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「ペット店頭販売は禁止⁉」新科目公共で学ぶ探究のトビラ(8)

 人間社会では,必ず意見や考え方が対立します。解のない問題や課題が現代社会では増え続け,これからはコミュニケーションを通じた共に納得できる解を見いだす姿勢や態度がますます求められます。中高社会科教員経験のある大学教員です。生徒や学生たちとの授業実践,互いの根拠や意味を問い合う対話による探究活動を紹介します。諸学校での授業活用はもちろん,理解しやすい身近な題材にしていますから,友人同士や家族団らんで語り合ってみてはいかがでしょうか。

ペット店でペットの販売を禁止する!?

 フランスでは2021年11月,動物愛護に関する法律が改正されました。これにより,2024年からペットショップでの犬・猫の販売禁止,すべての動物をショーケースで展示することも禁止することになりました。この背景には,アニマルウェルフェアという考え方があります。

アニマルウェルフェアとは?

 動物にとって苦痛やストレスの少ない環境下での飼育を目指す考え方です。1960年代のイギリスで提唱されました。当時のあまりにも劣悪な家畜の飼育方法に批判する形で発信されました。日本では「家畜福祉」とも呼ばれていますが,現在では,ペットへも対象が広がり「動物福祉」とも呼んでいます。

フランス特有の事情!?

 フランスでは,世帯ペット飼育率が半数以上と言われていますが,年間10万匹が飼育放棄により捨てられています。その要因の一つに,人々が楽しむバカンス(長期休暇)があります。このとき旅行先にペットを連れていくことができず,放棄してしまうケースが多くなっているとのことです。日本ではなじみのない長期間のバカンスが影響しているのですね。

コロナ禍では日本も同じ!?

 日本では,感染拡大防止のための外出制限や在宅勤務をきっかけに,ペットを飼育するケースは増えたと言われています。しかし,制限が緩和されると外出や通勤も増え,飼育放棄につながるようになりました。この問題は,日本でも身近なことですね。

ペット店に責任はあるか!?

 動物保護団体の担当者は,「子犬は愛らしいからとペットショップで購入するが,成長すると手に負えなくなって…。」と話します。そのことから,ペット店の販売説明責任を追及する声もあります。
ペット店の中には,育て方や特性をしっかり説明して販売したり,ショーケースの配置を工夫してペットのストレス削減に取り組んだりしているお店があります。飼育放棄とペット店販売の無関係性から,法律改正に疑問を呈し,一律の店頭販売の禁止に反発の声もあります。

2024年からのフランスと諸外国

 ペットを飼いたい場合は,ブリーダー(繁殖,育成,躾けなどの専門家)からの直接購入や保護施設からの引き取りなどに限定されることになります。先進国の中ではすでに,アメリカ(カリフォルニア州)は,保護施設からのペットショップ販売に減してしていますし,イギリスは,生後8週間未満は販売を禁止しています。
衝動買いによる飼育放棄をなくすための施策ですが,日本も無縁ではなさそうです。ペットを飼っている,否かに関係なく探究することは大切ですね。

探究とは…
①自分で課題を見いだす
 ②解のない問いと向き合う
③人としての在り方生き方を追究する
④他者と共に望ましい社会形成に参画する

#探究学習がすき


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