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佃島 住吉神社 鰹塚

1.佃島

佃島といえば、佃煮が有名ですね!

では「佃島に行ったことがある人はいますか?」と質問したら、
「行ったことがある」と答える人は少ないのではないのでしょうか。

ほとんどの人が名前は知っているのに意外と行く機会が少ない、そんな「佃島」を散策してきました。

とはいっても、現在は「月島」と陸続きになっていて「佃島」という地名・島名は無くなり、単に「佃」という地名になっています。

かろうじて「佃島小学校」という学校名としてその名残を残すのみです。

2.佃の歴史

佃は江戸幕府と深い繋がりがあるのですが、先ずはその歴史をざっくりと振り返ってみます。

徳川家康が本能寺の変の際に退却するのを手助けしたり、大阪の陣の際に協力したのが摂津国佃村(現大阪市)の漁民だとか。

家康が江戸に入府したときに、その摂津国佃村より約30人の漁師たちを呼び寄せ、隅田川の河口にあった鉄砲洲沖の干潟が与えられた。

その干潟を埋め立て造成し居住地とし、故郷の村の名にちなみ「佃島」と名付けた。

文久2年(1862年)の「分間江戸大地図」より

佃の漁師たちは漁業権を与えられ幕府に魚を納めるかわりに、許可を得て残りの魚を販売し始めたのが日本橋の「魚河岸」の始まり。

そして魚河岸で売れ残った魚介類を煮締めて保存食としたのが「佃煮」なのです。

3.住吉神社と鰹塚(佃散策)


月島駅より歩いて数分。
赤い「佃小橋」が見えてくる。

旧佃島に架かる佃小橋

近くにはタワーマンションがひしめいているが、旧佃島の一角には今も低層住宅が多く、下町風情が残っている。

今は月島と陸続きとなっているが、現在も西側が隅田川、北と東が運河で囲まれていることに、小さな島だった頃の名残りを留めている。


佃小橋より見ると、左岸に住吉神社が見える。

佃小橋を渡り、最初の道を右に入り、住吉神社方面へ向かう。

神社へ向かって歩いていくと、
鳥居が無く正面入口ではないことに気がついた。
住吉神社拝殿

とりあえず脇口から神社の敷地に入り、拝殿にお参りをする。

住吉神社は摂津国佃の住吉社(現・田蓑神社)の分霊(住吉三神)とともに祀るべく、住吉神社が創建されたそうだ。

順番が逆になったが、
こちらが住吉神社の正面の鳥居

鳥居のちょっと先に「鰹塚」が立っている。

「鰹塚」

実は今回佃に来た目的はこの「鰹塚」。

「鰹塚」があるのは全国的にも珍しいので、鰹好きの私としては是非とも訪れておきたい場所だったのだ。

この鰹塚、昭和28年(1953年)に「東京鰹節類卸商業協同組合」によって鰹の感謝慰霊の意を込めて建立されたとのこと。

「東京鰹節類卸商業協同組合」が
建てたことが書かれている


ちなみ神社の屋根の上に、横向きに飾ってある丸太のようなものを「堅魚木(かつおぎ)」という。
鰹に似てるから堅魚木だとか。

この堅魚木は古事記にも言及があるぐらいなので、相当昔からあった建築様式と思われる。

堅魚木


神社の敷地の外に出て参道を歩くと、もう一つ鳥居があることに気がついた。

隅田川沿いに立つ「一ノ鳥居」(修繕中)

その鳥居は隅田川に向かって立っている。

こちらの鳥居の方が大きいので、こちらがメインの鳥居なのだろうか。

この日は修繕工事中で、作業用の足場が組まれていた。

佃がまだ島だったころは、対岸まで「佃の渡し」という手漕ぎ船で渡っていたらしい。

佃島渡船場跡

神社と鳥居の延長線は江戸城の方角なので、江戸城を意識して建てられていると思われる。

おそらく墨田川を参道と見立てていたのだろう。

鳥居から旧石川島方面に歩いていくと「住吉小橋」があり、橋を渡り切った先に石川島灯台跡が見える。

住吉小橋と石川島灯台跡
旧石川島には人足寄場があった。
旧石川島側から、旧佃島を見た様子。
住吉神社の「本殿」が見える。
小さな漁船が停泊しているところが、
島だった当時を偲ばせる。
佃大橋から見る佃
佃煮屋さんの看板が目立つ


4.佃煮屋さん

さて、佃と言えば佃煮。

散策中に佃煮屋さんが4軒ほどあるのを見かけた。

4軒というとあまり多くは感じないかも知れないですが、実際歩いてみると狭い範囲にあるので多く感じる。

その中でも歴史を感じさせる佇まいの店に立ち寄って見る。

天保八年(1837年)創業の「天安」

店の中もタイムスリップしたかのような雰囲気。

「天安」さんの店内

お店の人に断って内部の写真を撮らせてもらう。

5種類の佃煮がちょっとずつ入っている「おこもりセット」というのがあったのでそれを購入した。

店を出ると、すぐ近くの佃煮屋さんもこれまたいい感じの雰囲気。

天保14年(1843年)創業の「佃源 田中屋」

せっかくなので、こちらの店にも立ち寄ることにする。

「田中屋」さんの店内

「穴子の佃煮」の幟が立っているので、おそらくこれがこの店の売りのようなので穴子の佃煮を購入した。

5.佃煮を食べる

天安さんの「おこもりセット」

天安さんの「おこもりセット」の内容は、
写真左から、ワカサギ・貝ひも・あさり・かつお角煮・はとうがらし、の5種。
今どき珍しい竹皮に包まれているのがよい!

あっ、「おこもりセット」の意味を聞かなかったのは失敗だった。
ちょっとずつ盛っているから「お小盛り」なのか、今のご時世で家に篭っているときに食べてほしいから「お籠り」なのか…
う〜ん、どっちだろう?

実食してみると、佃煮なので味はかなり濃いだろうと思ったけど、そこまでしょっぱい感じでもない。

ご飯のお供や日本酒のアテにちょうどいい感じで、お茶漬けとかもよさそうだ。


写真を撮り忘れたが、田中屋さんの「穴子の佃煮」は生姜で味付けがされていてさっぱりした味わい。

生姜で味付けをした佃煮は「しぐれ煮」って言うんですかね?
普通の佃煮とはちょっと違う感じですが、これもなかなか美味しい。

6.終わりに

あまり行く機会が無いと思われる佃島ですが、近くには「月島もんじゃストリート」もあります。

もし、月島にもんじゃ焼きを食べに行く機会があれば、ふらっと佃にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

都会の中の下町風情を感じたり、本場の佃煮をお土産に買われてみたりしてみるのもよいと思います。



7.番外編

と、ここで終わるつもりだったのですが、番外編です。

先述の通り「鰹塚」を建てたのが「東京鰹節類卸商業協同組合」。

その鰹節の組合は佃の住吉神社から約2キロほどの「晴海」にある。

東京鰹節類卸商業協同組合


そこにも足を運んでみたら、なんと佃住吉神社の晴海分社が祀られていたのを発見!

佃住吉神社の晴海分社
拝殿
昭和46年に分社されたことが書かれている

それだけ住吉神社と深い関わりがあるということですね。

おしまい。

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