マインドフローと戦略分析

なぜお客様はあなたから商品を買わないのか?
買ってくれないということは、どこかに問題がある。お客様の視点で、その問題点を数値化し、把握するツールを紹介します。

参考文献:『実践マーケティング戦略』ストラテジー&タクティクス㈱ 佐藤義典さん

▶目次
・マインドフロー
・マインドフロー7つの関門
・マインドフローを数値化する
・マインドフローと資源配分の最適化


◆マインドフロー

マインドフローとは、お客様の心の動きの流れ。お客様があなたの商品を知ってから、買ってあなたのファンになるまでの、お客様の体験を、お客様の視点で、お客様が経験する順番で追っていく手法。お客様から見て、あなたの問題がどこにあるのか、お客様がどこで止まっているのか、を体系的にモレなく考えていく手法。

◆マインドフロー7つの関門

通常は、7つの関門を順番に通過していきます。順番や内容の詳細は業種業態によって変わるでしょうが、一般的な流れは以下のようになります。

①認知:あなたの商品の存在を知り理解する。
→認知率、ターゲットが接触する媒体は?

②興味:あなたの商品に興味を持つ。
→感じている不満・不便、不満の強さ、ベネフィットは?

③行動:HPを見る、来店・電話・資料請求などの行動をとる。
→行動の障害は何か、その大きさは、オファーは?

④比較:競合他社と比較する。
→競合と比べての強み・弱み、商品特徴は伝わっているか?

⑤購買:お金を払って買う。
→購買の障害は何か(お金、来店の手間、持ち帰りの手間…)、それらを減らしているか?

⑥利用:買って使ってみた。
→使いにくい点はないか、使い方はわかりやすいか、用途は伝わっているか?

⑦愛情:ファンになり、リピートしたり、口コミで回りに奨める。
→愛情を感じられているか、口コミ・リピート促進策はあるか、仲間はいるか?

◆マインドフローを数値化する

例)A証券会社S店
A証券S店の課題は、個人顧客の開拓です。潜在顧客は通勤のために店の前を通るビジネスパーソンとします。

 潜在顧客数を測定する方法はいくつかありますが、S駅の総乗降者数、店の前を通るスーツを着た人の数、店舗周辺の事務所の数、などから2万人、という数字を導き出したとします。これを潜在顧客の総数とします。
⇒総潜在顧客2万人=100%

 次に、街角でアンケートを行ったとします。店舗の前を通るスーツを着た人で、近くに通勤している人を対象としました。
⇒A証券S店の認知率=100%
 証券会社での資産運用に興味のある人=65%
 A証券S店への来店経験者=10%

毎日店舗の前を通っているので、全員がS店を知っていたとします。また、資産運用に興味のあるビジネスパーソンも多いでしょうから、大体こんなものだろう、という当初予測と大きなズレはありません。

 次に、A証券S店に口座がある個人顧客数を調べました。これは自店のデータですので、すぐわかります。
⇒A証券S店の個人顧客数:1,000人
総潜在顧客の5%です。これを「購買」の数値として使います。

 さらに、その1,000人の人が、過去6ヶ月に取引があったかどうかを調べたところ、300人の人が1回以上の取引がありました。総潜在顧客から見れば1.5%です。これを「利用」率とします。
⇒過去6ヶ月に取引があった個人顧客=1.5% 300人

これをマインドフローにまとめると、以下の通りになります。

認知:認知率100%

興味:興味率65%

行動:行動率10%

比較:?

購買:購買率5%

利用:利用率1.5%

愛情:?

・認知率、興味率が高い
→駅看板などのマス広告は不要、その資金は別の関門の数値向上に投下すべき。

・行動率(来店率)が低い
→興味は持っているので、積極的にセミナーなどを行って来店を促す必要がある。

・購買率は高い
→来店さえしてもらえれば、何とか口座を開いてもらえる確率は高い。

・利用率が低い
→せっかく口座を開いていただいているのに取引がなく、機会損失になっている顧客が多い。

⇒「行動」率と「利用」率を向上すれば、売上が大きく伸びるであろうことが定量的に把握できる。

◆マインドフローと資源配分の最適化

・お客様が最も多く止まっている関門を選び、そこに経営資源を重点的に配分することで、最大の効果が上がる。(的外れの、無駄な投資はしない)

・この数字をベンチマークとして使い、3ヶ月後、6ヶ月後、12か月後にどれだけ改善されているか、チェックすることができる。


◆かっちゃん侍の実践チェックポイント

【新規開拓のマインドフロー】

☑ ①認知
✦あなたが担当として営業に来ていることを実権者は知っているか?
✦そのアプローチ方法は効果的か(テレマorDMor訪問…)?
✦社長に繋がりやすい時間帯を知っているか?

☑ ②興味(面談)
✦社長のお困りごとは何か?
✦あなたor提案に興味を持っているか?
✦ビジョンを共有し成長戦略を描けているか?

☑ ③行動(決算書開示)
✦決算書等の情報開示をしてくれるか?

☑ ④比較
✦お客様の頭の中で自社(自分)はどのようにポジショニングされているか?
✦KBF(Key Buying Factor:購買決定要因)は何か?

☑ ⑤購買(契約)
✦契約に向けて不明な点・不便な点はないか?

☑ ⑥利用
✦新規契約後に定期的にフォローはしているか?
✦社長や経理と気軽に連絡をとりやすい環境・関係にあるか?

☑ ⑦愛情
✦あなたは真っ先に相談したくなる存在か?

☑数値化と資源配分
✦組織(自分・課メンバー)の活動の数値化から、何が言えるか?
✦資源配分は最適か?

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