猫とぬっぺらぼう

猫が夜道を歩いていると、背後から、もう一匹猫がついてくる。
少し緊張感がある。
猫はゆっくりふりむいた。
もう一匹の猫の顔はなかった。
しかし、顔がある猫は驚かない。
顔がない猫を興味深そうにながめるだけだ。
そして近づき、

何もない白い顔をゆっくりなめた。

顔のない猫は顔がないなりに、
ぬっぺらぼうな味がした。

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