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コンサドーレ札幌の戦いぶりをフロサポ視点で

ルヴァンカップ決勝はPK戦までもつれ込んでのフロンターレの勝利となり、フロンターレとしては3つ目のタイトル、ルヴァンカップは5度目にして初の獲得となり、相手のコンサドーレ札幌は、国内タイトルのファイナリストになることそのものが初めてでしたが、大健闘の末の敗北となりました。


この戦いを見て私は素直に

・コンサドーレは来年以降もタイトル争いの脅威になる

・コンサドーレはいいサッカーをするし、目指していることが実現してきている。

・フロンターレがコンサドーレから学ぶことも多かった

と感じました。


こういったフロサポ目線で見たコンサドーレの姿や戦い方、それから今後の未来予想について、手前味噌のような文章になってしまい恐縮ですが、書いていこうと思います。



コンサドーレは来年以降もタイトル争いの脅威になる


素直に包み隠さず言います。最近のコンサドーレは強い。

J1に復帰したのは17年で四方田体制3年目の最終年。それまではベルマーレほどではないとはいえ昇降格を繰り返すエレベータークラブの代表格で、J1では未勝利記録や最低勝ち点記録といった不名誉な部分も多かったチームという印象が強い人も多いかと思います。

しかし17年に残留を果たし、翌18年には浦和からミシャを招聘して、これまでのしっかり守ってカウンターという「弱者のサッカー」から、自分達が主体的に試合を進めていく方向に方針を大きく転換しました。


このミシャ体制は他所のサポ以上にコンササポが一番期待もした反面不安も感じたと思います。実際にシーズンが始まってみれば公式戦5試合でわずか1勝。引き分けすらできず4敗して失点は11までかさむという悪夢のような開幕。しかしそこで簡単に折れてしまわなかったおかげで、その後のチーム無敗記録やACL圏内を狙える位置まで行きました。その後は天災やフロンターレに0‐7など紆余曲折あったとはいえ、4位と大躍進の1年となりました。


翌年となる今年の19シーズンも、現時点で8位、ルヴァンカップは準優勝と、上の方に居るのは「当たり前」になりつつあります。


カップ戦決勝の経験や、上位に食い込んだことでの翌年の相手からの対策など、今期になって初めて経験したことというのは数多くあるように見えます。それが来年以降につながれば、間違いなく今後はタイトル争いの中で無視できない存在になると思います。

ミシャは長期政権での弊害や、〇年目のジンクスなどもあまりない監督なので、コンサドーレと言えばミシャ。これで進めていく方針で間違いないと思います。四方田元監督もコーチで下に据えていますし、日本人やOBがミシャから学んでいつかは世代交代で監督に…となれば、将来設計の面でも安泰でしょう。それは将来もずっと上で争える下地に直結するはずです。



コンサドーレはいいサッカーをする


コンサドーレのサッカーは、ミシャサッカーがベースだけども、いい意味でこれまでのコンサドーレらしさもいかしたサッカーと私は見ています。


そも、ミシャサッカーというのは「3-4-2-1」の3バック2DMF1トップ2シャドーと運動量の多いSHというのが基本の形。

攻撃時には5トップ、守備時には5バックになるなど、攻守のタイミングで陣形に変更を加えるインテンシティの高さが求められるサッカーで、後ろからしっかりつなぐためにGKもパス回しに参加したり、それでいてFWに向けてロングボールを蹴ってきたりと、パスサッカーを軸にしながらも臨機応変に戦い方を選択するといった、見ていて面白みのあるサッカーをします。


コンサドーレのサッカーは面白みがあるにとどまらず、数字に出ている通り、結果も出ているし対戦相手になった時にはいくつも脅威になる点があります。フロサポ目線で「嫌だなぁ(いいサッカーするなぁ)」と思った点を箇条書きしてみると…

・ミシャサッカーらしくパスが上手いので、プレスがはまりにくい

・攻撃時の圧力が凄い

・攻撃方法も長短のパス、クロスや中央突破と豊富で対応が難しい

・セットプレーがリーグトップクラス

・前線に複数の個性があり、後ろの福森などと絡むとチャンスが作れる

といった感じです


細かく書くとそれだけで数千字の文章になってしまいますので、今回は簡単に箇条書きで終わりにしますが、とにかく攻撃力がコンサドーレの一番の強みでしょう。

数年前まで守備で踏ん張ってカウンターとやっていたチームが、今では攻撃でリーグの表舞台に立つ。これは監督の手腕も評価すべきですが、足並みをそろえて一気に推し進めたチームの編成や関係者の尽力も忘れてはいけないでしょう。



フロンターレがコンサドーレから学ぶことも多かった


フロンターレとコンサドーレの間柄は調べればすぐ出てきますが、因縁というか親戚というかそういった縁のあるチーム同士です。

元は川崎にあった東芝のサッカーチームが前身のコンサドーレ

都倉、福森、中野、三好、稲本などなど、元フロンターレの選手は現在も含めて常にいるような状態

厚別の奇跡の対戦相手はフロンターレ

といったように、Jの開幕前からいろいろな関係のあるチームが、お互いにルヴァンカップの初制覇をかけて戦ったのですから、その時代を知っている人なら思い出話だけで何杯でもいけそうなレベルです。


そんなコンサドーレとフロンターレは、最初の頃こそJ2やJFLなどで同じリーグを戦うことも多かったですが、フロンターレがJ1定着や優勝争いに参加するようになる頃には、コンサドーレはエレベータークラブになっていて、目指す目標には差がある時間が多かったです。

それがここ2年でほぼ同じ世界を目指して戦うところまで来たので、フロンターレとしても追いつかれないようにさらにギアを上げていくくらいの気持ちが必要だと思います。


今回のルヴァンカップ決勝は、5度目のフロンターレに対して、カップ戦の決勝そのものが初のコンサドーレということで、経験値では圧倒的にフロンターレが上でしたし、それが勝敗に少なくない影響を与えたと見る人も居ます。しかし、フロンターレも先輩面せずにコンサドーレから学ばないといけない点はいくつもあると思います。


まず第1にサポーターの熱意

私はテレビ観戦だったのですが、ツイッターなどでの動画で見るだけでも「コンサドーレのサポ熱いな!」って思わず言いたくなってしまいます。北海道コレオも綺麗に完成していましたし、応援の声量や揃い具合などではフロサポが負けていたという声も多いぐらいです。

埼玉開催ということで、電車で2時間以内ぐらいの川崎と、当日出発なら飛行機か新幹線がほぼ必須の札幌では、物理的に観戦難易度にも差がありましたし、前日の大雨の影響で来れなかった人も居るということでしたが、それでもあの人数と応援の質というのは、とても凄い事だと思います。

等々力のキャパなど条件的に厳しい部分もありますが、見習える部分はあるはずです。


第2にサッカーの質

リーグの順位やカップ戦の勝敗など、数値で見ればここ数年でフロンターレがコンサドーレの下に回ったことはほとんどありませんが、サッカーの質では見習わなければいけない点や、うかうかしてると追い抜かれたり追い付けなくなってしまう部分もあると思います。


第3に攻撃の部分

パスサッカーを軸とするという点は似ていますが、ジェイや武蔵目がけて蹴り込むことが多いというのは違います。

これは後ろに2シャドーで回収役がいるコンサドーレと、トップ下が居るだけのフロンターレの陣形的な差もありますが、クロスからの得点の期待値やパワープレーの期待値などでは明確にフロンターレが劣っている部分です。

日頃からの中長距離や大外からのクロスの練習の差が、今後の対戦で勝敗の分かれ目になる可能性は大きいと思います。


第4にチームビジョン

コンサドーレは方針を大きく展開しての躍進

フロンターレは風間→鬼木と方針の軸を継続しての優勝

この点では両チームのここ数年のチームビジョンの考え方に大きな差がありますが、どちらも成功を掴んでいるという意味では優劣をつけるべきではないでしょう。しかし、方針転換初年度から大躍進したその姿は、もしフロンターレが方針転換を必要とした時に必ず参考になると思います。


第5は外国籍選手のリクルート

フロンターレは過去も現在も外国籍選手は韓国や北朝鮮のアジア枠に、ブラジル人の2~3ヶ国で徹底しています。

コンサドーレは現時点でタイ代表のチャナティップ、元イングランド代表のジェイ、韓国人のキム・ミンテ、ク・ソンユン、ブラジル人のアンデルソン・ロペス、ルーカス・フェルナンデスとかなりの多国籍軍になっています。

チャナティップ、ティーラトン、ティーラシンといったタイ人選手は、今後のJリーグでも注目株になることが予想されていますし、他のクラブでは積極的に東南アジアとの関係性を強めている所もあります。

最近ではポーランド人キーパーが大活躍したり、ジェイやシモビッチのようなヨーロッパ出身の選手が加入する例も増えてきました。柏のオルンガ、甲府のウタカのようなアフリカ系選手もJで過去も現在も活躍していますから、Jが地球全土規模でリクルートの幅と実績を広げています。

選手のリクルート先に偏りを持たずに、幅広い層を扱うことで、フロンターレ自慢のスカウト力をいかすことにもつながるでしょうから、多国籍軍のコンサドーレを1つのモデルケースとして参考にするのは効果的だと思います。


最後に第6の負けた経験の部分

フロンターレは今回こそ勝者の側に立ちましたが、これまでは何度もコンサドーレの側、敗者の側に立ってきました。

敗者の経験値でも大先輩になるわけですが、最近では毎年の優勝のせいで勝つことに慣れてきています。それは素晴らしいことですし継続すべきなのですが、勝ったからこそ負けた時の悔しい思いを忘れてはいけないと思います。

私達が何度も負けてその悔しさをぶつけるようにして成長して今胸に星が3つあるように、必ずコンサドーレはこの経験を未来にぶつけて成長してきます。それに負けない成長意欲や危機感を持たないと、将来決勝で再び相まみえた時には「前回のお返し」をされてしまうでしょう。

「勝って兜の緒を締めよ」です。

もう何度も決勝で涙を流して、今度こそはという気持ちで挑んだ今回の気持ち。そういった熱い気持ちをこれからも忘れずに、勝って驕らず、勝ったからこそ真摯になる気持ちを忘れないようにするべきでしょう。



これからもライバルであれば幸い


ここまで書いてなんですが、ほとんど決勝の試合について触れてないような気もしますが、まぁいいでしょう。


これから先もコンサドーレ札幌というチームは、もっと高い所を目指して上がっていくチームだと思います。フロンターレも胸の星を増やすだけでなく、ACLやその先の世界を見据えて戦っていく以上、必ずコンサドーレとはタイトルや上位をかけて戦うことになります。これから先こういった場面でぶつかるためにも、まずはフロンターレが国内トップクラスの座を死守することが第一です。


相手がJ2の頃なら「上で待ってるぞ」なんて言えましたが、今はそうも言えなくなってきたわけですから、危機感持ってまずは今シーズン。ACLを目指して戦い、コンサドーレとのリーグ戦は最終節に残っていますので、そこでリベンジを許さずにしっかりと勝ち切って今季を終了させましょう。

お気持ちよろしくです。