猫とあずきとぎ

あずきとぎは、川であずきをといでいた。

シャリ シャリ シャリ

もう500年もといでいる。

500年前は侍どもが関東平野を走り回っていた。

あれから長い長い年月がすぎた。

多くの人間が亡くなるのを見ていたが、

あずきとぎは今日も死なずにあずきをといでいた。

猫がやってきて、あずきとぎがあずきをとぐのを
興味深そうに見ている。

あずきとぎは猫の前であずきをといだ。

彼にできることはあずきをとぐ事だけだったから。

シャリ シャリ シャリ

その時

猫は笑った。

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