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嘘グルメ第二十四話「梅酒の梅雨割り」

よーきやったんね。ほれ座んなさいな。熱いお茶と、ほれ!梅を砂糖たんまりで漬けた梅砂糖だ。砂糖の山を掘り起こしたら梅が出てくるでよ?食べてお茶飲め旅のもん。疲れが一気にとれるぞい。それとほれ、梅の漬物、梅の煮っころがし、梅せんべえ、それと梅干しだ!ぶっふぁっふぁっふぁ!(笑)

ここは日本有数の梅の生産地、心地よい潮風が一帯を包み、村の98%の面積を占める梅林がそよそよと揺れる。あまりにも梅が取れ過ぎるため、ここでは他の農作物を一切作っていないのだそうだ。驚くべきことに豊富な海の産物にも手をつけず、梅だけで生活を成り立たせているのだというから驚きだ。

お前さんも物好きだっちょね~。こんなところまでワシの話し聞きにきたんかいね?お前さんそりゃ、づんがなこんたくはねえぞ!がんたれこぞうもびっくりするーろー!ぶっふぁっふぁっふぁ!(笑)

後半は殆ど聞き取れなかった。

梅の料理はいっぱいあれど、ワシの好きなんがここの梅をたっぷり漬けた梅酒を、夏の時期の雨で割る、、梅酒の梅雨割り、あれが一年の楽しみだっちょね。そもそもあの時期の雨は梅を料理したり、飲み物にしたりするのに最も適した水だということから、梅に合う雨で「梅雨」の語源だそうだっちょね。特に梅雨はこの村の梅に合うってことでご先祖様がこの地に梅林を作ったっちょね。ずっと昔からこの村のもんはすっぺー梅干しを食べてるから、みんな口が「米」になってるだっちょね。ぶっふぁっふぁっふぁ!

村の9割超を梅林が占めるこの村では、後継者不足に悩んでおり、泣く泣く梅林を手放す者もでてきているそうだ。近年の温暖化の影響も多分に受けており、梅林の未来すらも危ぶまれている。自治体による「梅の木一本差し上げてもいいとも!」や「梅だけにシーソー(しそ)たくさんの公園」等の政策も徐々にではあるが効果を出し始めている。酸っぱい世の中ではあるが、なんとか生き残ってもらいたいものである。

梅の梅雨割り

材料

梅酒…200ml

梅雨…200ml

作り方

1.梅酒と梅雨を1:1で割り、氷を浮かべれば梅酒の梅雨割りの出来上がり。

ポイント

※梅雨によって引き出されたすっきりとしたおいしさと、爽やかな風味が魅力です。

※本文に出てくる料理、情報は、全て嘘です。

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