小学校理科を指導要領から考える【毎週水曜日更新】

はじめに

 東京都葛飾区を中心に理科教育イベントを行っている筆者が小学校での
理科教育法や楽しく学ぶ方法を考え、とりあえず文章に起こしている記事です。読みづらい部分ばかりとは思いますが、発想の一つとしてお読みいただければ幸いです。
当記事、当シリーズは全文無料でお読みいただけます。
前回→「季節と生物」https://note.com/katsushikakap/n/n98e888594470


1.「雨水の行方と地面の様子」の概要

 雨水の行方と地面の様子について、流れ方やしみ込み方に着目して、それらと地面の傾きや土の粒の大きさとを関連付けて調べる活動を通して、次の事項を身に付けることができる指導する。
ア 次のことを理解するとともに、観察、実験などに関する技能を身に付けること。
(ア)水は、高い場所から低い場所へと流れて集まること。
(イ)水のしみ込み方は、土の粒の大きさによって違いがあること。
イ 雨水の行方と地面の様子について追究する中で、既習の内容や生活経験を基に、雨水の流れ方やしみ込み方と地面の傾きや土の粒の大きさとの関係について、根拠のある予想や仮説を発想し、表現すること。

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編

2.様々な事を理解するのに便利すぎる位置エネルギー

 本単元の目的の一つである「水は高いところから低いところへ流れる」の話です。正直、生活経験上で全ての子ども達が分かってはいることだと思います。学習として分かっていることを理解することが重要です。
物体には重さがあり、世界には重力等の重さのある物を引き寄せる力が働いていること。そして、傾斜、角度によって物体が持つエネルギーの大きさが変化するという学びです。

 雨の降る強さや川の流れ、川の大きさ、ダムと水力発電などの「水との関係」について考えることが本単元での仮説発想や考察に繋がるかと思います。

3.「水のしみ込み方」をどう観察するか

 指導要領では校庭や教材園での観察を述べていますが、正直わかりづらいと思います。
しみ込む速さは上から見て、時間を数えればわかることですが本単元において「しみ込む際の粒の大きさ」にも言及があります。
なので、やはり断面図的に横から観察できる方法がより観察に適していると考えます。

 水の浸食、川の学習ではよく水槽に土や石を入れて疑似的な土地を作り、水を一方向から流し川が出来ていく様を観察します。この実験観察を本単元で使う事もあるかと思います。ただし、準備や実験操作で時間が必要になります。
 しみ込み方の比較だけであれば、底を切り取ったペットボトルが使えたりします。

4.ペットボトルで作る観察キット

「水のしみ込み方」で比較観察したいのは砂の大小、石の3パターンがあればよいと思います。余裕があれば内容物の配分を調整して校庭等の身近な環境を再現することも可能です。

観察キットは単純に、ペットボトルに詰めて上から水を流すだけです。
大きな砂や岩は排水溝ネット等に詰め、底を切ったペットボトルをかぶせ、
ペットボトルの口から水を流すと岩や砂によって水の流れが分かれていく事も体験的に理解できると思います。

難しいのは粒の小さな砂です。排水溝ネットだと垂れ流しです。なので、こちらは逆にペットボトルの底を上にし、キャップを閉めて、しみ込み方に焦点を当てて観察することが良いと思います。
比較順としては粒の大きいモノから観察することが良いと思います。

5.「雨水の行方と地面の様子」のまとめ

 生活経験で知っている事と学習的な新しい発見をどう繋げてみせるのかが大事になってくる単元でした。
水が流れる事に対する決まりやその決まりを使った技術、現象への理解。
学習、実験をすることでしか見えない現象の側面を観察すること。

簡易的な観察キットの製作や子ども達の仮説や考察から何を話すことができるのかでより深く広い学びに出来ると思います。

6.おわりに 

 頑張らなくてもできる実験の準備をどんどん考えていきたいと思っています。教員をやったことのない身で本当に生意気に生きていると思いますが、
ぜひ学校での科学教育がより良いモノになって行くように一緒に考えて頂きたいです。

毎週水曜日更新予定、次回は5月15日更新!「指導要領第4学年 
天気の様子」を考えていきたいと思います。
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