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「麒麟がくる」を傑作にするたった一つの要素

毎週日曜日は、大河ドラマ「麒麟がくる」を楽しみにしている。

戦国時代の戦いが単純に面白いっていうのもあるが、初回から見るともう次回からは「早く見たい!」という気持ちにさせられてすでにハマっている...。

そんな僕は歴史好きで以前から大河ドラマを見ていたのかと言えば、そうでもない。明智光秀に関しても、「信長を暗殺する」くらいのことしか知らない。

それでも楽しめる理由として大きく3つあって

・人間の感情を描く
・時代背景
・見ているあなた自身

この3つが「麒麟がくる」の面白さに影響していると感じる。

人間の感情を描くことが感動を作る

「麒麟がくる」では登場人物の心の動きを事細かに描いている。一人ひとりにその人の人生があったわけだが、それを分かりやすくシナリオにしてくれているし演出も演技も素晴らしいからこそ感動させられる。

教科書では歴史上の「事実」だけを時系列で学んでいただけだったのが、光秀がその時どんな心情だったのか?を想像できたりするドラマ構成になっているのが面白さ・感動の秘訣なんだとおもう。

例えば、いとこの帰蝶が政略結婚により信長の妻になる事実も、それぞれの人物がどんな思いで結婚に至ったかのストーリーが入るだけでグッと感情移入できる。つまり感動が生まれる。

事実だけなら、

「帰蝶が信長と結婚した。」

これだけである。

ここに個々人のストーリーが入ると

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・帰蝶と光秀はいとこ関係でお互い信頼している
・帰蝶は嫁入り拒否、本当は光秀を?...
・光秀も嫁には行かせたくない、帰蝶への特別な感情がある?
・駒は光秀を想っているが立場上結ばれない
・駒と帰蝶はめちゃくちゃ仲良し

(まだまだストーリーは書ききれないほどある!)

こういう3角関係でもない複雑な人間関係を描きながら、光秀は「絆」と「国の未来」のどちらかを選ばなければいけない。

これは大河ドラマに関わらず、現代ドラマでも同じようなストーリーが描かれている。やっぱり単に起こったことを羅列するだけでは人は共感ができない。

ストーリーの力を使えば、視聴者にも同じ気持ちをより身近に体感してもらうことができるようになる。

そして「麒麟がくる」に感動する理由はもう一つある。この時代だからこその時代背景である。

時代背景が特別感を演出する

光秀が生きたのは戦国時代。「戦じゃ!」と言ったら戦が始まる時代である。

現在の日本では、この戦国時代の雰囲気を感じることは出来ない。戦に向かう者と見送る側の気持ち、明日生きていられるか分からない不安。

現代では考えられない”非日常”がすぐ側にある。そんな中でも人間が感じる家族愛や恋心の根本は同じ。

時代性という個の力では変えられない部分に困難があり、その中で生き抜く背景を知った上でストーリーを理解すると、感動は相乗効果のように高く積み上がる。

だが時代背景に共感するのはとても難しいことだと思う。今までにない世界に共感するには、ある程度の人生経験がないと登場人物に自己投影できないからだ。

その証拠に、うちの子供達は合戦場面は嬉々として見ているが、心情を描くだけの回は最後まで見ることが出来ない。まだその面白さが理解できないのだからしょうがない。

そう、ここまで読んでいただいた方なら気づくと思うが、「麒麟がくる」を傑作にする最後の要素は、他でもない「あなた自身」なのである。

「麒麟がくる」を傑作にするたった一つの要素

俳優陣の演技はもちろん傑作を作る重要な要素となっているが、最後に「見る人」がいるからこそ作品は完成する。

多くの人が光秀に帰蝶に駒に自己投影し、その時代の残酷さに絶望しながらも日曜夜8時は日本中に感動の大渦が出来上がる。

こんな楽しみ方があると分かれば、年をとることもつらい経験をしたことも悪くないと思える。子供時代には決して味わえない楽しみだ。

小難しい話になったかもしれないが、一言で言えば

「麒麟がくる」おもしれー!みんな見ようぜ!ってこと。

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