4-0から見えた「フロンターレにやっちゃいけない事」

衝撃的な結果だった。2引き分け上等ぐらいに思っていたグランパス戦、4Q制のバスケで考えれば第1Qで20点差がつくような試合展開、終わってみればなにも危ないことなく4-0の完勝。

間違いなく今年のフロンターレは強い。だが勝点を少ないが落としてはいるし、苦戦してる相手もある。

今の私に具体的な「フロンターレの倒し方」を明示することは難しい、それぐらいフロンターレの完成度は高い。高すぎる。だが「とりあえずこれだけはやっちゃいけないんだよね」ってことはいくつかわかる。

今のフロンターレと戦って勝つには、まず悪手を打たないこと、その上でチャンスをものにしていかないといけない。

そういった、フロンターレの攻略法の前段階の部分を話していこうと思う。


守ってるだけはダメ


圧倒的な堅守を誇ったグランパスから4得点、リーグ無失点継続してた鳥栖から1-0、ロティーナサッカーの完成度が上がってたセレッソを粉砕…

フロンターレが堅守を売りにしているチームを破壊した例はもはや片手では足りないほど。そう、フロンターレ相手に他チームで通用する守備は適用できない。

堅守のチームはだいたいロースコアで勝ち切るパターンが多い、もっと言えば攻撃の駒やパターンは後ろが重い分数が限られてくる。そういった守りを重視して戦うやり方では、フロンターレには勝てない。

今年のリーグ戦で苦戦した相手は、しっかり攻撃ができるから苦戦した。先制され2点取られたセレッソ、終始カウンターが効いてたヴィッセル、果敢に攻め込んできた鳥栖。

後半の盛り返しで2点差を追いつかれたゼロックスのガンバ戦もそうといえばそう。

フロンターレ相手にボールを奪い前プレをかいくぐってゴール前でのプレーを増やす

これはものすごく難しい話だが、これができると一進一退の勝負くらいには持ち込める。リーグ中位くらいのチームでも。

そりゃそこまで攻めればいい試合になんてなって当然だろ、と思う方も多いと思うが、フロンターレのセットしたディフェンスは案外脆いし、守備に走らされ続けるとリズムも悪くなる。守ってばかりだと割合では7-3や8-2ぐらいまで軽く持っていけるチームに、上手く行けば4-6ぐらいまで持ち込めると考えれば、まず攻略の一手は「どう攻めるか」になると思う。


中途半端なつなぐサッカーはやめた方がいい


今年のフロンターレの好調の要因はいくつもあるが、1つのパターンとして確実に言えるものがある。

ダミアン(小林)の前プレで守備のスイッチを入れて、蹴らせたボールのセカンドを碧中心にフィジカルのある中盤が回収する。

ダミアンのプレスは個人でターンオーバーをすることも可能な次元まで到達してるため、生半可なディフェンスラインのボール回しでは、かえって危険度が増してしまう。

くぐり抜けてきたチームはヴィッセルと鳥栖ぐらいなもので、多くのチームが前プレができる時間には流れを失っている。ここで無理をしてパスミスをして失点というシーンも何度も見ているため、本当に自信があるチーム以外は、自陣深い位置でのパス回しを再考慮したほうがいいだろう。


ただし、果敢に走るスタイル故に90分通してやり続けることは不可能で、これから先の夏場にはより可能な時間は減ることが予想される。

初戦のゼロックスから既に後半のギアの落ち方が問題視されていることからわかるように、フロンターレの落ちる時間帯にはつないで攻めることも可能だ。時と場合をしっかりチームで共有して戦えばポゼッション志向のチームでも勝ち目はある。


先制点献上(特に前半)は禁物


フロンターレの先制した試合での無敗記録は現在も伸びている。

フロンターレ相手に失点したところからゲームを進めるのははっきり言ってかなり無理ゲー。特に前半で失点すると、先程書いた後半にギアが落ちる部分に「落ちても大丈夫」という余裕が生まれてしまう。

これもまた本当に難しい話だが、フロンターレのギアが落ちてくる時間帯に1点でもリードしておくのが勝利をもぎ取る数少ない道の1つだと思う。

ただし、昨年から続いている交代5枠のせいで、後半開始と同時に複数人投入してくることも普通にあるため、ギアが落ちても元気な個人はどこかしらに居るというのがリスクマネジメントとして難しい。

しかし、交代枠を一気に使い切るタイプの監督ではないので、後半開始に2人、まだうまく行かないからもう2人、と4枠使わせた時点で流れが拮抗していれば十二分に勝ちに近づいていると思っていいだろう。


ミスしてちゃ勝てない


フロンターレとの試合では、フロンターレの選手が圧力をかけてくる中、ほぼノーミスで試合を進めなければいけないというのが最大の難しさ。

特にディフェンスラインにはリーグでは他にやれるチームはないだろいという圧力をかける選手とやり方が揃っているため、ここでのミス=失点という大きな壁を乗り越えないとまともな試合にならない。

実際に好勝負が予想された多摩川クラシコも、低い位置でのパスミスが原因の失点で試合が終わったし、大分もそれさえなければ勝点獲得もあり得たかもしれないという内容だった。

フロンターレはミスをするチームだ、完全無欠とは程遠い。特に最近は谷口のポカが目立つし、パスワークも狙いすぎてミスすることもある。だがそれ以上に相手のミスを得点につなげる仕事人が揃っているため、同じ回数のミスでも得失点の比率はだいぶフロンターレ有利になる。

ならばもうフロンターレ相手には「ミスしたらアウト」ぐらいでやらないと勝負にならないということだ。


理想的な勝ちパターン


今回挙げた4点をふまえて、フロンターレに勝つために必要なタイムスケジュールをざっと考えてみた。


前半開始

0~20分

開始直後に一気に来るのは最近のよくあるパターン、まずは出鼻をくじいて気持ちよくゲームに入れないようにしたい。15分以内の失点はほぼ負けパターン。

20~45分

得点の大部分が集まっている時間帯。20分までなんとかしのいだチームも飲水タイムや疲れ、フロンターレのアジャスト力で流れが変わって失点している。ここが踏ん張り所。フロンターレのプレー強度に慣れてくることでここから流れを掴むチームもあるので、そうなったら是非とも先制点を。


後半開始 0-0がノルマ、先制点があればなおよし

45~65分

大元の失点が少ないとは言え、実際に失点が多い時間帯。ギアが目に見えて落ちることがほとんどなので、この時間帯に点は欲しい。流れに乗って2得点できればフロンターレはかなり慌てる。

65~80分

交代枠を使いながら流れを変えに来る時間帯。だがこの時間帯に組織的な前プレはだいぶおさまっていることがほとんどなので、しっかり回せるチームはここからが見せ所。だが小林、知念、長谷川、橘田といった豪華なベンチメンバーが出てくるので、ミスをすれば失点する。こちらも疲れてきてるのでミスが増えるという怖さもある。

80~90分

ここまで同点かリードした状態で来れれば1ついい傾向がある。フロンターレは大量に点を取ってこそいるが、このの時間帯での得点は片手で数えられるぐらいしかない。確かにゼロックスの小林の得点や90分間走り続けられる山根といった危険な可能性はいくつかあるが、フロンターレはこの時間帯をそこまで得意としていない傾向はある。ヴィッセル戦の劇的同点弾は記憶に新しいが、終了間際の失点はこのチームの悪しき伝統でもある。

後半AT

拮抗した試合のほとんどはこの時間になるとオープンな展開が増える、それは他のチームと同じ。オープンになるとカオルや山根といった個人兵器が爆発しやすいが、逆に個人の能力で得点も可能性が出てくる。一番面白い時間帯なので、ここまでにゲームセットの点差がつかなければ双方のサポーターが満足する試合になるだろう。

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