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国際協力は人間協力~『外国人』としての経験から学んだこと~

2018年のフィリピンでの夏のインターンは3か月近くに及んだ。インターン先は日本人スタッフ2人、フィリピン人4人の小規模な国際協力NGO。貧しい農村の人々に対して所得向上を目的としたソーシャルビジネスを行っていた。地域の産品開発を行い人々の所得を向上するのが主な事業だ。「国際」協力と言うと「国と国の協力」という何か大層な響きがするが、結局の所は「人間」協力だ。今、振り返って、そう思う。

国際ビジネス、特に社会課題の解決を目的としたソーシャルビジネスには、経営が上手くいくか否かとは別の、特有の難しさがある。例えば、インターン中、事業実施地の村にて経済状況把握のための集会や戸別調査を実施するということがあったのだが、かなり綿密な段取りが必要だった。というのも外国人である日本人が田舎の農村に入るというのは、現地住民にとって普通あり得ないことだからだ。

慎重な言葉使いや明確な目的・意図の伝え方など、相手に対して良い印象を与える意識・誤解を与えないように気を付けるマインドを常に持っていなければ、外国人だからという理由で疑いや嫌悪感を持たれる可能性がある。また、通訳として同行するフィリピン人スタッフとも、訪村前の打ち合わせにはかなりの時間を割き、理解の隔たりを無くしておかなければならない。

訪村時にスタッフ間の認識のずれが露呈した場合(スタッフAは○○と言っているが、スタッフBは全く正反対のことを言っていたというような場合)、現地住民を困惑させてしまう。信頼関係構築の阻害要因となるのである。

インターン中は、現地住民、フィリピン人スタッフとの会合の段取り、綿密な意思疎通、理解の共有に大半の時間を費やす日々が続いた。

コミュニケーションにそんなに時間がかかるのなら、最初から現地人だけの力に任せておけば良いではないかと思う人もいるかもしれない。

しかし、地元の人だけでは気付き得ない課題、解決できない社会課題が存在することは否めない。その課題に対して、そとの視点からアプローチし解決を試みることは確かに必要であろう。その「そと」の人間が外国人である場合、言語、文化、価値観における現地住民・スタッフとのギャップは一層大きい。その違いを乗り越えていく過程こそが国際協力であり、辛抱強いコミュニケーションを通した信頼構築・合意形成という、人間同士の「人間」協力なのである。


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