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ソファで跳べたら。

子どもの頃に叶わなかったことが、大人になって叶う。
例えば、大人買い。とても嬉しいし、満たされた気分になる。
でも、大人になってからの喜びの感覚は何か憧れていたものとは違って、小さな頃にもし叶っていたら、また違う感動があったのだろうな、と思うことってありますよね。

子どもの頃、実家に一人掛けの小さなソファがありました。
私は二人兄弟だったので、子どもの頃は家の中で走りまわって、プロレスごっこやヒーローごっこをよくやっていました。その小さなソファにも跳び乗って遊んでました。跳ね具合がちょうどいい具合で、私も弟も大好きでした。

しかし、あまりに私たちが跳ぶので、座るたびにギシギシと音がするようになってしまいました。おそらく、中のスプリングがダメージを受けてしまったのだと思います。

「ソファの上で跳ぶのは禁止!」
両親からジャンプ禁止令が出てしまいました。

元々、トランポリンのように跳び跳ねるもので遊ぶのが好きでした。
イベント会場やスーパーの広場で、いわゆるエア遊具というのでしょうか、5分100円くらいで中に入ってピョンピョン飛べる遊具が来ているときは、親にせがんで我先に跳んでいた兄弟でした。

ソファの上で飛ぶと、ちょうどよい反発具合で、トランポリンみたいに楽しかったのですが、禁止令が出てからというもの、
「ソファで跳びたい」
という思いをずっと心の奥底に持ち続けてきました。

年齢を重ね、家の中で跳んだりはねたりして遊ぶことも減った私たち兄弟は、ソファで跳ぶことへの憧れは心の底へしまったまま年齢を重ね、大人になり、それぞれ家庭を持ちました。

心の底へしまった思いは、年が経つとどこかへ行ってしまいます。
もう何年も、私は忘れていました。

しかし、ひょんなことで急に思い出すことがあるのです。
コロナ禍で、自宅でエクササイズができるというテレビ番組を見ていたときのことです。
「おうちエクササイズで、トランポリンが人気」という話題だったと思いますが、家の中でも場所を取らず、家族みんなで気軽に跳べるサイズのトランポリンが何種類か紹介されていました。

何気なくそのトランポリンの1つを目にした私は、「あ!」と思わず大きな声を出してしまいました。
なんと、ソファ型のトランポリンが発売され、大人気で品薄になっているということでした。

その名は、シェイプキューブ。

私の子どもの頃の「ソファで跳べたら」という思いがカタチになった商品が爆誕しているなんて、驚きました。

小型のソファで跳ぶのが楽しいのは30年以上前からわかっていたことなんだから、その楽しさを知る私が、この商品を開発しても良かったんじゃないのか?という意味不明な残念感が湧いてくるほど、私の心の底にしまっていた思いがあふれ出てきたのでした。

「みんな、ソファで跳びたかったんだ!」
と仲間を得た気分になり、嬉しくなりました。

しかし、現実はそうではありませんでした。
大人気の理由は、コンパクトでインテリアにも馴染むから。
体重60㎏の人が8分間跳ぶと、ジョギング1kmに相当する運動量だそうで、手軽に体幹が鍛えられるということ。
そして、大人が乗っても大丈夫で、疲れたら座椅子として座ってもOK。
丸型の小型トランポリンと比べても、音が静かだというスグレモノだから、という数々の理由で支持されているということでした。

誰も「ソファで跳べたら。」とは思っていないのか!?
でも、みんなきっと、言っていないだけで、ソファで心おきなく跳びたいと思っているに違いない!

そのような思いを強くし、シェイプキューブを購入するかどうか、我が家の大蔵大臣をはじめとする家族に対し、家庭内稟議を回付して予算申請をしようと考えているカツオであります。

禁止令以降、ソファで跳べていないという厳しい現実は変わりません。
子どもの頃に叶わなかったことが、大人になって叶う、とは限らない。
大人になっても「ソファで跳びたい」と思っている人って、私だけかもしれないけれど、叶うまであと少しのところまで来ました。頑張ってみます。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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