働こうとしますが老齢で採用されず、牧場に残る牛を売ろうにも痩せた牛だからと安い値段を提示されます。
 妻はガンで先立たれ、牧場も失いそうになるジムの生活は困窮していました。

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 そんな時に、メキシコとの国境地帯でジムは国境を越えたメキシコ人親子と出会います。その親子はメキシコの犯罪組織であるカルテルに追われていました。ジムはその現場に遭遇し、カルテルと銃撃戦になる。
 その銃撃戦で親子の母親ローサが死んでしまう。
 ローサは死ぬ間際にジムへお金を渡し、息子のミゲルをシカゴの親戚へ送り届けて欲しいと頼みます。
 それでもジムは国境警備隊へミゲルを渡しますが、お金を受け取った事もあり国境警備隊からミゲルを連れ出しシカゴへ向かう事にします。
 しかし、カルテルは国境を越えて追いかけて来るのです。

緊迫感あるロードムービー

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 ストーリーはアメリカに入国したカルテルから逃げつつ、ミゲルの親戚が住むシカゴへ向かうロードムービーです。
 カルテルはアメリカで活動するカルテルのメンバーと連携してミゲルを探します。
 ジムが自分の車に給油した時や修理工場での支払いにカードを使用した履歴から居場所を突き止めたり、保安官を買収してミゲルを捕まえようとしたりカルテルは色んな手段で迫って来ます。

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 そんなカルテルと戦うジムは老齢ですが、元海兵隊の狙撃手で強い主人公です。
 危険を察知し、銃を持たせれば車も吹き飛ばすほどの腕前です。(それほどにアクションは良い場面です)
 とはいえ、武骨な性格なので心を閉ざしたミゲルとは、溝の有るぎこちない旅立ちになります。そんなミゲルとの関係がカルテルとの修羅場を乗り越えて両者の溝が埋まる様子が見応えのあるポイントです。

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 作品の展開はカルテルの追い込み、ジムの車の不調で見ている方がピリピリしながらもジムとミゲルの間の変化、更にはジムの愛犬ジャクソンで癒される。
 強い元海兵の叔父様に守られながらも成長するミゲルと言うのがこの作品の主題と言えます。

個人的に好きな部分①細かい部分


 ガソリンスタンドの売店で地図を購入するジム
 ここで店員の女性から「もうスマホで地図を見るんですよ」と言われるジム、ミゲルからも携帯電話を持っていない事を言われるジム
 ジムは作中では公衆電話などの固定電話で通話します。
 これはジムが携帯電話を使いこなせない古い人物と見せる一方で、クレジットカードの使用履歴から位置を判明するカルテルが携帯電話の位置情報を使わせない設定でもあるのだと思うとなかなか凝っています。
 凝ると言えば、保安官の正体をパトカーの無線機に繋がる通信と、外で携帯電話で通話する保安官との不自然さで表現したのもまた凝った場面だなと思えた。

個人的に好きな部分②銃器に関しての部分


 シカゴへの道中、銃を銃砲店で調達するジム
 選ぶ銃はM-14とM92拳銃と言う元海兵隊らしいチョイス
 M92拳銃はイタリアのベレッタ社が開発した拳銃で、海兵隊ではM9拳銃として使用されていた。M-14はアメリカのスプリングフィールド造兵廠が作り、1961年から配備が進められた小銃だ。
 どれもベトナム戦争へ二度出征したジムが使っていたであろう銃だ。使い慣れた物を選んだのだろう。(冒頭からジムはM-14を使っているのでかなり愛着か使い慣れを重視しているのだろう)
 このM-14と言う銃がタイトルと繋がっていると思うのです。
 「マークスマン」は選抜狙撃手または専門的な射撃の技能を持つと言う意味で、ジムはおそらくそんな凄腕の海兵隊員だったのです。
 M‐14はそんな選抜狙撃手が持つ、狙撃が出来て連射が可能な銃の一つである。
 ジムがM‐14を持つ意味はそんな意味があると思うのです。(この場面で買うのはもしかしたらM-14の派生型であるM-21かM‐25の可能性もある)

 この銃をジムが買う場面で、確認の手続きに時間がかかると店主は言う。
 しかし、カルテルの襲撃を恐れるジムはすぐに銃を持ちたい。ジムの説得と様子から察した店主は銃は盗難されたとしてジムへ渡します。
 その時に店主は「間違った行動でなければそれでいい」とジムへ言います。
 店主は出来る限りの事をして、ジムへ銃を渡した気持ちを言う。この理性や倫理の間で生じた粋な行動、そんな場面が個人的に好きですね。

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