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「ウェルビーイング」について考えてみた〜言葉の定義や種類、大切にしてほしい視点も(図解あり)〜

皆さん、こんにちは。

「ウェルビーイング」という言葉は、私が経営する会社の社名の語源でもある「ハピネス」とは異なる概念として、よく取り上げられます。また、健康という文脈においては「ウェルネス」とも比較されます。

1947年の採択された世界保健機関(WHO)憲章の「健康」の定義の中で初めて「ウェルビーイング」という言葉が採用されたことで、それ以降は世界各国で使われています。

医学の分野だけでなくビジネスをはじめとしてソーシャルな領域にも広がっていて、新聞やネットなどでも頻繁に目にする言葉になりつつあります。

私なりに「ウェルビーイング」の定義や意義についてまとめてみました。図解などの資料も盛り込みました。少し難しく感じる部分があるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。

「ウェルビーイング」とは

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること

日本WHO協会より引用

言葉を直訳すると「善いあり方」となりますが、前述した通り、健康の分野における「ウェルネス」との比較が一般的です。どちらも肉体的な健康だけでなく精神的・社会的な健康も必要としていますが、ウェルネスは「向かっている状態」であり、ウェルビーイングは「満たされた状態」となります。

「合同会社ハピオブ ウェルビーイング研修資料」より抜粋

最近では、企業や行政でもそれぞれの見解ウェルビーイングを取り入れているケースが増えています。ちなみにウチの会社では、ウェルビーイングという言葉自体の重要性は認識しつつも、まだまだ馴染みがない(遠く感じる)言葉だと思うので、下記のような感覚的な表現で説明しています。

「ウェルビーイング」は、いつも通り、いい感じな毎日を過ごすこと

尾藤(弊社CWO)の定義を引用

私の個人的な解釈を付け加えるとすれば、ウェルビーイングは上記の3つの分野における理想の状態(善いあり方)を「自分なりに定義すること」だと思っています。何が正しいとかそういうことではなく「自分なりの解を持ちましょう」ってことです。組織や団体が定義を決めることはあるかもしれませんが、どの指標においても、自分が善い状態で認める数値は自分基準でなければいけません。

「ウェルビーイング」の種類

「合同会社ハピオブ ウェルビーイング研修資料」より抜粋

「自分なりに」を考える前に、ウェルビーイングの種類についても理解しておく必要があります。図にも示した通り、ウェルビーイングは「主観的」と「客観的」の2つに分けられます。

一定の基準によって決まる「客観的ウェルビーイング」については、自分自身の指標は関係ありません。一方で、充実度や満足度、幸福度などの自分の指標が影響するものは基本的には「主観的ウェルビーイング」です。

予防医学研究者の石川善樹さんによると、主観的なウェルビーイングの数値が低い国は社会的な混乱や争いが起きることが過去の歴史からも証明されているそうです。これはとても重要な視点ですよね。

少し話は逸れますが、幸せは「なるもの」ではなく「感じるもの」だと教わったことがありまして、これはウェルビーイングの視点においても同様だと考えています。主観的ウェルビーイングはまさに「感じているかどうか」を測るということに他なりません。

「ウェルビーイング」の特徴

「合同会社ハピオブ ウェルビーイング研修資料」より抜粋

「時間軸」は、ウェルビーイングを語る上で最も欠かせない重要な視点のひとつです。実は、瞬間的(短期的)に満足や幸福を感じる心理状態はウェルビーイングには該当しません。つまり、どれだけ肉体的・精神的・社会的に理想の状態であっても、それが「継続可能な状態」でなければいけないということです。

お腹いっぱいにご飯を食べることは、瞬間的には満足や幸福を感じるかもしれませんが、継続すれば肉体的な満足は得にくくなります。もしくは他の活動(例えば運動など)が必要となります。一般的には、このような瞬間的な心理状態は「ハピネス」と定義されます。

脱線しますが、中学生の算数の授業の中で「証明」を勉強すると思うのですが、この理論は「言葉の説明」でも有効活用できます。共通している部分と異なっている部分を整理する。今回はウェルネスとハピネスを比較対象に説明していますが、そのものを説明するのが難しい場合には「他との違い」で存在を証明する方法が私はとても好きです。

そういえば、先週書いた「コーチング」に関する記事ですが、おかげさまでたくさんのいいねをいただいてます。コメントまでくださった方もいらっしゃったり。読んでくださった方、本当にありがとうございます。この場を借りて感謝をお伝えします。

「ウェルビーイング」の要素

ここで少し、ウェルビーイングの要素の部分についても触れておきます。この点については、様々な捉え方が存在しており、相対的な考え方もあれば、個々人の研究による絶対的な見解もあります。今回は、その中でも最も知名度もあり私も共感しているギャラップ社(アメリカ)の定義を紹介します。

https://wellday.jp/articles/well_being より引用

この観点は、世界中の調査を経た上で、国籍や信仰、文化などのバックグラウンドを問わず当てはまるとされている要素です。それぞれの領域でウェルビーイングを感じる必要があるとのことですが、これだけを見ると少し難しく感じる人も多いかもしれません。

https://wellday.jp/articles/well_being より引用

こちらは、ポジティブ心理学を提唱したセリングマン(アメリカ)が、持続的な幸せを計測するために構築したウェルビーイング理論です。こちらはすでにワークショップやカードゲームなどが広まっており、自分を一定のフレームワークで捉える方法としてはオススメかもしれません。

これ以外にも、独自に指標を作る組織や団体もあります。ちなみに私の故郷でもある富山県では、下記のような独自の指標を作り「ウェルビーイング先進地域」を目指しています。

富山県ウェルビーイング指標」より抜粋

冒頭でもちょっとだけ触れましたが、これらの指標に対して「どれが正しいか」という議論はしたくはないし、する必要もないと思っています。大切なことは、自分自身が「どんな指標を用いてどのくらいで満足を感じられるのか」を定義することです。私たちが実施ている研修でも、自分自身の解を持つことを重要視しています。

自分自身の「ウェルビーイング」

ここまで色々とお伝えしてきましたが、やっぱり大切なのは「自分自身のウェルビーイング」と向き合うことです。では、どうやって自分自身のウェルビーイングを見つけるのか。私が提唱するのは「ハピネスから考える」というアプローチです。思考の流れを整理したのが下記の図です。

「合同会社ハピオブ ウェルビーイング研修資料」より抜粋

理想を見つける方法には2つのアプローチがあります。理想を設定して逆する「バックキャスティング」と、現状から着実に階段を登っていく「フォアキャスティング」です。今回のフォアキャスティングを使用しています。

前述した通り、ハピネスとウェルビーイングは異なる概念ですが、延長線にある概念であるとも言えます。ハピネスはウェルビーイングを感じるための貴重な情報であり、ヒントです。そのヒントから自分の思考を発展させればウェルビーイングに辿り着くことができます。私もこの思考で考えることが多く、会社としてもハピネスを重視している理由がコレです。

読者の皆さんの身の回りにも、いろんなハピネスが隠れています。それに気付くことができれば、それはあなたにとってウェルビーイングを考える(もしくは感じる)絶好のチャンスです。

すでに「ウェルビーイング」

ウェルビーイングについて話す最後に、いつもお伝えしていることがあります。それは、皆さんはすでに「ウェルビーイングである」ということです。いつもウェルビーイングについて話すと、「私は幸せではありません」「私は幸せではないっとことですか」というような意見をもらいます。私は「そんなことは全くありません」とお伝えしています。

こうやってウェルビーイングについて考えることができる時点で、私はすでにウェルビーイング(私の解釈はハピネス)だと思っているからです。 ウェルネスではないかという人もいるかもしれませんが、起点がウェルビーイングであるかどうかで、思考も全く異なってきます。

私は自分自身が「幸せ者」であると自覚することを大切にしています。だからこそできること、やらなければいけないことがある。この思考になるには自分がウェルビーイングであることを受容することが不可欠です。

3/22 14:00〜

最後にお知らせです。富山県で「富山ウェルビーイング会議」が開催されます。私は特に何かするわけでもありませんが、ウェルビーイングについて考えるきっかけになるかもしれません。

すでにウェルビーイングを感じている人の話を聞く。ウェルビーイングの研究者から最新の事例について聞く。自分自身のウェルビーイングと向き合う方法は色々とあります。オンラインでも参加できるとのことですので、良かったらぜひ。(私もちょっとだけオンラインで聴講する予定です)

尚、日頃の活動や感じたことは「Twitter」で呟いていますので、よかったら見ていただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です!

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