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人事のクセ? 他組織で発生した処分案件を自社に当てはめて考えてしまう件

ちょっとビックリしたニュースがありました。


私が学生だった頃(約20年くらい前)は、
部活の先輩から後輩への暴力(軽く小突く、お尻を蹴る)は、わりと当たり前にありました。もちろん、程度が行き過ぎると問題になっていましたが、軽いものに関しては「そういうもの」と思って、特に気にしていなかったように思います。

すごく勝手な思い込みで偏見なのですが、
プロ野球という世界は、実力以上に上下関係が厳しい世界と聞きます。
ひょっとしたら、最近の部活ではめっきり少なくなった"暴力"がまだあるのかもしれません。
#もし今は全くそういうことは無いのであれば、完全な偏見なので、土下座して謝り認識を改めます。ごめんなさい。

ただ、これだけ大々的に処分されたということは "冗談にできないレベル"だったのだと推察します。それは、軽重の程度の問題かもしれませんし、頻度の問題かもしれません。

いずれにせよ、プロ野球の世界でこういったケースの処分事案は非常に珍しいように感じたので、取り上げてみました。


さて、本題はここからなのですが、
こういった「組織内での問題」が発生した時、企業人事は、自分が属する組織で、類似するケースが発生したら、どのように対応するかということを妄想したり、部内で話すことがあります。
#ケーススタディに使うこともあります


今回のケースで頭を悩ませるポイントとしては、
暴力の程度についての判断基準と、処分の程度という二つになるかと思います。

先に処分の程度について、一般的な区分けを紹介させていただきます。
企業によっては、下記と異なる処分を定めていたり、一部が割愛されていることもあります。

口頭注意:上司または人事から口頭で注意するのみ。(処分無し)

戒告:内容的には上記と同様の口頭注意ですが、懲戒処分の履歴を残す

譴責(けんせき):本人への注意に加え、始末書の提出など、書面での反省を促す

減給:本来であれば支給される賃金の一部を差し引く

出勤停止:一定期間、出勤を禁止する。 出勤停止期間中は賃金が支給されない

降格:役職や職能資格などを引き下げる

諭旨解雇:退職願の提出を勧告する処分(退職届が提出されない場合は懲戒解雇となる)

懲戒解雇:解雇予告なしに労働者を一方的に解雇する

今回の中田選手のケースを上記に当てはめると、
当面の試合出場停止とあるので、出勤停止という位置づけになるかと思います。ちなみに、これは懲戒処分の中では、重い部類の処分と言えます。(前職で私が担当していた部署では数年に1件あるかどうかレベル)


さて、このようなケースを見たときに、
まず行うことは、就業規則を見返して、どこに抵触するかを確認します。
すごく極端な言い方ですが、就業規則に抵触しなければ、一般的に問題行動と思われる行動であっても、社内での処分は出来ません。

その上で、同様のケースが一般的にどのような処分されているのか、他社事例や過去判例などを探します。
なぜ、他社事例や過去の判例などを確認するかというと、社内のみの判断で処分内容を決定した場合に、その処分が重すぎると、処分内容に対する不服申し立てなどがあり、場合によっては、損害賠償を請求されてしまう可能性もあるからです。

というわけで、
社内 暴力 懲戒処分」検索

こんなサイトが見つかりました。

ざっくりまとめると、こんな感じ。

・懲戒処分は可能
・暴行罪レベルなのか傷害罪レベルなのかなどの程度によって、処分の軽重を判断する。
・暴行であれば、諭旨解雇や懲戒解雇とすることは難しそう。
・その事案が企業やビジネスに対し、どれだけのインパクトがあったかも考慮する。

実際には、その行為を行った社員の過去の注意指導履歴(初めてか、2回目以降か)なども考慮します。つまり、初回より2回目以降の方が、より厳しい処分になります。

一概には言えませんが、いくつかの他社事例なども見た感じ、
初回の暴行であれば、出勤停止または、降格あたりが妥当な処分でしょうか。

さらに余談ですが、
被害者側が暴行事件(または傷害事件)として、刑事告訴した場合は、
警察&検察+裁判所に判断を委ねるところとなります。

社内の懲戒処分は、刑事事件と同様に、
一事不再理が原則となりますので、一度処分を決定、実施した案件について、後から処分内容を追加したり変更することはできません。

刑事事件に発展してしまいそうなときは、
処分保留で自宅待機(有給)として、お上の決定を踏まえて、社内処分を決定するのが妥当でしょう。
#だんだんキナ臭くなってきた・・・


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こんな感じで、社外で社内問題が発生したら、
その案件をどのように対応するのか、どう着地させるかといった目線でニュースを見てしまうのが、人事(労務)のサガかもしれません。
#私と先輩だけのサガだったら悲しい

難しい言葉や専門用語もあって分かりにく労務の世界ですが、
けっこうありとあらゆることがネット上に落ちているので、ちょっと調べながらニュースを見てみると、違った発見があるかもです。

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