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経営戦略部での1年間を振り返ってみた

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私は少し前までも会社の経営戦略や経営企画という部署が何をしている場所なのか理解できていませんでした。

本日は、私があるメーカーの経営戦略部メンバーとして1年間働いた経験を振り返りながら感じた経営戦略部の在り方と実態のジレンマについて紹介します。先にお断りしておくと経営戦略部(及び経営企画部)は企業の経営状況やビジネス規模などによってフォーカスしている領域や行動指針などの違いがあり一概には言えない部分はあるかと思いますが、少しでもこの部署について馴染みを持っていただければと思っています。

経営戦略部の役割は?

経営戦略部の役割を定量的に説明することは難しいです。

営業ならもの・サービスを売るところでKPIとしては売上、製造ならものを作るところでKPIとしては在庫数や生産ラインの稼働率いった具合ではっきりした責任や義務が課せられています。
経営戦略部は、もちろん、言葉の通り、会社全体を見渡して会社がこれから進む道を照らして全社を導くようなかっこいいイメージがあります。しかし、実際は毎日変わりゆく経営状態に合わせプライオリティをつけ、全社の重要KPIとなるものを特定していくこと、つまり、自分が今日明日何にフォーカスすべきなのかというのを特定することさえ、至難の業であります。

権限を持たない経営戦略部の苦労

この部署に入社するときに聞いていた部署の役割は「全社長期計画に対するプロジェクト推進サポート」でした。これまで1年間の短期計画を重視してきた現職では、長期計画を遂行する習慣やプロセスが整っておらず、長期計画という概念を理解してもらうところから仕事は始まりました。

その後は、ちょっとしたプロジェクト管理システムの元、部署と部署をまたぐプロジェクトでの課題を抽出し解決をサポートすることでプロジェクトの遂行に役立つということです。ただ、組織の立ち上げから1年少しで中途採用が過半数を超えるチームができることには限界がありました。

特に経営戦略部となると権力とリーダーシップがある部署だと思いがちですが、社長の後押しがないと権力やリーダーシップを発揮することは難しいです。
製造や営業など実務を行っている部署からすると、経営戦略部が打ち出した戦略やコメントは現場にいない人の戯言で、従う義務はないのです。実際ある役員からは私たちの活動について「会議体の増設や業務工数の増加がないよう運営してほしい」とコメントしていました。
そのため、各部署をリードしてプロジェクトを遂行することも表立って旗振りをすることも簡単ではありません。財務部の予算や人事の人事権などのように部署が持つ権限が不明確だと業務遂行に限界があることを感じることが多いです。
私は担当部署からスパイだと思われてしまったことがあり、地道にプロジェクトの資料作成や財務指標作成支援などで信頼の回復に多くの時間を費やしたこともあります。

財務スキルの必要性

また、経営戦略部に対するイメージのギャップは「数字に強くないといけない」ということです。以前1年間ほどUSCPAの準備をしていた私(資格はありません。)は実務はないにしてもある程度財務知識はある方だと思っていました。ただ、経営戦略部では財務知識と実務をベースにして指標をまとめることが多く、都度チーム内や財務チームの力を借りて業務を行っています。会社全体を見るとなると財務スキルが必要なことは知っていましたが、財務チームと同レベルに数字を取り扱っているとは思っていなかったです。

ただ、全社で活動している50を超えるイニシアティブを取りまとめるためにはまず同じ指標で状況を把握することが大切でした。各プロジェクトで取り上げているKPIは複数ありましたが、全社として最終的にどれほどのインパクトを与えられるのかを見る際は、財務的観点からコスト削減額や売上の変化を追っていくことが最善策でありました。私は各イニシアティブの進捗とその成果を正しく表現するために外部環境を取り除く方法や効果額をPLとの照らし合わせる方法などを駆使していきました。

最後に・・・

私は現職に就く前に経営コンサルとして4年間働きましたが、製造部やIT部のコンサル、M&A後のPMIなど部分的な戦略は経験があったものの会社全体を見渡せる立場での経験はしていなかったことに気づきました。そのため、この1年はとても勉強になることも多く、いい経験になったと自負しています。

上記で経営戦略部の全てをお伝えすることはできませんでしたが、総じて私は今の部署に満足しています。限界を感じながらも工夫と努力次第で、会社の状況に合わせ組織やプロセスなどに変革をもたらすこともできる部署であると感じているからです。

是非、興味があったら経営戦略部(及び経営企画部)を次のキャリアとして検討に入れてみてください。

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