イタリア旅行記 第7回/全10回
イタリア旅行記 第7回
9月21日(土)
ミラノ編 第1部
ツアー7日目、あっという間に楽しい旅行も最終日である。
今日は午前中がミラノ市内観光で、午後が自由行動、そして夜にはサッカー観戦の予定である。
観光はスカラ座からスタートした。
といっても内部に入るわけではなく、外観からだけだった。
なんでも現在は改装中らしく、来年の公演にあわせて急ピッチで作業をしているとのことだった。
ミラノスカラ座といえばかなり有名なのでどんなものかと期待していたが、そんなに大きな建物ではなく、結構シンプルな作りだった。
そこから徒歩にてヴィットリオ・エマヌエレ2世ガレリアへ。
非常に長い名前だが、これは建物ではなく、十字形のアーケードである。
ここで有名なのは、地面に描かれているバッファローの絵である。
このバッファローの股間の部分にかかとをつけて一周すると願い事がかなうという噂があり、特に子供たちに人気があるそうだ。
そのせいでその部分が削られて丸く凹みが出来ていた。
何度も修復はしているらしいのだが、みんなやるのですぐ削れてしまうということだった。
実際にその近辺を歩いている際にもやっている子供たちがいたので、結構流行っている噂らしい。
もう一つ面白かったのはこのアーケードにあるマクドナルド。
マクドナルドと言えば赤地に黄色のマークが世界共通だが、なんとここのマクドナルドは黒字にゴールドでマークが書かれているのだ。
このアーケードの美観を整えるために、全部のショップが黒字にゴールドの看板を掲げている。
そこにマクドナルドが出店を申請したところ、美観を損ねるためにオリジナルマークを使用するのであれば出店を許可しないという判断を下したそうである。
それで結局マクドナルド側がその条件を受け入れ、他のショップと同様の黒字にゴールドの看板を掲げているのだ。
世界でも非常に珍しいものを見ることが出来た。
アーケードを抜けると、目の前にはドゥオモが現れる。
ここはイタリアでも最大で、しかもその迫力は他の都市のドゥオモを遥かに上回る素晴らしさだった。
残念ながら正面部分は現在修復中で見ることは出来なかったが、両サイドから見てもその装飾はとても素晴らしかった。
室内に入るとステンドグラスの芸術に感動する。
外部から見た黒い窓のようなものは、全てステンドグラスだったのだ。
特に圧巻だったのは一番奥にあった巨大なステンドグラス。
右側には新約聖書、左側には旧約聖書の物語の場面が描かれており、縦横で120枚位の場面をまとめてひとつの作品になっているのである。
色使いも非常に鮮やかで、みんな溜息しか出なかった。
そこからバスに乗りスフォルツェスコ城に向かう。
あまり聞いたことがないところなので、何が観光の目的なのかわからなかった。
城につくと結構観光客がいて驚く。
説明を聞くと、どうも市立博物館となっているそうである。
でも私たちのツアーでは博物館には入場せず、一つだけ作品を見に行くとのこと。
その作品とは、ミケランジェロが死の直前まで彫っていたという「ロンダニーニのピエタ」像である。
この像は一度完成したのだが、ミケランジェロがその出来に納得がいかずに一部を壊し、作り直している最中に彼は亡くなったそうである。
一度完成した時の写真を見せてもらったのだが、私的には充分いい出来だったと思った。
天才ゆえにどこか妥協を許さないところがあったのかもしれない。
外に出て広場を歩くとある所を見るようにガイドから指示される。ふとそちらを見るとどこかで見たようなマークが見えた。
写真のマークがそうなのだが、このマークは14~15世紀にミラノを統治していたスフォルツァ家の紋章らしい。
車に詳しい方はあれ?と思った方もいるかもしれない。
このマーク、アルファ・ロメオのマークと非常に良く似ているのだ。
正確に言えば、左右が逆なだけである。
どうもアルファ・ロメオのマークはこの紋章がモデルとなって作られたようである。
観光はスフォルツァ城で終了し、レストランに向かった。
今日のメニューはリゾットとミラノ風カツレツだったのだが、このレストランも味が良かった。
そしてそのレストランで、今晩の試合のチケットをツアーコンダクターさんから受け取った。
小さな封筒から出てきたのは、トレカと同じぐらいの大きさのプラスチック製のカード。
17日にチケットが手配できたと聞いた時、「チケットは試合が終わったら返して欲しい」と言われていたので薄々は予想していたのだが、そのプラスチック製のカードはシーズンシートのチケットだったのだ。
本当は観戦の記念にチケットの半券を持ち帰りたかったのだが、これでは返さなければしょうがない。
でもシーズンシートなら座席もいい所だろうし、非常にワクワクしてきた。
ツアーの方たちと談笑しながら昼食を楽しんだ。
昼食後にツアーのみんなでまた中心街のドゥオモにバスで戻るということだったが、私達夫婦は目的地があったのでレストランから別行動を取る事にした。
すぐそばに地下鉄の駅があり、そこから地下鉄に乗るつもりだったからだ。
駅のそばの新聞スタンドで1日乗り放題の券を買う。
昼間の移動の他にも、夜にはまた地下鉄に乗ってスタジアムまで行くため、乗り降りするたびに切符を買うのは面倒だからだ。
持って行ったイタリア語会話の本を見ながら、「1日券を2枚ください」とイタリア語で発音してみる。
するとちゃんと通じたようであっさりと切符を売ってくれた。
どうもイタリア語というのは、単語をローマ字読みでハッキリ大きな声でいうと、それらしく聞こえるらしい。
何にしてもちょっと誇らしい気分になりながら階段を降りて改札に向かった。
改札では刻印機というものがあり、まずここで刻印をする。
この刻印した時間から丸一日有効ということなので、翌日の午前中も乗り放題ということになるらしい。
明日は出発までの午前中が自由時間なので、それならその間もちょっと買い物などに行くことが出来る。
1日券にして正解だったのかもしれない。
初めて乗る地下鉄だし、目的地までは一度乗り換えも必要だった。
地名がわからないので迷子になるかと思ったが、よーく路線図を見て、あとは勘と度胸で挑んだところ、目的地のポルタ・ジェノヴァ駅に迷わず着いた。
ここから歩いて10分ぐらいの所に、目的地であるACミランのオフィシャルショップ『ニュー・ミランポイント』があるのだ。
実は、このミランポイントの存在は知っていたのだが、具体的な場所がわからなくて困っていた。
そこで、日本出発前に寄せ書き板(脚注:当時運営していたWebサイトに情報交換用の掲示板を設置しておりそのタイトルです)で情報を募ったところ、ご存じの方がいて詳しい場所を教えていただくことができた。
その情報をもとに、目印のティチネーゼ門を地図で探しながら道を歩いた。
地下鉄から地上に出る階段の出口もいくつかあったので、出口があっていたのか、今進んでいる道があっているのかも不安だったが、途中で川が見えてきたので間違いなく方角はあっていると確認できて一安心。
ティチネーゼ門が見えてきた時、「あれじゃないの?」という妻の声でそちらを向くと、『new MILAN point』の看板が見えた。
こうして私達夫婦の動物的勘のおかげで、ほとんど迷うことなく目的地に着くことが出来た。
1階がチケット売り場、地下1階がオフィシャルバー、地下2階がオフィシャルグッズショップとなっていた。
まずお目当てのユニフォームを探す。
が、どこを見ても、何度見てもホームのユニフォームが無い。
あるのはトレーナーやシャツや、アウェーのユニフォームばかりなのだ。
嫌な予感がしたのだが、念のためレジにアウェーのユニフォームを持っていき、「ロッソ・ネロ?」と尋ねてみた。
すると店員さんはイタリア語を話しながら首を振った。
ホームゲーム初戦直前ということで、やはりホームのユニフォームは売り切れてしまっていたのだ。
こんなことなら昨日ヴェネツィアで買っておけばよかったとひどく後悔した。
その後店内を見てまわり数々のグッズを見たのだが、なにしろホームのユニフォームが売切れてしまっているというショックが大きくて心ここにあらずという状態だった。
そんななか、壁に飾られていたユニフォームに目を引かれる。
アウェーのユニフォームにオフィシャルのネームが入れてあるのだが、そこにはもうひとつ、なんと選手の直筆サインが書いてあるのだ。
選手はルイ・コスタ、インザーギ、マルディーニ、カラーゼなどがあったが、残念ながらピルロのものはなかった。
でも値段がどれも120ユーロ、日本円にしても15,000円とかなり安い。
せっかく来たのだから記念に1枚買おうと思い、誰にしようか迷ったが妻の勧めでインザーギを購入することにした。
まぁ勧めと言うか、妻はその時点ではACミランの選手ではインザーギしか知らなかっただけなのだが。
そしてレジのそばにあったファイルをふとのぞくと、その中にはこれまた直筆サイン入りフォトがあった。
最初これは店内の備品かと思ったが、何枚もある選手もいたし、ファイルの裏に値段が書いてあったのでこれも売り物らしい。
こちらにはお目当てのピルロがいたのでまず1枚キープ。
その他にはリバウド、ルイ・コスタ、インザーギ、マルディーニ、トマソン、セードルフ、シェフチェンコなど、ほとんどの選手のものがあった。
しかも値段が全て一緒なのでこれまた他に誰を買おうかと迷う。
ただ、ユニフォームを買うのだからあわせて買おうということでインザーギをキープ。
もう1枚はイベントの賞品にするつもりで、やっぱり人気がある選手がいいだろうということでルイ・コスタを選んだ。
そんなわけで、サイン入りフォトは3枚購入することにした。
それからスタジアムで観戦する際に座席に敷くクッションを2つ購入し、レジで会計を済ませた。
今考えてみれば、サイン入りユニフォームやサイン入りフォト、その他オフィシャルグッズをもっと大量に買ってこればよかったと非常に後悔している。
ショップを後にし、ホームのユニフォームが売り切れていたショックを引きずりながら地下鉄に乗り、とりあえずその他の買い物をしようとドゥオモに向かった。
ドゥオモ駅に着き、先程も通ったヴィットリオ・エマヌエレ2世ガレリアに向かう。
ここにはブランドショップが多くあるので、妻が行きたがっていたのだ。
だが、気に入ったものがあまりないらしく、色々とお店をうろついた。
するとそのアーケードの一角でサッカーグッズショップを見つける。
どうもここはACミランのファンショップということらしい。
そこは大量にユニフォームを扱っていたので奥の方に進んでいくと、ACミランコーナーを発見。
すると、そこにはオフィシャルショップで売り切れていたホームのユニフォームの在庫があった。
ただし、新しいモデルではなく、2000-2002モデルの売れ残りだったのだが・・・。
この際贅沢は言えないので早速2つをキープし、レジで「ネームOK?」と英語で尋ねてみる。
だいたい人通りの多いショップでは英語が通じるはずなのだ。
案の定、首を縦に振ってくれて、誰の名前かと聞いてきた。
自分のサイズの方のユニフォームを指しながら、「ピルロ」と発音したが通じず。
もう1度発音してもやっぱりダメだったので、さっき買ったばかりのサイン入りフォトを引っ張り出して指をさしたらやっと通じたみたいである。
その後、店員が発音しているのを聞いたが、実際はもっと巻き舌で発音するらしい。
一方、妻は自分のサイズのユニフォームを渡しながら「インザーギ」と大きな声でハッキリと発音し、「OK!」とあっさり1度で通じていた。
そんなに自分の発音は悪かったのかなとちょっと凹んだ。
待つこと数分でネーム入れは終わった。
ただ、実際にユニフォームに入っているネームや背番号とはかなり違和感があった。
でも、とりあえず観戦する際に着用するホームユニフォームを入手できたことだけでも満足である。
その後、少しアーケードをぶらついた後、荷物の整理や観戦の準備の為に、地下鉄に乗って一度ホテルに戻った。
第8回に続く。
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