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嘘グルメ 第十一話「数学のグルメ」

よく来てくれたね。コーヒーでいいかい?ああ、黒板に書かれてる数式かい?うん、いい疑問ですね。これはね、数学をかじるものにとって永遠の謎である「ペルシャジューテンの定理」さ。これが解ければ人類の科学は100年進歩する…と言われているんだが、実はその答えがさっき思い付いたんだ。ああ、大発見だ。1000年先まで生活には困らないぐらいの大金も手に入れられるだろう。その答えはって?うん、いい疑問ですね。それがさ、、いま君に美味しいコーヒーを入れてあげようと丁寧にドリップすることに集中してたらさ、忘れちゃったんだよ…。ああ、「ペルシャジューテンの定理」の答えを忘れちゃったんだ(笑)いやいや、いいんだ。だってまた解けばいいんだからさ。黒板に書き留めなかった僕も悪いんだし気にすることはない。さっ、コーヒーが冷めない内にどうぞ召し上がれ。

それで君が聞きたいのは数学の話ではなく、料理の話だったよね?雑誌や海外の研究者が数学の教えを乞う為に来ることはあっても、料理の話を聞きにきたのは君が初めてだよ(笑)

そう、僕は料理も好きでね、料理も数学だと思っている。例えばマイナスとマイナスをかけるとプラスになるだろ?料理もそれが可能だと思ってるんだ。ではその公式をお教えしようか。用意するのは食べ頃から二週間過ぎた生のアジと、腐ってジュクジュクになった柿だ。そこに塩コショウ、半分に切ったライムをギュッと絞り、パクチーをどっさり入れて包丁で細かく叩く。ミンチみたいになったら小皿に綺麗な円になるように盛り付けて、真ん中にくぼみを作る。そこに卵黄を置いたら山椒とバジルをたっぷり振って完成。まあ一度食べてごらんなさいよ…ニヤッ、舌の上で数字が踊りますよ(笑)

「ペルシャジューテンの定理」の答えを僕にコーヒーを入れたせいで忘れてしまったと聞いてから、動揺して先生の話が全然入ってこなかった。。入れていただいたコーヒーは、とにかく苦かった訳で…。

「食べ頃を過ぎたアジと柿のかけ算仕立て」

材料(2人分)

食べ頃から二週間過ぎた生のアジ 2匹

腐ってジュクジュクになった柿 1個

ライム 1/2個

パクチー 1束

卵黄 1個

作り方

1 まな板に腐ったアジと柿とパクチーを置き、包丁で叩いてミンチになるまで叩く。

2 1をボウルに移して、塩胡椒をしてライムを1/2個絞って軽く混ぜる。

3 円になるようにお皿に盛り付けて、真ん中に窪みを作ってから卵黄をのせる。

4 上から山椒とバジルをたっぷり振ったら完成。

ポイント・コツ

お腹の弱い人は食べないで下さい☆

※本文に出てくる料理は、嘘です。

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