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「戦略的思考」について考えてみた〜競争優位、戦わない。戦略的思考が必要な理由について解説〜

皆さん、こんにちは。

VUCA(不確実性が高く予測が困難な状況)と呼ばれる時代において、一定の目的や目標を達成するために必要なチカラは「柔軟性」だと考える。そして、柔軟性を生み出す本質が「戦略的思考」である。

そもそも、VUCAという言葉は「軍事用語」である。これまでの成功体験が通用しない戦局において臨機応変な対応をとるために生まれた造語で、近年になってビジネスの領域に転用されるようになった。

戦略的思考も、戦い(軍事)において「生き残るためにどうするべきか」という視点が原点になっている。戦いとは、勝つことでもあるが、負けないことでもある。勝つということは、負けを生むことでもある。

勝つことが目的になるのは、実は本質ではない。短期的にメリットを感じられたとしても、結果的には敵を増やして更なる戦いを生んでいるだけ。孫子の兵法でも「戦わずして勝つ」ことの重要性が謳われている。

これは軍事の話に聞こえがちだが、日常でも同じことが起こる。仕事仲間や友達とのコミュニケーション、ビジネスにおける商談の機会など、あらゆる場面で、人は戦略を「勝つこと」に使いがちだ。

今回の記事は、「戦略的思考」について私なりの見解をまとめた。私の仕事の大半は「戦略人事」を支援することだが、多くのビジネスパーソンに共通してお伝えできる部分も多いと考えている。

ちなみに、後術するが「戦略的思考」は、私の得意分野でもあり、これまで関わってくださった人生の先輩方から教わった大切な教えでもある。その教えを整理することも、この記事を書く理由だ。

「戦略的思考」とは

戦略的思考とは、競争優位性を築くためのポジショニングについて、広い視野から逆算的に考えること(戦わずして勝てる方法を考えること)

島田オリジナル翻訳

今回はあえて他者の言葉を借りずに翻訳したが、翻訳のベースは「ドラッカー戦略」と「孫子の兵法」であることは、わかる人にはわかるだろう。これまでいろんな本を巡り合ってきたが、この名著から学ぶことは本当に多い。

私が「戦略的思考」に興味を持ったきっかけは、ストレングスファインダーにある。クリフトンストレングスに結果で最も高い資質が「戦略性」と示されたことで、戦略的思考に愛着を感じるようになった。

言われてみれば、幼き頃から戦略を考えるのは好きだった。なので、この分野は私にとって「努力しなくてもできてしまうこと」なのだ。ちなみにこの考え方は、競争優位性を築く上でも最も重要な視点だ。

人間には大きく2つの領域がある。「得意」と「不得意」だ。ストレングスファインダーでは「資質」という言葉になっている。私にとって、人よりも努力をせずに取り組めてしまう、できてしまう(没頭できてしまう)ことが「得意」で、その逆が(努力できない、人よりも努力しても平均くらいにしか到達できない)が「不得意」である。

「何を頑張るか」を間違えてしまうと、人間は苦しくなる。私が「戦略的思考」について考える理由は、まさにこれだ。皆さんは日常において、どれだけ「得意」と向き合う時間を過ごせているだろうか。

「戦略的思考」のメリット

「戦略的思考」を磨けば、自分自身を正しく理解することができる。できるできないで判断せず、得意不得意で判断できれば、これからの人生はあらゆる場面で競争優位性を保てるだろう。誤解をしてほしくないのであえて付け足すが、競争優位だとしても戦うかどうかは自由である。

私自身は、できるだけ「戦わない方法」を常に考えている。理由はシンプルで、敵を作ることが私の人生においてメリットだと感じていないからだ。スポーツは勝負の世界と言われているが、これも捉え方次第で、エンターテインメントの視点からもみれば、お客さんを楽しませる「共演者」でもある。

冒頭に「柔軟性」については触れたが、それはまさに上記のことで、思考が柔軟(捉え方を変える)になれば、戦いは避けられる。つまり、戦略的思考ができるということだ。この両者の関係性はとても深い。

ゴールからの逆算

「戦略的思考」を語る上で、中長期的な視点は欠かせない。つまり、一定の目的や目標を設計することは必須条件である。山登りのように到達すべきポイントが明確であれば、そのための道のりも考えやすい。

一方で、「ゴールを設定しない」という選択もある。山登りで例えれば、どこまで登るかは決めずに道中をとにかく楽しむといった具合だ。それはそれで戦略的思考の要件を満たしていると言える。

ただ、どちらにおいても重要な視点は「誰が喜ぶか」の視点だ。自分だけが喜びたい、誰かの喜びを奪って自分が喜びたい、という視点で戦略性を用いることは、少なくとも私は反対の立場である。喜ぶ人が増える、広がっていくという前提で戦略的思考を活かしてもらうことが望ましい。

戦略と視野は比例する

前述した翻訳に「広い視野」という文言を加えた。戦略の大きさは、視野の広さを比例する。私の経験においても、これは立証されている。視野の広さは、①横軸(長短、現在過去)、②縦軸(深浅、表裏)で立体化することができると思っていて、その面積が広ければ広いほど、競争優位性を示すポジションニングの正確性も上がっていく。

ひとつの視点でしか考えていないケースでは、競争優位の正しさを立証することはなかなか難しい。近年、データマーケティングなどの重要性が増しているのも、あらゆる角度からの検討が必要不可欠だからだ。

人生においても、仕事の側面だけで考えるのでなく、家族とのプライベートな時間や友人などの過ごす時間、自分が楽しむ趣味の時間などを合算した上で「最適解」を出すのが望ましい。その方がより確かな戦略性となる。

人事における「戦略性」

私の専門は「人事領域」なので、自分の資質でもある戦略性を活かして、ひとづくりや組織づくりを支援している。戦略人事の視点は、近年その重要性が高まっている。その理由は、企業そのものが勝つこと以上に「生き残ること」の重要性を認識し始めているからだ。

特に日本においては人口減少社会&高齢化が進行しており、企業そのものを維持する労働人口も当然ながら減っていくことが予想されている。一方で、経済は「成長」が前提であり、多くの企業がそのジレンマと戦っている。特に一定の社員を有する会社ほど人事における戦略性は不可欠だ。

文中でも示した通り、最も大切なことは組織が得意であることを明確にした上で、その領域に適した人材を確保することであり、同領域の競合他社に対する競争優位性を構築することが戦略人事の本質だ。採用を強化するために人件費を上げたり、採用だけに費用をかけるのは手段にすぎない。経営戦略と人事戦略が連動しなければいけないのは、ちゃんと「得意」を設定する必要があるからだ。

戦略人事に関する研修

来月、とあるサービスを利用している企業様のみを対象とした「戦略人事研修」を実施する。今回の記事で書いたことをベースに、企業ごとの得意を理解するための研修だ。これは合同研修方式で、同地域の企業の得意不得意も理解することができる。

現代において、得意不得意は隠す時代ではない。むしろオープンにして協力する姿勢が必要だ。地域ベース、業界ベース、協力する枠組みはなんでもいいだろう。敵対するのでなく、一緒に作り上げていく。その過程に競争がある。そのような思考を持つ企業が、これからは生き残っていくだろう。

話は少し逸れるが、noteだけでなくTwitterの方も最近は好調で、フォロワーも700名を突破した。活動内容や思考のアウトプットが大半だが、こちらでも戦略の重要性を発信していきたい。


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