7/18 第14回一橋ビジネスレビュー・フォーラム

イノベーションは境界で起きる 国境、アカデミアと実務家、様々なディシプリンの間。

トプコン
元々陸軍が光学機器の国産化のために服部セイコーに要請して作られた会社。1994年からソリューションビジネスを始める。それまではハードウェアの売り切りビジネスのみ。それ以降事業展開のために不足している技術を取得するために積極的にスタートアップも買収。いまや新規事業が売上の1/3
社員の70%が外国人。特にエンジニアは比率が高い。
世界規模では医療700兆円、農業650兆円、建築土木800兆円ビジネス。自動車は100兆円。
しかし、医療、農業、建築土木はIT化、自動化の余地がまだまだある。
建築は3Dデータで施工、それまでは紙の図面に基づいて基準の杭を現場に打って施工していた。
農業機械の自動操縦、レーザーで生育状況を把握、農薬、肥料の自動散布。
暗黙知の見える化→デジタル化⇒センサーで見えなかったものを見えるようにした。
デジタルワールドは顧客に言われたものだけ作っていたら衰退する。
新しい世界(=事業構想)を描けないといい技術を持っていても意味がない。
グーグルストリートビューの計測に自社製品が使われているのを見て計測に使えると思った。
足りない技術は外から買う。大きなビジョンは自分たちで持つ。
食堂の改善のためにおいしいと思った場合とそうでもないと思った場合でスプーン、箸を入れる箱を分けた。神のアンケートではリアル感がない。見える化の発想は工場と同じ。
社員食堂を近隣にも開放した。業者としては収益上がるので力を入れると質も向上する。隣の会社の制服の増減は食堂にとってわかりやすい評価指標。

“After Digital” 
https://www.bebit.co.jp/about/book/article/afterdigital
日本企業のデジタルフォーメーション
中国のデジタル化を理解するうえで個別の事象ではなく、一歩引いてみることが大切。
自転車はどうか、電子決済はどうか、ではなく、一歩引いてみるとオフラインがない、という事
感覚としては食事の半分はフードデリバリーを頼んでいる。
デジタルはリアルに付加されるものからデジタルがメインでリアルはデジタルのタッチポイントの位置づけへ(デジタルラッピング)
UX(User Experience):体験の設計(色々出来るようでコントロールされている。)例:ディズニーランド

“Why Digital Matters?”
https://www.amazon.co.jp/Why-Digital-Matters-%E2%80%9C%E3%81%AA%E3%81%9C-%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B/dp/4833451301
G7諸国の1990~GDP伸び アメリカ、カナダ等2倍、日本はほとんど伸びていない
新興国は4倍、5倍
国民一人当たりGDPランキング日本は1位→5位 しかし実額は落ちていない。他国が伸びている。
日本の実感としてサボっている実感はない。昔とそんなに変わっていない。だからフラット。変化なし。
デジタルの活用に違いがありそう。
- 日本企業は人の力(社員の現場力)を最大限に生かすことを重視しすぎていないか?
- フィジカルとデジタルの違いがほとんど認識されていないので同じように扱っていないか?
90年代までの日本の成功モデルは海外にはまねできないモデル。(24時間働く教育レベル高い社員)
90年代からのIT、インターネット化で人が行っていたことが徐々に機械でもできるようになってきた。⇒現場力のない企業に恩恵が大きい。
人間力とデジタル力の二つを考えた時、日本は人間力だけで戦っている。
建設機械を例として
従来型競争軸の発想;より優れた建設機械を作る(掘削力増大など)
デジタル競争軸の発想:スマートコンストラクション(地形データにより基準杭の設置不要など)

日本企業「中国でのサービス教育をどうするか。」教育を考えている時点で違う。考えるべきはインセンティブ提供の方法。スコアリングをどう給与に反映するか。
評価に対して現地スタッフは必ずしも悪い印象ではない。

トプコンのIT技術を建築現場に入れたら現場の技術者がうまく使いこなしているのは日本の特徴。
最近はシリコンバレーより深圳かも
日本は珠玉の一品を作ろうとするが、中国はとにかく早くマーケットに出そうとする。

中国人の意見;ZARAとユニクロを比較するとユニクロはなんとなくあったか味がある。
スマートシティ くまモンの小山薫堂さんに依頼がいく。;出来た後の差別化は日本は期待されているかも。
中国のビジネススクール中欧国際工商学院(CEIBS) 虎屋を見に来た。
https://amp.review/2019/05/11/ceibs/

デジタルは怖い社会か?ユーザーに選ばれることを重視するようになることからユーザー主権になるともいえるのでは?

アイリスオーヤマ
新商品(発売3年以内)比率6割以上
もともと樹脂製品製造。しかしオイルショックで債務超過すれすれまで追い込まれる。競争のない商品を作ることを目指す。プロダクトアウトからマーケットインへの転換
しかし工場のあった東北では当時農業主体でマーケットもない。さらに進んでユーザーインの発想。透明プラスチックの収納ボックス;中身が見えて便利。透明のポリプロピレンを2年かけて開発。

ペット用品
昔犬は番犬、猫はネズミ対策。鎖と首輪だけ
今は家族の一員。新たなペット用品があってもよいはずという発想。
園芸用品
作る園芸から飾る園芸への変化
新たな商品カテゴリーのネックは流通。園芸用品は種屋さんで売っていたが、自分で作る顧客をターゲットにすることからのちにホームセンターで販売するようになる。
流通の壁への対応
問屋の壁 メーカーベンダーになることで解決。
バイヤーの壁 バイヤーは新商品を求めていることから新商品を訴求。

重要なのは生活者がどこで買うのかーコンビニ、量販店、ネット
今一番伸びているのはネット 国境を越えられる。
注目しているのは海外。

他者に対する共感と株主価値の向上の両立
道徳感情論
まず外部にいる現実の〈見物人〉が個人の行動に影響を与えること,次に内なる〈見物人〉が実際の外部の〈見物人〉の反応を予測すること,そして自分自身の中の〈公平無私なる見物人〉が良心に従った道徳的判断を選ぶ。
https://kotobank.jp/word/%E9%81%93%E5%BE%B3%E6%84%9F%E6%83%85%E8%AB%96-1189154

アイディアの判断基準は顧客を見ているか。他社、既存品との比較ではない。大事なことは情報共有。比較をすると丸くなってしまう。

人事評価の基準
・実績(上司から)
・能力(プレゼンする)
・多面的評価(周りからの評価)
評価者だけの評価だと派閥が出来るし数字で示せない。

ジョン・ケイ 協調的エンゲージメント(Collective Engagement)を行うための場作り
http://fis.nri.co.jp/ja-JP/publication/kinyu_itf/backnumber/2015/02/201502_5.html

POSで分かるのは今日までのデータ。明日売れるものはわからない。
全体のパイが減っているのにチェーンストア理論で店舗を増やしていっても難しい。
オーバーアナリシス/オーバーコンプライアンス/オーバープランニング
日本の家電は国内は高価格、海外では低価格で売っている。
家電は目先を変えれば売れる所はいっぱいある。
今年の梅雨は気温が上がらず夏の商品が売れないが、布団乾燥機は売れている。
布団乾燥機で寝る前の布団を温められることを訴求したら冬も売れるようになった。

よいサプライチェーンと悪いサプライチェーン
業界サプライチェーンが長いのは短縮すべき。海外進出のためにITプラットフォームを使うのは販路拡大としては有効

アダムスミスは定性的、歴史的にはもう古い話。しかし人間の不変的な所を表している。

日常の数値化+リベラルアーツー意味付け、価値づけ。共感を媒体に理解する。

アリババ
手数料6.4兆円+販売額97兆円(推測)。参考としてアマゾン販売額は30兆円。
アリババは小売りと競合はしない。プラットフォームのみ
プラットフォームは、それだけでは意味がないが、みんなが乗ってくると意味が出てくる
アイリスオーヤマ アリババ売り上げ 3割伸びている。
11/11独身の日を始めたのはアリババ。日本のバレンタインデーと同じ。昨年の販売額は3兆5022億円
日本製品で扱われているもの上位は化粧品、ベビー用品、サプリメント
カルビーフルグラ、グリコポッキー、UHA味覚糖

零售通 中国に600万店舗あるパパママショップにコンビニのようなサプライチェーンを提供しようという試み
https://glotechtrends.com/alibaba-new-retail1-170829/
アルファロメオ中国ローンチの際、アリババの顧客データを使って販促を行っている。
アリババは決済データ、動画視聴、飲食などあらゆるデータを持っている。
データは範囲(広さ)と深さ(連結、タグ付け)
アリペイの決済金額500兆円、日本のキャッシュレス決済総額64兆円(内クレジットカードが58.8兆円)
アリペイの手数料0.1-0.2%、テンセントとの戦いで下がった。データで儲ける。手数料では儲けない。日本の一般的な手数料3%-5%
アリババ資産運用4%程度
UXの高いものを作ると様々な価値が生み出せる。
日本の旅館でアリペイを導入したら売上が10倍になった例もある。
タオバオ出店者であれば運転資金の数百万程度は3秒で融資。
新興国において販売チャネルはリアル店舗よりECの方が広まりやすい。
中国では最近では資生堂はネットファーストの姿勢。
消費者は快適な購買環境を選ぶだけ。チャネルを考えるのは販売サイド。
デジタルとしてはUXをいかに高めるかの発想で事業を行っている。3,000円分買えば配送料無料というのはいかにもネットに攻められている側の発想。攻めている側の発想ではない。
ECは設備投資はほぼ不要。失敗しても影響は少ない。
高度経済成長期はみんな同じ方向で頑張っていた。今は違う。日本企業をどうしようかという問い自体がちょっと違う。
デジタルラッピングという発想。中身はこれまでと同じ。
デジタルリテラシーを向上させる必要が議論されることがあるが、パパママストアの店主のデジタルリテラシーが高いとは思えない。零售通が便利だから使うというだけ。便利だから、実利があるからみんな使う。勉強しないといけないものは面倒くさいからみんなやらない。

この記事が参加している募集

イベントレポ