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ゲリアに聞く「訓練と、忍耐と、それから組織の必要性」

まさかの3部作になってしまった03/25レポート、そのラストに登場するのは、なぜか「韋駄天」という古典みたいな日本語が似合う(気がする)ジェイソン ゲリアです。

通訳の小田さんとともにグラウンドから引き上げてくるタイミングがあまりにも良かったので、すぐに広報さんにお願いしました。で、スパイクを脱ぐゲリアに広報さんが「ジェイソン、インタビュー!」と声をかけると、「え~~~」と日本人みたいな日本語でニヤニヤ。こちらに歩いてきて2メートル向こうに立ち、律儀に「お願いします」と頭を下げました。

いつの間にやらジェフに来て3シーズン目になるゲリアですが、彼は出場機会があったりなかったり、僕はあまりユナパには行かなかったりで、昨シーズンの途中までほとんど接点がありませんでした。

だから、いつかの試合後ミックスゾーンでじっくり話すことができた時に、かなり驚きました。この人、実はめちゃくちゃ聡明な人なのではと。質問に対する答えがとてもわかりやすく、説明も丁寧で、ちゃんとキーワードも入っている。それ以来、なんとなくあのリリアン・テュラムと重ねて見ちゃったりしています。大袈裟かな。

会話のテーマは、米倉恒貴と同じく「サイドの守備」。何となく、僕が言うところの「テュラムみたい(つまり聡明さ)」な部分が伝わるといいなと思います。

“やる時はやる”という判断の精度を上げること

――練習を見れば、組織としての守備の構築に対する意識が、昨シーズンまでとは大きく違うことがわかります。

守備をすることの目的を「絶対にゴールを割らせないこと」と改めて明確にして、そこからの逆算で、守備のあらゆる状況においてその瞬間に何をすればいいかをトレーニングしているところです。

ここ数年の失点シーンを振り返れば、そのほとんどがそういった部分の不足によって招いたものでした。今シーズンの僕らが取り組んでいるのは、そういうところ。訓練と、忍耐と、それから組織ですね。

――「組織」においては、特にサイドバックとサイドハーフの関係性が重視されていますよね。

尹監督のサッカーを実現するために、サイドハーフとサイドバックの関係性がめちゃくちゃ大事であることは間違いありません。この中断期間のトレーニングで、関係性は間違いなく強固なものになっているし、攻守両面におけるプレーの精度も上がっていると思います。

この時期に公式戦を戦えないことは残念ですが、ポジティブに考えれば、公式戦のプレッシャーを感じることなくトライできる意味は大きい。最近は特に、そのことを実感しています。

――琉球との開幕戦は右サイドが狙われる形でしたが、あの時、ゲリア選手は何を考えていた?

こちらのサイドに、相手があれだけの人数をかけて攻撃してくるとは予想していませんでした。最初から「うわ、なんかすげえ人数かけてきてるな」「こっちで何かやろうとしてるな」と思ったし、ちょっと「イヤだな」という感覚もありました。

あれだけ早い時間に先制点を奪うという難しさもあって、修正するまでに少し時間はかかってしまいましたが、「守れば勝てる」と頭の中を切り替えてからの対応は良かったと思います。とにかく、勝てたことが大きい。

――個人的な感覚として教えてほしいんですけれど、単純に、ゲリア選手は好きですか? 今のジェフがやろうとしているサッカー、つまり最終ライン4枚、中盤4枚がガチッとブロックを作ろうとするスタイル。

クリーンシートで試合を終えて勝つ喜びは、やっぱり何よりも大きいものです。攻撃について「好きか?」と聞かれればもちろん「好き」と答えますし、どれだけ守備的な戦い方をしているチームでも、攻撃をしなければ試合には勝てません。だから、“やる時はやる”という判断の精度を上げることが大事。僕はそう思っています。

――なんでそう聞いたかというと、琉球戦のゲリア選手を見ていて「我慢してるな~」と思ったんです。本当は思い切って50メートルくらいダッシュしたいんじゃないかなと。

ラン? ハハ。イェ~(笑)。でもまあ、僕だけじゃなくジェフの選手は走るのが得意な選手が多いから、みんな同じようなことを思っていたと思いますよ。でも、何より大事なのは勝つことですから。

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例えばの話として、安田理大を右サイドに回して、左サイドに下平匠。あるいは、右サイドバックはやっぱり米倉。じゃなくても、今さらながら田坂祐介を右サイドバックに置いてみたり、本村武揚もやらせてみればできそうだし、僕個人的には鳥海晃司の右サイドバックもかなり面白いんじゃないかと思っていて……などなど、いくつもの選択肢がある中であのポジションにゲリアを使う意味は、今後もずっと問われる大きなテーマの1つです。

知ってのとおり、ゲリアの爆発力はすごい。米倉との縦関係なら、そりゃあ相手はイヤがるでしょう。それでいて基本的には“我慢”を強いる戦術を採っているわけだから、彼ら2人がキープレーヤーにならないわけがありません。

本人も言っているとおり、「尹監督のサッカーを実現するために、サイドハーフとサイドバックの関係性がめちゃくちゃ大事」。だから「ベスト」を模索する2つのポジションの組み合わせがどう変わっていくかわかりませんが、誰と誰が組んでも、尹さんが期待するレベルを維持する“チーム”を作らなきゃならない。そういう意味で、ゲリアは今シーズンの命運を握る1人かもしれません。

というわけで、以上、3月25日に行ったぶら下がり取材の3部作でした。長すぎたかな。まいっか。次は誰に話を聞こう。

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