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本楽寺 -吉野川を借景とした枯山水庭園-

2023年の1月2日に弾丸日帰り旅行をしてきました。先月は流行病のため、しばらく写活を自粛していました。ようやく体力も戻ってきたこともあり、長時間のバス移動を伴う遠出をしてみることにしました。

目的地は徳島県美馬市。美馬市の脇町というところにある「うだつの町並み」が見たくて、いつか行こうと思っていた所。大阪からの行程ですが、南海なんば駅から徳島駅行きの高速バスに乗り、そこからJR徳島線の各駅停車で最寄駅の穴吹駅まで移動。徳島駅に着いたのは10:30。当駅49分発の穴吹行各駅停車にギリギリ乗り込むことに成功。運賃ですが、片道870円は地味に高いですね。

出迎えてくれたアンパンマン。高知県だけでなくて徳島県内でもアンパンマンのラッピング車両は走っています。
気動車天国の徳島。ディーゼルエンジン搭載なので、排気ガスで天井が煤だらけ。

嘘のようで本当の話なのですが、徳島県には電車が走っていません。徳島県内を走っている鉄道車両はほぼ全てディーゼルエンジンで走る気動車です。そういうわけで、徳島駅構内を見上げると、そこには都会の駅ありがちな送電用設備や架線の類が一切ありません。今回も何にも邪魔されていない綺麗な青空をはっきりと見ることができました。

穴吹駅までの所要時間は約1時間。うだつの町並みまでは駅から2.5km徒歩移動。駅前すぐにある、吉野川に架かる結構長くて高い橋を渡り、川沿いの堤防をひたすら歩いていくと、うだつの町並み近くの道の駅に到着します。

うだつというのは、町屋と町屋の間にある漆喰塗りの独立した屋根を持つ瓦葺きの仕切り壁のことだそうです。元々は防火や防風といった役割のために作られたものだそうですが、江戸時代中期以降からはその家の裕福さを誇示するためのものとなり、実用的なものから装飾的なものへと変化していったのだそうです。

うだつの町並みにあるカフェで小休憩を済ませ(大阪から移動しっぱなしだったので)、次の目的地である本楽寺まで徒歩移動です。本楽寺の最寄駅は徳島線小島駅(おしまえき)です。穴吹駅まで戻って汽車で行ってもよかったのですが、徳島線のダイヤには注意が必要です。徳島駅から穴吹駅までの汽車の本数は比較的多めです(といっても1時間に一本程度)。しかし、穴吹駅を境として阿波池田方面の汽車となると一気に本数が減ります。各駅停車だと9時台の電車を逃すと次は12時台。それを逃すと15時台といった具合。特急列車(剣山)はもっと少なくなります。小島駅は穴吹駅の隣駅ですが、このような理由から電車移動はほぼ不可能なのです。必然的に徒歩か車での移動になります。距離ですが、うだつの町並みから小島駅まで3.5キロ程度。全域平坦な道なのでお散歩感覚で歩きやすいのですが、この日は西からの強い向かい風で歩くのに一苦労でした。

途中で数回道を間違いつつも本楽寺に到着。Googleマップを信頼しすぎたら駄目というのを思いっきり痛感しました。お寺は小島駅のすぐ近くです。この階段を登り、境内に入ると絶景が広がっていました。

これが本楽寺の枯山水庭園。日本でも珍しい、といいますかここだけだと言われている川を借景としている庭園です。山を借景としているお庭だと、例えば京都にある、比叡山を借景としている妙満寺の雪の庭がありますね。山門を越えると、思わず「うわぁ」と声が出てしまいました。

額縁庭園風に。作庭した人ですが、重森三玲のお弟子さんだそうです。重森三玲と言えば、私の大好きな東福寺塔頭光明院のお庭を作った庭師ですね。この縁側からしばらく眺めていたくなる絶景。この時点で訪問者は私一人。完全な貸切状態でした。しばらくしてお寺の人が「拝観料300円です」とやってきましたが、いや300円でこの絶景は安いでしょう。京都だと、お庭を見るだけで千円近く徴収するところもあるぐらいなのに。

境内の他の場所をしばし散策し、再び穴吹駅へと歩き始めました。片道6キロの旅になります。交通の便が悪いのが本当に残念ですね。まだ1月2日だからなのか、徳島県だからなのか、人はほとんど歩いていませんでした。ほぼ鉄道沿いに歩いて行けば穴吹駅に辿り着きます。往復で約13キロ程度歩いたので、両足はガタガタ。新年早々にこんなに歩くということは、今年もたくさん歩くことになるんだろうな。

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