かつおぶしの缶詰#3
こんにちは、7月公演の演出をつとめる岩下です。今日は7月公演全体のステートメントを書きます。緒方が5月に書いていたステートメントを意識しながら書くので、未読の方はそちらも読んでみてください。
5月ステートメント(https://note.com/katsu_para/n/na90307495c28)
5月振り返り(https://note.com/katsu_para/n/n56cd60868674)
①企画について:作品以外に大事なこと
作品作りだけではなくて、企画を通してコミュニティに働きかけたいと考える緒方は立派だと思っていて、私もそのような姿勢を見習いたいと思っています。
以下は緒方の5月のステートメントです。
今回の主な演出方針は大きく分けて以下の3つです。
①駒場演劇の保守性・内向性を打ち破る
②スタッフワークのクリエイティビティが作品に寄与する割合を広げる
③より良い会話劇の探求
上の指針のうち特に①に関わることですが、5月公演は劇作メンバーの多様性を求めたこと、それが結果的に観客層の多様化につながったことがよかったと思います。演劇界に興味を持ってくれる人が増えるのはいいことだし、もっと言えば、将来的に彼ら彼女らと創作する可能性だってあるんだから。
2ヶ月3ヶ月かけて作品を作って少ない人数にみられて終わる、そういう演劇の消費のされ方(また、制作側のそういう作り方)に違和感を持っていて、成果物としての作品と同様に制作プロセスや作品の振り返り、批評にも同様の重みを持って考るべきだと思ってます。
作品を通じて観客や共同制作者という他者に触れ合うから、参加者は自分の興味を深掘りできるし、人間的に成長したり価値観が変わったりさえする、そういうことに演劇制作の価値をおいています。
緒方がコミュニティに働きかけるのが立派だと思い始めたのだって、冒頭ではあたかもずっと思ってたかのように書いたけれど、実は最近のことでした。その変化は自分の中ではポジティブなものです。
だから、企画のスローガンはこう。
①自分の興味を深掘りする:上演後に「言葉で自分や他人の身体を動かすこと」をテーマに何かまとまった文章を書くか、別個に作品を作る
②演劇制作の内部公共性について:役者、スタッフワークが伸び伸びクリエーションできるようにする
③演劇制作の外部公共性について:ワークショップを開く
作品を作ることに終始せずに、それを通じて自分がどう変わるか、コミュニティがどう変わるかに目を向ける。演劇に関わる人はもちろん、演劇以外のことを専門にしている人にも説明できる形で、社会との関わり方を考える。
このnoteを読んでいる方々も是非是非、駒場小空間に足を運んでくださると嬉しいです。上の考えだとやいのやいの言うこと含めて演劇ですから。まだ東大生しか入れないというのが悔しいところですが、、、
何かと外に出るのが億劫な日々ですが、いい気分で帰ってもらえるように努力しますので是非に。無料です。
②作品について:演出の方針
上だけ読むと作品を面白くすることに目がいってないように見えますが、そんなことはありません。どちらかというと楽しませることに強迫的なタイプです。
今回は「誰として誰に話しかけるのか」を複数組み合わせて、観客を撹乱しつつ楽しませる作品を作ろうと思っています。
「5月の制作過程を上演する」というタイトルですが、役者は「稽古場にいたときの私」「今ここにいる私」「夫を演じていた私」「妻を演じていた私」「演出家だった私」など自分であり自分でない役を行き来します。役を切り替えながら、観客に語ったり、共演者と喋ったり、話しかける対象も切り替えます。
わざわざ長い時間かけて作るんですから、長いこと稽古しないとできないような曲芸を見せたいです。曲芸師3人組によるサーカスを作るつもりでやってます。
何が起こっているのか最初はわからないのだけど、見ているうちにだんだんわかってきて劇の途中では笑えたりして、最後にはまたわからなくなって、ひゅっと怖くなって終わる、そんな劇を目指してます。ぜひお越しください
🐟公演情報🐟
劇団かつおぶしパラダイス7月公演『5月公演の制作過程を上演する』
7/21(水)12:00〜, 16:00〜
於:東京大学駒場キャンパス内多目的ホール(駒場小空間)
構成・演出:岩下拓海
出演:岩下拓海、緒方優紀乃、小林留奈
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