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Yahoo! トップに載って、売り切れ続出になって、思ったことのメモ。

昔、とある広告代理店出身のPRマンによるセミナーに参加したことがあった。ちょうどオウンドメディアが流行り出した頃だったと思う。

「自社と関連あるコンテンツを作り、それをメディアに取り上げてもらうことが重要です。その最たるものがYahoo! トップであり、ここに掲載されるか否かが運命の分かれ道なんですよ」と、その講師は言った。

当時、採用広告やウェブサイトばかり作っていた僕にはあまりピンと来なかったし、何よりYahoo! なんて遠すぎてよく分からなかった。だって、あれはもうマスメディアじゃん。僕とってはニュースを見る一方的な存在であり、自分がそこに割って入ろうなんて想像できないわけで。

しかし、人生とは分からないものだ。先日、左ききの道具店がYahoo! の掲載された。

元となった記事はこちら。

掲載時刻は朝6時。もちろん、オリコンニュースさんからは事前にメール取材があって、丁寧な聞き取りだなぁ、ありがたいなぁ、いつ載るのかなぁと心待ちにしていたのだけど、肝心の掲載のタイミングは聞き忘れていた。朝起きたら、左ききの道具店のツイッターアカウントがやけに騒がしくてそこで気づいたのだ。

最初は、お、載ったんだ、ありがたいねぇ。という感じだったけれど、リプライやリツイートが止まらない。全然止まらない。続いて商品の購入メールの通知音が鳴り止まない。お昼頃にはYahoo! トップに掲載されたと久しぶりの友人から知らされる。

あれ? もしかして、これってヤバい?

なんて思ってから約3日間、本当にメールが止まらなかった。店長である妻は、その他一切を受け付けぬ梱包マシーンとなり、それでも平日では終わらず、週末に僕が娘二人を実家に連れて帰り、妻の梱包時間を取ることでなんとか波を乗り切った。左ききの道具店、開店以来最大の忙しさ。まさにYahoo! 砲、という語感に相応しい衝撃だった。

商品は売れた。たくさんの人に知ってもらえた。それ自体は歓迎すべきことで、幸運だったという他はない。しかし、大きな問いが残されたことも事実だった。

僕らはどこまで大きくなりたいのだろうか?

もし、渦中に僕が「左ききのスーパーマーケットにしよう!」と即答していたら(しかしダサいな……)、このチャンスを最大限に活かすべく、各メーカーへの早急な発注を要望し、梱包作業の簡易化を行い、アルバイトを雇い、ウェブ広告を出稿するといったさらなる拡大路線へと舵を切ったのだろう。

でも、そのときの答えは「落ち着け。そして、変わらずいこう」だった。

SOLD OUTになった商品はお待ちいただいたとしても、波が通り過ぎてからの入荷とした。梱包は、多少発送をお待たせしても、これまで通り一人ずつに手書きのメッセージを添えた。毎日更新していたツイッターには「更新が遅れます」と投稿した。これは一過性のものだから、と自分たちに言い聞かせながら。

そして、Yahoo! の波が去った頃、改めて僕らは自分たちの方針を考えた。

・大きくするより、長く続く道を選ぼう
・顔の見えない市場より、応援してくれる一人と向き合おう
・関係者(メーカー、仕入先、クリエイター)が、自分ごとのように喜ぶコンテンツをつくろう

少し真面目すぎるかしら。でも、目指すべきお店の姿が決まると、ずいぶん気持ちが楽になった。Yahoo! に掲載されることは二度とないかもしれないけれど、本当にありがたい体験をさせてもらったものだ。

そうだ、この機会もう1つ嬉しいことがあったのでここにメモしておく。

Yahoo! に掲載された次の日だったか、お店のアカウントにDMが届いた。それは、ご家族が病気で半身不随になってしまった方からだった。

右半身がうまく動かせなくなり、左利きの道具を探していたけれどうまく見つけられない。そんな中でYahoo! で知って、ほしい道具が見つかった。ありがとうございます、といったお礼の内容だった。

この文面を見たとき、僕らには2つの感動があった。ひとつは本当に必要としてもらえる人に届いたこと。もう1つは、先天的ではなく、後天的に左手を使わなくてはいけない人たちへの気づきだった。

お店を続けていく理由が、またひとつ増えた瞬間だった。

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おかげさまで、気持ちよく寝られそうです。
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LANCH Inc. 左ききの道具店 代表 / コピーライター。1982年。利き手はクロスドミナンス。名古屋 → 各務原に移住しました。言葉と企画、考えることぜんぶの役。朝型生活、つづけています。
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