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人事のお仕事⑦ 処分案件の告示について考える

昨日、中田選手のニュースをきっかけに、懲戒処分のことについてnoteした。久々にシリアスな内容を書いたら、頭からプスプスと煙が上がってきました。


さて、そんな脳みそをフル回転させた後に
ふと気になったことがある。


それは、
懲戒処分の内容と、被処分者の名前を告示するかどうかという点だ。

前職では個人情報保護の観点から、社内への告示は行っていなかった

しかし、調べてみると個人名や部署などを含めて社内で掲示するなど、告示している企業もあることがわかった。

どちらの対応が適切なのか、
さらに調べてみると、興味深い記事が見つかった。

これは労政時報という、多くの人事担当者が愛読している雑誌のQ&Aコーナーの1ページだ。

内容をかいつまむと、

・処分内容と対象者の個人名を開示することは、個人情報保護を留意する必要がある

・入社時など、個人情報を収集する際に、利用目的として「処分の際に開示する」と伝えておく必要がある

・被処分者の氏名を開示することで、問題行為の再発抑止に強い効果が期待できる

・しかし、個人情報保護の観点から開示はしない方がよい

・企業に与える影響が大きいような重要事案については、企業秩序維持及び回復と再発防止のために氏名開示が妥当な場合もある

・いずれにしても就業規則内で氏名開示することがある旨の規定を設けておくべき

ほうほう。
やはり、昨今のトレンドとしては、氏名開示は控える方がよさそうな感じ。
というか、開示すること自体が問題とならないようにするためには、個人情報の取得時と就業規則で「開示するよ」とあらかじめ謳っておく必要があるわけですね。


今回の中田選手のケースについては、
球団にどのような規定があり、本人の間でどのようなやりとりがなされたのかは不明ですが、
プロ野球チームの運営というビジネスは、ある種の人気商売のようなところもあるので、企業経営への影響は深刻という判断があったと推測します。
併せて、同様の問題が再発しないように という抑止効果への期待も高かったのかもしれません。


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余談なのですが、
「懲戒処分」について、補足を。

これは人事担当者や企業の文化によっても考えが分かれるところだとは思うのですが、恐らく誰も「懲戒解雇」なんて重たい処分はしたくないのです。

だって、
それだけ重い処分は、人の一生を左右するような大きな問題なので、
徹底した調査や準備が必要ですし、懲戒解雇された人に問題があったという判断によって、そういう処分になっているわけですが、人事は逆恨みされてしまう可能性もありますし、企業としても「不当解雇」なんて訴訟に発展したら、企業イメージは低下するし、裁判は時間も手間もお金もかかります。
#処分絡みの仕事が人事にとって一番タフな気がします


あと、本来の懲戒の意味を考えると、
「懲らしめる、戒める」なので、改心してね という願いかなと思います。
すなわち、辞めさせるためのものではなく、リカバリーのためという意味もあります。
特に戒告や譴責というのは、要するに注意・指摘なので、「ここは気を付けて直してね。それでもっと頑張ってね」という"強め"のメッセージです。
#処分を実施するときは 事前に防ぐ方法が無かったのかと暗い気持ちにもなります


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2日にわたって懲戒案件に関するnoteを書いてみました。
ちょっと重たい感じですが、こういうことを考えたり、実際に対応するというところも、人事の仕事のダイナミックなところかなと思います。

個人的には、大きな事案だと思いましたが、
プロ野球界にどのような影響があるのか、
今後の展開を興味深く見てみたいと思います。

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